第五段落の言葉一覧

 

ああなんらの悪因ぞ~

【悪因(あくいん)】⇒良くない結果をもたらす原因。悪い因縁。

【ショオペンハウエル】⇒ドイツの厭世主義哲学者。

【シルレル】⇒ドイツの古典主義作家。

【終日(ひねもす)】⇒一日中。朝から晩まで。

【兀坐(こつざ)】⇒じっと座っていること。

【一輪(いちりん)】⇒開いた一つの花。

【名花(めいか)】⇒美しい花。名高い花。

【咲かせてけり】⇒咲かせたのであった。

【繁(しげ)くなりもてゆきて】⇒頻繁になっていき。

【同郷人(どうきょうにん)】⇒郷里が同じ人。 故郷を同じくする人。

【速了(そくりょう)】⇒早合点すること。

【色を漁する(いろをぎょする)】⇒色事にふける。女をあさる。

【痴蠶(ちがい)】⇒無邪気な。たわいもない。

【歓楽(かんらく)】⇒喜び。

【斥す(さす)】⇒名指しにする。指摘する。

【はばかり】⇒遠慮。

【事を好む人】⇒問題が起こることを望む人。

【報じつ(ほうじつ)】⇒報告した。

【さらぬだに】⇒そうでなくてさえ。ただでさえ。

【すこぶる】⇒相当。たいそう。

【岐路に走る(きろにはしる)】⇒本筋からわき道にそれる。

【御身(おんみ)】⇒あなた。

【郷に帰らば(ごうにかえらば)】⇒故郷に帰るならば。

【路用(ろよう)】⇒旅費。

【公の助(おおやけのたすけ)】⇒国の助成。

【猶予(ゆうよ)】⇒実行の日時を延ばすこと。

【とやかう】⇒あれこれ。

【書状(しょじょう)】⇒手紙。

【またなく】⇒この上なく。ふたつとなく。

【妨(さまた)ぐればなり】⇒妨げるからである。

【清白(せいはく)】⇒清廉潔白。品行などが清く、汚れがないこと。

【舞の師(まいのし)】⇒ダンスの先生。

【つのり】⇒(生徒の)募集。

【クルズス】⇒講習。

【ハックレンデル】⇒ドイツの小説家。「ヨーロッパの奴隷生活」(1854)にて、宮廷劇場の踊り子を現代の奴隷に擬した。

【当世(とうせい)】⇒現代。今の世の中。

【薄き給金(うすききゅうきん)】⇒安い給料。

【温習(おんしゅう)】⇒練習。稽古。おさらい。

【紅粉(こうふん)】⇒べにとおしろい。化粧。

【親腹から(おやはらから)】⇒親兄弟。

【辛苦(しんく)】⇒苦労。苦しみ。

【いかにぞや】⇒どんなであろうか。

【賤しい(いやしい)】⇒ 身分や社会的地位が低い。

【業(わざ)】⇒仕事。職業。

【剛気(ごうき)】⇒強く勇ましい気性。

【守護(しゅご)】⇒保護。守ること。

【さすがに】⇒それでもやはり。

【コルポルタアジュ】⇒フランス語で、本の行商を意味する。行商とは店を構えずに商品を持って売り歩くこと。また、その人。

【貸本屋(かしほんや)】⇒期限を決めて、本を有料で貸し出す職業。

【相識る(あいしる)】⇒知り合う。

【趣味(しゅみ)】⇒味わい。おもむき。

【いくほどもなく】⇒いくらも経たないうちに。

【かかれば】⇒こういうわけだから。

【不時(ふじ)】⇒不意。突然。

【免官(めんかん)】⇒免職。官職をやめさせること。

【色を失ひつ】⇒顔色を失った。

【身の】⇒自身の。

【学資(がくし)】⇒学費。

【要なし(ようなし)】⇒必要ない。無用だ。

【愛づ(めづ)】⇒愛する。かわいがる。

【俄に(にわかに)】⇒突然。

【危急存亡の秋(ききゅうそんぼうのとき)】⇒重大な時。

【怪しむ(あやしむ)】⇒不思議に思う。

