舞姫 意味調べ 語句 漢字 読み方 ノート プリント

『舞姫』は、森鴎外の短編小説として非常に有名な作品です。高校現代文の教科書でも取り上げられ、学校の定期テストなどでもよく出題されます。

ただ、作中に出てくる語句は難しいものも多く、原文を理解するのはなかなか難しいです。そこで本記事では、『舞姫』に出てくる重要な言葉を一覧にしてなるべく簡単にまとめました。

第一段落の言葉一覧

 

石炭をば早や~

【舞姫(まいひめ)】⇒踊り子。踊りをする少女。

【石炭(せきたん)】⇒地中に堆積した過去の植物が、長い年月の間に分解・炭化した岩石。

【中等室(ちゅうとうしつ)】⇒汽車や船などの客室・待合室で、上等に次ぐ室。

【熾熱灯(しねつとう)】⇒白熱灯。アーク灯。

【いたづらなり】⇒むだである。

【今宵(こよい)】⇒今夜。今晩。

【夜毎(よごと)】⇒毎夜。毎晩。

【骨牌(かるた)】⇒カルタ。遊びに用いる札。

【残れる(のこれる)】⇒残っている(者)。

【余(よ)】⇒わたくし。われ。

【平生(ひごろ)】⇒普段。いつも。

【洋行(ようこう)】⇒欧米へ旅行・留学すること。

【官命(かんめい)】⇒政府の命令。官庁の命令。

【蒙る(こうむる)】⇒受ける。

【セイゴン】⇒サイゴンのこと。旧南ベトナムの首都で、1976年のベトナム統一により、現在はホーチミンへ改称。

【紀行文(きこうぶん)】⇒旅の感想や体験などを書き記した文章。

【幾千言(いくせんげん)】⇒非常に多くの言葉。「幾」は数の多いことを表す接頭辞、「千言」は多くの言葉という意味。

【かなしけむ】⇒なしただろうか。

【もてはやされしかど】⇒称賛を受けたけれど。

【穉き(おさなき)】⇒子供っぽい様子。

【思想(しそう)】⇒政治や社会に対する考え。

【身の程知らぬ(みのほどしらぬ)】⇒自分の身分や能力などの程度をわきまえていない。

【放言(ほうげん)】⇒無責任な発言。好き放題の発言。

【さらぬも】⇒そうでないものも。

【尋常の(よのつねの)】⇒ありふれた。普通の。

【動植金石(どうしょくきんせき)】⇒動植物や金属・鉱物。

【風俗(ふうぞく)】⇒ある時代や社会における生活上の習わし。風習。

【心ある人】⇒分別があるひと。

【いかにか見けむ】⇒どのように思ったことだろうか。

【途に上りしとき(とにのぼりしとき)】⇒帰国することになったとき。

【日記ものせむ】⇒日記を書こう。

【冊子(さっし)】⇒書物一般のこと。

【物学びせし間に】⇒学問を学んでいた間に。

【ニル・アドミラリイ】⇒何事にも無感動である態度。

【気象(きしょう)】⇒性質。気質。

【や養ひ得たりけむ】⇒身に着けたからであろうか。

【あらず】⇒そうではない。

【故(わけ)】⇒理由。

【げに】⇒本当に。

【猶(なほ)】⇒まだ。やはり。

【多かれ】⇒多いけども。

【浮世(うきよ)】⇒つらいことの多い世の中。

【うきふし(憂き節)】⇒つらく悲しいこと。

【頼み難き(たのみがたき)】⇒頼りにならないこと。

【言ふも更なり】⇒言うまでもない。

【われとわが心】⇒私と私の心。

【変り易きをも悟り得たり】⇒変わりやすいものであるかも思い知った。

【昨日の是(ぜ)は今日の非なる】⇒昨日は正しいと思ったことが今日は誤りである。

【誰にか見せむ】⇒誰に見せようもない。

【縁故(えんこ)】⇒理由。

【嗚呼(ああ)】⇒ああ。物事に深く感じたり驚いたりする気持ちを直接表す語。

【ブリンヂイシイ】⇒イタリア半島南端にある都市の名前。

【生面の客(せいめんのきゃく)】⇒初対面の乗客。

【微恙(びよう)】⇒軽い病気。

【ことよす】⇒かこつける。他の物事のせいにする。

【房(へや)】⇒部屋。小部屋。

【籠る(こもる)】⇒引きこもる。中に入ったまま外に出ない。

【同行(どうこう)】⇒一緒に連れ立って行くこと。

【恨(うらみ)】⇒悲しみ、苦しみ、後悔など。

【一抹(いちまつ)】⇒ほんのわずか。かすか。

【山色(さんしょく)】⇒山の色。

【古蹟(こせき)】⇒遺跡。旧跡。

【腸日ごとに九廻す(はらわたびごとにきゅうかいす)】⇒腸が毎日九回よじれるくらいのひどい痛み。

【惨痛(さんつう)】⇒ひどい痛み。ひどい苦しみ。

【文(ふみ)】⇒書物。手紙。漢詩。

【幾度(いくたび)】⇒何度。たびたび。

【懐旧の情(かいきゅうのじょう)】⇒昔のことをなつかしく感じる気持ち。

【銷す(しょうす)】⇒消す。消し去る。

【なりなむ】⇒きっと~だろう。

【彫りつけられたれば】⇒刻み込まれているので。

【さはあらじ】⇒そういうこともあるまい。

【房奴(ぼうど)】⇒船室の給仕。ボーイのこと。

【電気線の鍵】⇒電灯のスイッチ

【程もあるべければ】⇒まだ時間があるので。

【概略(がいりゃく)】⇒おおよその内容。

第二段落の言葉一覧

 

