無知蒙昧 使い方 例文 類語 対義語 同義語

「無知蒙昧」という四字熟語を聞いたことがありますか?

「無知」はともかく、「蒙昧」という言葉はなかなか聞かないかと思われます。実際に、「蒙昧」の意味が分からなくてこの言葉の由来を調べるという人は多いようです。

そこで今回は、「無知蒙昧」の意味や読み方、例文、語源などを含め詳しく解説しました。

無知蒙昧の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的なを紹介します。

【無知蒙昧(むちもうまい)】

知恵や学問がなく、愚かなさま。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

無知蒙昧」は「むちもうまい」と読みます。意味は、「知識や学問がなく、愚かな様子のこと」を表したものです。

例えば、大事な議論をしている際に、その議題について何も知識を持っていない人がいたとします。周りの人からすると、「あいつのせいで、時間がかかるな…」とイライラされてしまうような状態です。

この場合、「彼は無知蒙昧なので、議論が先に進まない」などと言うことができます。「無知蒙昧」とはこのように、知識や知恵がなくて物事が理解できない人を表した四字熟語ということです。

なお、漢字に関しては、「知」を「智」と書いたり、「蒙」を「曚」と書いたりする場合もあります。

「無知蒙昧」⇒「無智蒙昧」「無知曚昧

意味自体はどれを使っても全く同じですが、一般的には辞書の説明にあるように「無知蒙昧」と表記することが多いです。

無知蒙昧の語源・由来

 

「無知蒙昧」は、「無知」と「蒙昧」に分けることができる四字熟語です。

まず、「無知」は「識がい」と書くので、文字通り「知識がない様子」を意味します。物事について知っている内容が、極端にない様子を表した言葉です。

転じて、現在では「何も知らない人のこと」を指すことが多いです。

そして、「蒙昧」ですが、「蒙」は「豕(豚やイノシシ)」が「草」などで覆われる様子、「昧」は「日(太陽)」が「未(伸びてきた若い枝)」に遮られている様子からできた漢字です。

よって、「蒙昧」は「暗い」というのが本来の意味になります。

「暗い」というのは、言い換えると「何も見えない様子」を意味します。転じて、「蒙昧」は「道理が理解できない愚かなこと」という意味になります。

整理すると、「無知」+「蒙昧」=「知識がない」+「道理が理解できない」という二つが合わさった言葉となります。

比較しても分かるように、結局は両者とも同じような意味の言葉です。似た意味を重ねることにより、「物事の道理を全く知らない人」を表した四字熟語ということになります。

無知蒙昧の類義語

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「無知蒙昧」の「類義語」は以下の通りです。

無知無学(むちむがく)】⇒知識も学問もないこと。「無学」は「学問や知識がないこと」を表す。
無知無能(むちむのう)】⇒知識や能力がないこと。「無能」は「能力や才能がないこと」「役に立たないこと」などを表す。
不学無術(ふがくむじゅつ)】⇒学問も技術もないこと。「無術」は「技術がないこと」「何も芸がないこと」などを表す。
無知愚昧(むちぐまい)】⇒知恵や学問がなく、愚かで物事の道理がわからないこと。逆さにして、「愚昧無知」と言う場合もある。
無学文盲(むがくぶんもう)】⇒学問や知識を身につけておらず、字が読めないこと。また、その人。「無学」は「学問や知識がないこと」、「文盲」は「文字が読めないこと」を表す。

全部で5つご紹介しました。「無知蒙昧」の類義語はいくつかありますが、この中では「無知愚昧」が意味としてはかなり近いです。

どちらも「無知で愚か」という意味を含む四字熟語なので、「無知愚昧」は「無知蒙昧」の「同義語」と言ってもよいでしょう。

その他の言葉も、基本的には「知識や学問がない様子」を表すものとなります。

無知蒙昧の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。

博学多才(はくがくたさい)】⇒多くの知識を持ち、さまざまな才能に恵まれていること。「博学」は「広い分野の学問に通じていること」、「多才」は「色々な方面に才能を持っていること」を表す。
博学多識(はくがくたしき)】⇒広く学問に通じていて、様々なことを知っていること。「多識」とは「多くの知識を持っていること」を表す。
博覧強記(はくらんきょうき)】⇒幅広く物事を知っており、それをよく覚えていること。「博覧」は「広く本を読んだり見聞きしたりして、物事をよく知っていること」、「強記」は「記憶力がすぐれている」という意味。

「対義語」の場合は、知識や学問に通じており、物事の道理を分かっている人を表す四字熟語となります。いずれも相手を褒めるときに使うので、良い意味として使われる言葉です。

無知蒙昧の英語訳

 

「無知蒙昧」は、「英語」だと次のように言います。

①「unenlightened(無知な)」

②「uneducated(無教養な)」

③「ignorant(無学の・無知の)」

①と②は前に「否定」を表す「un」が付いています。

「enlightened」は「正しい知識を持った」、「educated」は「教養のある」という意味の形容詞です。それぞれ否定することにより、「無知な」「無教養な」と訳すことができます。

また、③の「ignorant」は「あることを知らない」という意味の形容詞です。無知を表す単語としてよく使われます。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

He is unenlightened about golf.(彼はゴルフに関しては無知です。)

She is utterly uneducated.(彼女は無知蒙昧です。)

He is ignorant of the world.(彼は世間について無知です。)

※2つ目の例文の「utterly」は、「まったく」という意味の副詞です。

無知蒙昧の使い方・例文

 

最後に、「無知蒙昧」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 私は今回の件で自分自身がいかに無知蒙昧であることを実感した。
  2. 政治について無知蒙昧な兄なので、この政策の意味がよく分からなかったようだ。
  3. 彼は専門的な話をしてくれたが、無知蒙昧であるためただ聞いているだけだった。
  4. もっと幅広い分野の本を読まなければ、彼女は無知蒙昧な人間になってしまうだろう。
  5. 弟はいつまでたっても子供で、世の中のことをあまりに知らない。まさに無知蒙昧だ。
  6. あなたはビジネスについて何も理解していない。無知蒙昧にも程があるよ。

 

「無知愚昧」は「知識がなく、物事がよく分からない人」を表す四字熟語でした。したがって、基本的には悪い意味として使われる言葉だと考えて問題ありません。主に相手を否定したり非難したりするような時に使われます。

また、使う対象ですが特に決まってはいないです。自分自身を指すこともありますし、例文のように彼や彼女、身内などに使うこともあります。

ただ、使い方によっては相手との関係が悪くなってしまうことも十分考えられます。そのため、実際には自分の知識が足りないと感じた時に自分自身に対して使うのが無難です。

もしもこの言葉を自分以外に使う時は、「相手から嫌われてもいい」という覚悟で使うようにする必要があると言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

無知蒙昧」=知識や学問がなく、愚かな様子。

語源・由来」=「知識がない様子」+「道理が理解できない様子」

類義語」=「無知無学・不学無術・無知愚昧・無知無能・無学文盲」

対義語」=「博学多才・博学多識・博覧強記」

英語訳」=「unenlightened」「uneducated」「ignorant」

人は誰しも無知の状態で生まれてきます。しかし、何も知らない状態から知識を吸収することで、初めて人として成長できるとも言えます。そういう意味では、「無知蒙昧」は人生における学びの大切さを教えてくれる四字熟語なのかもしれません。