「大台に乗る」という慣用句をご存知でしょうか?
主に、その人の年齢や年収に対して使われているという印象かと思われます。ただ、具体的にどのように使うのか分かりにくいと感じる人も多いようです。
そこで本記事では、「大台に乗る」の意味や使い方、語源、類義語などを含め詳しく解説しました。
大台に乗るの意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【大台に乗る(おおだいにのる)】
⇒数量が大きな境目を越すこと。
出典:慣用句・ことわざ辞典(成美堂)
「大台に乗る」は、「おおだいにのる」と読みます。意味は「金額や数量などが大きな境目を越すこと」を表したものです。
例えば、個人の貯金であれば1億円を超えた場合、持っている本の数であれば1000冊を超えた場合などが当てはまります。
いずれも普通の数字とは、一段階も二段階もケタが上です。このように、非常に大きな境目をクリアすることを「大台に乗る」と言うわけです。
ポイントは、「大きい」という点です。「大台」は、文字通り「大きい台」と書くので、ちょっとやそっとの数量に対しては使いません。周りから見ても、「すごいな~」と思うほど大きい数量になった時に使います。
大台に乗るの語源・由来
ところで、「大台に乗る」の語源はどこから来ているのでしょうか?
実はこの言葉は、株式の用語から来ています。株の世界では、数字の桁のことを「台」と言います。
もっと詳しく言うと、
「台」=「10円単位で示す値段の区切り」
「大台」=「100円単位で示す値段の区切り」
のことを指します。
例えば、株価が80円から90円に上がったとしましょう。この場合、10円単位で値段に区切りがついたので「台に乗る」と言います。一方で、株価が900円から1000円になったとすると、100円単位で区切りがついたので「大台に乗る」と言うのです。
つまり、100円単位の株価が上昇し、大きな区切りを超える時に「大台に乗る」と表現するわけです。実際に、1000円や2000円、1万円などを超えると大きな経済ニュースになることが多いです。
日経平均株価などは、2万円や3万円などの節目を超えた時によく「大台に乗った」と言います。
ちなみに、大台を超えて株価が下がった場合は「大台を割った」と言います。「大台から降りた」などとは言いません。
これは株ならではの理由と言えるでしょう。株の上昇・下降は、基本的にチャート(線)というグラフによって表します。そのため、「線を割る」という意味で「大台を割る」と表現するわけです。
大台に乗るの使い方
「大台に乗る」は様々な数量に対して使えますが、日常会話では「年齢」と「年収」の二つに対して使われることが多いです。
大台は何歳くらいを指す?
まず「年齢」についてですが、「年齢」の場合は、40歳を指すことが多いです。ただし、これはあくまで一般論であり、性別や独身・既婚の有無などによっても異なってきます。
例えば、女性の30歳は結婚適齢期ということもあり、30歳でも大台を使うケースがあります。また、人生を100歳と考えるなら、50歳は折り返し地点になるので、50歳を大台と言うこともあるでしょう。
いずれにせよ、年齢の場合は「高齢になった」というニュアンスが含まれることになります。したがって、10代、20代などには基本は使われません。使うとしたら、30歳~60歳のどれかになるのが一般的です。
大台の年収はいくらから?
「年収」の場合は、1000万円を超えた時に使われることが多いです。これは日本人の平均年収を考えれば分かりやすいでしょう。
日本人の平均年収は、だいたい450万前後と言われています。この次に桁を大きく超えるのは1000万円です。
平均年収の倍以上ということも考慮すれば、1000万円は節目の年収と言うことができます。一般的にも、年収が1000万円を超えると周りの人からも一目置かれる数字となります。
大台に乗るの類義語
続いて、「大台に乗る」の類義語を紹介します。
- 桁が上がる
- 突破する
- 突き破る
- クリアする
- 達成する
- 打ち破る
- 大きな桁になる
類義語は「突破する」「突き破る」などのように、何かの障壁をクリアするような言葉となります。
逆に、「対義語」としては以下のような言葉が挙げられます。
- 下落する
- 低下する
- 桁が下がる
- 転落する
- 落下する
- 小さな桁になる
こちらは、ある基準点から何かが転げ落ちるようなイメージの言葉です。中でも、「下落する」は株式の世界でもよく使われる表現となります。
大台に乗るの英語訳
「大台に乗る」は、英語だと次のような言い方をします。
「reach a certain mark」
「reach a certain level」
どちらも「reach(着く・到達する)」を使う点は共通しています。「a certain」は「ある一定の」という意味です。これに「水準」を表す「mark」や「level」を使うことで「ある一定の水準を超える」という訳になります。
例文だと、次のような言い方です。
The price of a stock reached a certain mark.(株価は大台に達した。)
The visitors have finally reached a certain level.(観光客はついに大台に達した。)
大台に乗るの例文
最後に、「大台に乗る」を例文で紹介しておきます。
- 発売した本の累計発行部数が、ついに100万部の大台に乗った。
- 40歳という大台に乗ると同時に、部長へ昇格することになった。
- あの未熟だった君が、こんなにも早く大台に乗るとは思わなかった。
- 売上額が100億円の大台に乗ったら、上場を目指すことにしましょう。
- 60歳という大台に乗った今、彼は定年後のことを考えているようです。
- 大手企業の夏のボーナス額が、ついに100万円の大台に乗ることになった。
- A社の株価は1000円を超えた後、異例の速さで2000円の大台に乗った。
「大台に乗る」は、原則として良い意味で使われます。
売上や年収、株価などが大きくなるのは、基本的には望ましいことです。したがって、どの文章も喜ばしくて華やかな場面で使われるということです。
ただし、「年齢」に対しては必ずしも良い意味で使うとは限りません。特に女性の年齢に対してはこの傾向が当てはまります。
女性は年齢を気にする人が多いので、あまり面と向かって言うと失礼な発言になってしまう可能性もあります。もしも使う場合は、女性自身が自分に対して使う分には問題ありません。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「大台に乗る」=金額や数量などが大きな境目を越すこと。
「語源・由来」=100円単位の株価が上昇し、大きな区切りを超えることから。
「類義語」=「桁が上がる・突破する・突き破る・クリアする・達成する」など。
「英語訳」=「reach a certain mark」「reach a certain level」
大台に乗ることは、人生において誰しもやってきます。もしもあなたが40代や50代になった時に、自分の立ち位置をどう表現するか迷う時もあるでしょう。そんな時はこの慣用句を使ってみてはどうでしょうか?