【誹る(そしる)】⇒非難する。

【数奇(さっき)】⇒不幸。不運。

【鬢の毛(びんのけ)】⇒耳の上の髪。耳ぎわの髪。

【解けて】⇒ほどけて。

【いぢらしき】⇒可憐な。痛々しい。

【感慨(かんがい)】⇒心に深く感じて、しみじみとした気持ちになること。

【いかにせむ】⇒どうしようもない。

【命(めい)】⇒運命。

【学成らずして(がくならずして)】⇒学業も成さないまま。

【浮ぶ瀬あらじ(うかぶせあらじ)】⇒苦しい状況から抜け出る機会もないだろう。

【さればとて】⇒だからといって。

【手だて】⇒手段。方法。

【相沢謙吉(あいざわけんきち)】⇒豊太郎の友人で天方伯の秘書官。豊太郎がクビになった際に、新聞社の仕事を紹介した。

【天方伯(あまかたはく)】⇒大臣。豊太郎にドイツ語の翻訳の仕事をさせ、その優秀さを知り、日本に帰ろうと誘う。

【秘書官(ひしょかん)】⇒大臣・長官などに直属して、機密の文書・事務を取り扱う職。

【官報(かんぽう)】⇒国の公文書など公示事項を登載し、周知させるための機関紙。

【通信員(つうしんいん)】⇒新聞社などから派遣されて、各地の情報を本社へ知らせる人。

【報道せしむる】⇒報道させる。

【午餐(ひるげ)】⇒昼メシ。昼食。

【かへたらんには】⇒変えたならば。

【とかう】⇒あれこれ。

【寄寓(きぐう)】⇒一時的によその家に身をよせて世話になること。

【憂(う)きがなかにも】⇒つらい中にも。

【カッフエエ】⇒コーヒー。

【果(は)つれば】⇒終わると。

【キヨオニヒ街】⇒ベルリン中央部の大通り。

【間口(まぐち)】⇒家屋の正面の幅。

【休息所(きゅうけいじょ】⇒新聞縦覧所を兼ねた休憩室。

【赴く(おもむく)】⇒ある場所に向かって行く。

【引き窓(ひきまど)】⇒スライド式の窓。

【定りたる業なき(さだまりたるわざなき)】⇒定職についていない。

【若人(わこうど)】⇒若者。

【取引所(とりひきじょ)】⇒証券取引所。

【石卓《いしづくえ》】⇒石のテーブル。

【小(こ)をんな】⇒ウェイトレス。給仕の少女。

【一盞(ひとつき)】⇒一杯。

【顧みず(かえりみず)】⇒気にせず。

【幾種(いくいろ)となく】⇒何種類となく。

【かたへ】⇒傍ら。そば。

【何とか見けん】⇒何と見たことだろう。

【よぎりて】⇒立ち寄って。

【常(つね)ならず】⇒普通ではない。

【掌上の舞(しょうじょうのまい)】⇒身振りを使った軽い舞のこと。

【なし得つべき】⇒することができそうな。

【ありしなるべし。】⇒いただろう。いたにちがいない。

【荒みぬ(すさみぬ)】⇒荒れてしまった。

【寄りて(よりて)】⇒寄りかかって。もたれかかって。

【法令(ほうれい)】⇒法律と命令。

【条目(じょうもく)】⇒箇条書きにした法令・規則。

【殊にて(ことにて)】⇒異なっていて。

【活発々たる(かっぱつぱつたる)】⇒活気がある。生気にあふれ、勢いがよい。

【ビョルネ】⇒ドイツの作家。官憲の弾圧を逃れ、パリで政府批判を展開した。

【ハイネ】⇒ドイツの詩人。パリに逃れ、諷刺的な時局批判を行なった。

【思を構へ(おもいをかまへ)】⇒構想を練り。

【ウィルヘルム一世】⇒プロイセン国王。ドイツ皇帝。

【フレデリック三世】⇒デンマーク=ノルウェーの王。クリスティアン4世の子。

【崩萪(ほうそ)】⇒崩御。(ここでは国王の死を敬った表現)

