逆説的  意味 わかりやすく 簡単に 例文

「逆説的」という言葉は、「逆説的に言えば」「逆説的な結果」などのように用います。また、高校国語・現代文の文章にも登場することがあります。

ただ、この言葉の意味を分かりにくいと感じる人も多いです。そこで今回は、「逆説的」の意味をなるべく簡単に分かりやすく解説しました。

後半では、「類義語」や「対義語」「英語訳」などにも触れています。

逆説的の意味

 

まず、「逆説的」の意味を調べると次のように書かれています。

【逆説的(ぎゃくせつてき)】

真理にそむくようでいながら、実際には真理をついているさま。また、普通とは反対の方向から考えを進めるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

逆説的」とは「真理にそむくようでいながら、実際には真理をついているさま」という意味です。

「真理(しんり)」とは「正しいこと」という意味です。つまり、「一見すると正しくなさそうだけども、実は正しいこと」を「逆説的」と言うわけです。

「逆説的」の分かりやすい例としては、ことわざが挙げられます。例えば、「急がば回れ」です。

「急がば回れ」とは「急いでる時ほど安全な遠回りをせよ」という意味のことわざです。

普通に考えれば、急いでいる時ほど近道を行くのが正しい選択だと考えがちでしょう。

しかし、普段慣れていない近道を通れば、事故やトラブルに巻き込まれる可能性も高くなります。

そのため、実際には遠回りでも確実にたどり着けるルートの方が安全で早く到着できるのです。

他には、「負けるが勝ち」なども挙げられます。「負けるが勝ち」とは「負けた方が勝ちにつながる」という意味のことわざです。

このことわざも、一見すると間違っているようにも見えます。なぜなら、「負け」は「負け」であって「勝ち」ではないからです。

しかし、このことわざが言いたいのは「場合によっては人と争わないほうが結果的に楽になる」ということです。

負けることにより面倒なトラブルを避けることができ、余計なエネルギーを使わずに済んだという例は多くあります。

そのため、勝負というのは何でもかんでも勝てばいいわけではなく、時には「負けたほうがよい」と言っているのです。

「逆説」というのは一見常識に反しているように見えますが、実は真理をついていることを表します。

世の中のほとんどは、一般的な常識によって動いています。「逆説」は、そんな一般常識に反した逆転の発想によって、人々に真理を気づかせてくれるのです。

逆説的の類義語

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次に、「逆説的」の「類義語」をご紹介します。

①【パラドックス】矛盾・逆説・ジレンマなどと同義。

「矛盾(むじゅん)」とは「つじつまが合わない事・筋道が通らない事」という意味です。そして、「ジレンマ」とは「二者択一の状況で選択に苦しむこと」を意味します。

「パラドックス」は複数の意味がありますが、一般に「逆説」と同じ意味で使われることがほとんどです。そのため、「類義語」というよりは「同義語」と考えてよいでしょう。

②【かわいい子には旅を指せよ】我が子が可愛いなら、親の元に置いて甘やかせず、世の中のつらさを経験させたほうがよい。

このことわざも、逆説的な意味を持っています。一見すると、立派な子供にしたいなら、親の元でじっくり育てたほうが良さそうです。

ところが、実際は「子供に旅をさせて苦労させたほうが良い子供に育つ」ということです。

③【アイロニー】表面上の意味と本当の意味を逆にした表現。

「アイロニー」は、日本語では「皮肉」「反語」「逆説」などと訳されています。この中では、多くの場合「皮肉」の意味として使われます。

「皮肉」とは「自分の気持ちとはあえて反対の気持ちを表現すること」です。例えば、待ち合わせに遅れてきた人に対し、「ずいぶんと早かったね。」などとわざと逆のセリフを言うようなことを指します。

その他には、すでに説明した「急がば回れ」や「負けるが勝ち」も類義語の中に含まれることになります。

逆説と逆接の違い

 

「逆説」と似たような言葉で、「逆接(ぎゃくせつ)」があります。両者は読み方は同じですが、意味は全く異なる言葉なので注意してください。

「逆接」の意味を簡単に言うと、「しかし」や「だが」などの表現のことです。例えば、以下のような2つの文があったとしましょう。

  • 2時に会う約束をした。
  • 彼は来なかった。

会う約束をしたのに、彼が来なかったというのは予想外なことです。そこで、2つの文の間に「しかし」を入れてみます。

「2時に合う約束をした。しかし、彼は来なかった。」

すると、上記のように自然な文章ができあがります。「逆接」というのはこのように、予想外の結果を結びつける働きをするのです。

「逆接」を使う場合は、「しかし」や「だが」などの接続詞を使うことが多いです。そのため、「逆接」の「」は「接続詞」の「接」と覚えておくのがよいでしょう。

逆説的の対義語

 

「逆説的」の「対義語」は、「真説的(しんせつてき)」と言います。「真説的」とは「本当の説としては・正しい意見としては」などの意味です。

「真説」は元は仏教用語で、「本当の説・正しい説」などの意味があります。後ろに「的」をつけことで、名詞ではなく形容詞としての意味になります。

「真説的」という言葉は、実際にはそこまで使われることはありません。使われるとしたら、「真説」のみの場合が多いです。

逆説的の英語訳

 

「逆説的」は、英語だと次のように言います。

paradoxical(逆説的な・矛盾した)」

paradoxically(逆説的に・矛盾して)」

どちらも名詞である「paradox(逆説)」から派生した単語です。「paradoxical」は「形容詞」として使い、「paradoxically」は「副詞」として使います。

例文だと、それぞれ以下のような言い方です。

Paradoxically, she is right.(逆説的に言えば、彼女は正しいだろう。)

It may sound paradoxical, you are right.(逆説的に聞こえるかもしれないが、あなたは正しい。)

逆説的の使い方・例文

 

最後に、「逆説的」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。

  1. 逆説的に考えると、決勝戦で負けたのは今後の彼らにとっては良いことだと考えています。
  2. 逆説的に考えれば、勉強が苦手な人ほど教師に向いているのかもしれない。勉強が得意だと苦手な人の気持ちが分からないからだ。
  3. 彼は「人生は失敗すればするほどよい」と言っている。一見矛盾しているように聞こえるが、逆説的に考えると納得できる部分が多い。
  4. 高校に入ってから中学の勉強をやり直したのは、非常に遠回りな行為だった。でも、実際に大学受験に受かったのは逆説的な結果になったと感じたよ。
  5. 宝くじに当選すると、最終的には多くの人が不幸になると言われている。冷静に考えると、逆説的な結果だと言えるだろう。

 

例文のように、「逆説的」という言葉は、前向きで良い意味として使うのが基本です。

一見すると「〇〇は正しくないかもしれない。」でも、「逆説的に考えれば正しいことである。」といった流れで文章が作成されることが多いです。

なお、言い回しとしては「逆説的に考えると~」「逆説的な結果~」などが多いです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

逆説的」=真理にそむくようでいながら、実際には真理をついているさま。

類義語」=「パラドックス・急がば回れ・負けるが勝ち・アイロニー」など。

対義語」=「真説的(本当の説としては・正しい意見としては)」

英語訳」=「paradoxical」「paradoxically」

「逆説的」とは「正しくなさそうで実は正しいこと」を表します。ぜひこの機会に正確な意味を理解して頂ければと思います。