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水の東西 問題 200字要約 解説 あらすじ 教科書 第一学習舎

 

『水の東西』は、現代の国語で学ぶ評論文です。有名な作品なため、定期テストなどにもよく出題されます。

ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくい箇所もあります。そこで今回は、『水の東西』のあらすじや要約、学習の手引きなどをわかりやすく解説しました。

『水の東西』のあらすじ

 

本文は、大きく分けて4つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①「鹿おどし」は、竹のシーソーの一端に水受けがついていて、その筧(かけひ)の水が少しずつたまり、やがて水受けがいっぱいになると、シーソーが傾いて水をこぼすというものである。緊張が一気に解けて水受けが跳ね上がるとき、竹が石をたたいて優しい音を立てる。「鹿おどし」は、我々に流れるものを感じさせる。それをせき止め、刻むことによって、この仕掛けはかえって流れてやまないものの存在を強調している。

②私はこの「鹿おどし」をニューヨークの待合室で見たことがある。だが、人々は窓の外の華やかな噴水に心を和ませていた。「鹿おどし」は流れる水、「噴水」は噴き上げる水と言える。ヨーロッパでもアメリカでも町の広場や庭園には、見事な噴水があり、風景の中心になっている。それはまるで、音を立てて空間に静止しているように見えた。

③「鹿おどし」は時間的な水、「噴水」は空間的な水だと考えさせられる。日本人は古くから、せせらぎや滝、池など水を見ることを好んだが、噴水の美だけは近代になるまで忘れていた。日本人が噴水を作らなかった理由は、日本人にとって水は自然に流れる姿が美しいのであり、造型する対象ではなかったのだろう。

④日本人は、形なきものを恐れない心を持っている。「鹿おどし」は見えない水、「噴水」は目に見える水だと言える。我々は水を実感するのに水を見る必要さえない。ただ断続する音の響きを聞き、その間際に流れるものを間接に心で味わう「鹿おどし」は、日本人が水を鑑賞する最高の仕掛けだと言えるかもしれない。

『水の東西』の要約解説

 

200字要約日本の「鹿おどし」は、我々に流れるものを感じさせる時間的な水である。対して、西洋の噴水は彫刻のように造型された空間的な水である。これは日本人にとって水は自然に流れる姿が美しいのであり、造型する対象ではなかったからだろう。日本人にとって水は見えない流れを感じさせるものであり、目に見えるような空間的な対象ではない。したがって、「鹿おどし」は日本人が水を鑑賞する行為の極致を表す仕掛けだと言える。(196文字)

本文の構成としては、以下のようになっています。

  • 第一段落⇒日本の「鹿おどし」について。
  • 第二段落⇒西洋の「噴水」について。
  • 第三段落⇒日本に噴水が少ない理由について。
  • 第四段落⇒日本人の感性と水の鑑賞の仕方について。

筆者はまず、第一段落と第二段落で「鹿おどし」と「噴水」という、日本と西洋における二つの水の芸術の違いについて述べています。

そして、両者を対比する表現として次のようにも述べています。

鹿おどし」⇒自然に流れる水・時間的な水・目に見えない水

噴水」⇒噴き上げる水・空間的な水・目に見える水

この違いが生まれるのは、日本人と西洋人の伝統や感性の違いに根差していると主張しています。

日本人にとって、水は自然に流れる姿が美しいのであり、噴水のように人工的に圧縮したりねじ曲げたり、粘土のようにして造る対象ではなかったのだという箇所です。

最後に、私たちは水を感じるのにもはや水を見る必要すらなく、間接的に心で味わえばよいと考えるなら、「鹿おどし」は日本人が水を鑑賞する行為の極致(これ以上はないつきつめたところ)を表すものであると述べています。

全体を通して筆者が主張したいことは、第三段落と第四段落に集約されていると言えます。

『水の東西』のテスト対策問題

 

問題0

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

キンチョウをほぐす。

オンキョウ設備を整える。

セイジャクな雰囲気になる。

シュコウを凝らした作品

⑤物体をアッシュクする。

ドクトクの文化を形成する。

回答①緊張 ③音響 ③静寂 ④趣向 ⑤圧縮 ⑥独特
問題1「人生のけだるさのようなもの」という比喩が表す内容を、この後の文章でどのように述べているか?
解答例単純な、緩やかなリズムが、無限にいつまでも繰り返され、緊張が高まり、それが一気にほどけ、しかし何事も起こらない徒労がまた一から始められるものである。
問題2それをせき止め、刻むことによって、この仕掛けはかえって~とあるが、「それ」とは何を指すか?
解答例水の流れや時の流れなど、我々に流れを感じさせるもの。その流れ。
問題3「音を立てて空間に静止している」とは、どういう状態を言い表したものか?
解答例噴水が形作る壮大な水の造型が、とどろきながら林立し、彫刻のように確固とした物体として空間に存在しているという状態。
問題4「外面的な事情」とは何か?
解答例日本では西洋ほど空気が乾いておらず、人々が噴き上げる水を求める気持ちが強くなかったこととと、西洋のような古くからある水道の技術が発達していなかったこと。
問題5何をもって「受動的な態度」と言うのか?
解答例水のような定まった形がないものに対して、西洋人のように形を与えるのではなく、形がないままで受け入れるという態度から。
問題6最初の二つの形式段落において、筆者が最も述べたいことを一文で答えなさい。
解答例「鹿おどし」は、単純で緩やかなリズムが無限に繰り返されることで、我々に流れるものを感じさせ、それをせき止め、刻むことにより、かえって流れてやまないものの存在を強調している。
問題7

次の三つの対比的表現が表している具体的内容をそれぞれ考え、これらの表現が本文の展開のうえでどのような役割を果たしているか説明しなさい。

1.流れる水と、噴き上げる水。

2.時間的な水と、空間的な水。

3.見えない水と、目に見える水。

解答例

1「鹿おどし」に流れる水と華やかな噴水の水。二つの水の形態的な違いを捉えることで、それまで述べてきた日本の「鹿おどし」から西洋の噴水へと話題を展開する役割を果たしている。

2.「鹿おどし」に流れる水のように、水の流れや時の流れを感じさせる水と、エステ家の別荘の噴水のように、壮大な造型として空間に静止している水。それぞれの水の性質の違いを捉えることで、日本人が噴水をあまり作らなかった理由の考察へと展開する役割を果たしている。

3.目に見える形がなく、流れを感じることで実感する水と、目に見える形があり、趣向を凝らして造型する対象である水。日本人と西洋人の水に対する好みの違いを捉えることで、「鹿おどし」は、自然な水の流れを鑑賞する行為の極致を表す仕掛けだというまとめにつなげる役割を果たしている。

問題8「鹿おどし」が「日本人が水を鑑賞する行為の極致を表す仕掛けだと言えるかもしれない」と述べる理由を、本文に沿って説明しなさい。
解答例水は自然に流れる姿が美しいのであり、その流れを感じることが大切なのだと考える日本人にとって、断続する音の響きを聞いて、その間際に流れるものを間接に心で味わう「鹿おどし」は、自然な水の流れを鑑賞するのに最高の形であるため。

まとめ

 

『水の東西』は、高校教科書には頻出の評論文です。ぜひ正しく内容を理解できるようになって頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。