【新帝(しんてい)】⇒ヴィルヘルム二世。

【ビスマルク侯(こう)】⇒ヴィルヘルム一世時代以来のドイツの宰相。

【詳(つまびら)かなる】⇒詳細な。詳しい。

【忙はし】⇒忙しい。

【蔵書(ぞうしょ)】⇒所蔵している書物。

【繙く(ひもとく)】⇒(書物を)開く。読む。

【旧業(きゅうぎょう)】⇒以前の学業。

【たづぬ】⇒調べる。明らかにする。

【難ければ】⇒難しかったので。

【見識(けんしき)】⇒物事を深く見通し、本質をとらえる、すぐれた判断力。

【長(ちょう)じき】⇒伸ばした。成長させた。

【そをいかにといふに】⇒それは何かというと。

【民族学(みんぞくがく)】⇒官学に対してジャーナリストによる批判研究の学問。官学とは政府が認めた学問を指す。

【流布(るふ)】⇒世に広まること。広く世間に行き渡ること。

【若く(しく)】⇒匹敵する。かなう。多く後ろに打ち消しの語を伴って用いる。

【散見(さんけん)】⇒あちこちに見えること。ちらほら目につくこと。

【高尚(こうしょう) 】⇒気高く立派なこと。上品なこと。

【繁く(しげく)】⇒しきりに。しばしば。

【一隻の眼孔(いっそうのがんこう)】⇒物事の本質を見抜く力。

【綜括的(そうかつてき)】⇒総合的。

【大かた(おおかた)】⇒ほとんど。たいはん。

【社説(しゃせつ)】⇒新聞でその社の責任ある意見を載せる論説。

【よくはえ読まぬ】⇒うまく読めない。

第六段落の言葉一覧

 

明治二十一年の冬は来にけり~

【すき】⇒鋤(すき)。ここではスコップの事。

【凸凹坎膃(とつおうかんか)】⇒道が険しいこと。道がこぼこしていること。

【穿つ(うがつ)】⇒貫く。

【なかなかに】⇒―(打消語と呼応して)とても。とうてい。

【卒倒(そっとう)】⇒突然意識を失って倒れること。

【心地(ここち)あし】⇒気分が悪い。

【悪阻(つわり)】⇒妊娠初期にみられる吐き気や嘔吐などの症状。

【おぼつかなし】⇒不安である。気がかりだ。

【いかにせまし】⇒どうしようか。「(もし)~せば~まし」の仮定表現。

【鉄炉(てつろ)】⇒鉄製の暖炉。ストーブ。

【畔(ほとり)】⇒そば。

【程なく(ほどなく)】⇒まもなく。

【庖厨(ほうちゅう)】⇒台所。

【相沢が手(あいざわがて)】⇒相沢の筆跡。

【消印(けしいん)】⇒郵便切手を使用した証拠に押す日付入りのスタンプ。

【訝る(いぶかる)】⇒不審に思う。怪しく思う。

【とみの】⇒急の。

【天方大臣(あまかただいじん)】⇒天方伯のこと。

【見まほし】⇒会いたい。

【疾く(とく)】⇒すぐに。

【思ひしならん】⇒思ったのだろう。

【心になかけそ】⇒心配するな。気にするな。「な~そ」の禁止構文。

【今よりこそ】⇒今からすぐに。

【かくは心を用ゐじ】⇒ここまで気を遣わないだろう。

【まみえもやせん】⇒お目にかかるかもしれない。

【思へばならん】⇒思うからなのだろう。

【上襦袢(うわじゅばん)】⇒ワイシャツのこと。通常、襦袢は下着を表す。

【ゲエロック】⇒フロックコート。男子用の昼間の礼服。

【襟飾り(えりかざり)】⇒ネクタイ。

【手づから】⇒自分の手で。

【誰もえ言はじ】⇒誰も言えないでしょう。

【不興(ふきょう)】⇒不機嫌なさま。

【容を改めて】⇒様子を改めて。改まった様子になって。

【よしや~とも】⇒たとえ~でも。

【富貴(ふうき)】⇒金持ちで、かつ地位や身分が高いこと。

【幾年(いくとせ)をか経ぬるを】⇒何年経っただろうか。

【友にこそ逢(あ)ひには行け】⇒友人に逢いに行くだけだ。

【ドロシユケ】⇒馬一匹で引っ張る馬車。

【輪下(りんか)】⇒車輪の下。

【接吻(せっぷん)】⇒くちづけ。キス。

【朔風(さくふう)】⇒北風。

【楼(たかどの)】⇒建物。

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