余は幼き比より~

【庭の訓(にわのおしえ)】⇒家庭教育。

【甲斐(かい)】⇒おかげ。努力した結果。

【旧藩(きゅうはん)】⇒明治維新後、江戸幕府時代の各藩を指していった語。

【学館(がっかん)】⇒学問をするために設けられた建物。学校。

【予備黌(よびこう)】⇒大学の予科のこと。

【一級の首(いっきゅうのはじめ)】⇒首席。

【一人子(ひとりご)】⇒一人っ子。兄弟や姉妹のない子。

【力になして】⇒頼りとして。

【学士(がくし)】⇒大学の卒業者に与えられる学位。

【某省(なにがししょう)】⇒文部科学省や財務省などの省。「某」をつけることで特定をせずぼやかしている。

【出仕(しゅっし)】⇒官庁に勤務すること。

【三とせ(みとせ)】⇒三年。

【官長(かんちょう)】⇒役人の長。某省の豊太郎の上司。

【覚え殊(こと)なりしかば】⇒評判が格別だったので。

【我名を成さむも(わがなをなさんも)】⇒自分の名を上げるにも。

【我家を興さむも(わがやをおこさんも)】⇒家の名を上げるにも。

【今ぞ】⇒今である。

【さまで】⇒それほど。

【模糊(もこ)】⇒はっきりしないさま。

【功名の念(こうみょうのねん)】⇒手柄を立てて、名を上げたいという思い。

【検束(けんそく)】⇒厳しく抑制すること。

【忽ち(たちまち)】⇒すぐに。あっという間に。

【新大都(しんたいと)】⇒新しい大きな都市。

【なんらの~ぞ】⇒どれほど~だろう。

【光彩(こうさい)】⇒美しい輝き。

【色沢(しきたく)】⇒色つや。

【菩提樹下(ぼだいじゅか)】⇒ウンテル・デン・リンデンの訳。ドイツ・ベルリンの大通りの一つ。

【幽静(ゆうせい)】⇒奥深く、もの静かなさま。

【境(さかい)】⇒場所。

【大道髪の如く(だいどう、かみのごとく】⇒大通りが髪の毛のようにまっすぐ伸びているさま。

【ウンテル・デン・リンデン】⇒ドイツ・ベルリンの大通りの一つ。

【両辺(りょうへん)なる】⇒両側にある。

【人道(じんどう)】⇒歩道。

【隊々の(くみぐみの)】⇒幾組もの。

【士女(しじょ)】⇒男と女。

【士官(しかん)】⇒将校のこと。軍人。兵士。

【街に臨める窓に倚(よ)りたまふ】⇒街を臨むことができる窓に寄りかかってらっしゃる。

【妍き(かおよき)】⇒顔かたちの美しい。

【巴里(パリー)まねびの】⇒パリ風をまねた。

【粧(よそおい)】⇒化粧。

【彼も此も(かれもこれも)】⇒あれもこれも。

【土瀝青(チャン)】⇒アスファルト。

【楼閣(ろうかく)】⇒高層の立派な建物。

【夕立(ゆうだち)】⇒夏の午後に降る激しいにわか雨。

【噴井(ふきい)】⇒噴水。

【ブランデンブルク門】⇒ドイツ・ベルリンのシンボルとされている門。門の上に勝利の女神像を頂く。

【半天(はんてん)】⇒中空。大空の真ん中。

【凱旋塔(がいせんとう)】⇒戦勝記念塔。1864年に着工し、1872年に完成。デンマーク戦争・普墺戦争・普仏戦争などの勝利を記念。

【神女の像(しんにょのぞう)】⇒勝利の女神像。「神女」とは「女神や天女」を指す。

【許多(あまた)】⇒たくさん。

【景物(けいぶつ)】⇒景色や物。

【目睫の間に聚まりたれば(もくしょうのかんにあつまりたれば)】⇒きわめて近い所に集まっているので。「目睫の間」は目とまつげの間、転じて極めて近いことのたとえ。

【応接に遑なき(おうせつにいとまなき)】⇒ゆっくり見ている暇がない。※自然の美しい景観が次々と現れることから。

【宜なり(うべなり)】⇒もっともだ。当然だ。

【されど】⇒けれども。しかし。

【あだ】⇒無駄。無益なさま。

【美観(びかん)】⇒美しい眺め。美しい景観。

【心をば動かさじ】⇒心を動かさない。

【我を襲ふ外物(われをおそうがいぶつ)】⇒私を襲って誘惑する外界のもの。

【鈴索(すずなわ)】⇒玄関などに設置されている鈴を鳴らす紐。

【謁を通じ(えつをつうじ)】⇒取次ぎを頼み。身分の高い人に面会を求め。「謁」とは「貴人や目上の人に会うこと」

【おおやけ】⇒公式。

【東来の意(とうらいのい)】⇒東からやって来た目的。※ここでの東は日本のこと。

【普魯西(プロシヤ)】⇒ドイツ連邦の共和国の一つ。

【官員(かんいん)】⇒官吏。役人。

【公使館(こうしかん)】⇒公使が駐在国で公務を執行する公館。公使とは国を代表して外国に常駐する外交使節で大使に次ぐ階級を指す。

【故里(ふるさと)】⇒自分の生まれ育った土地。故郷。

【いづくにて】⇒どこで。

【かくは】⇒こんなに。

【官事(かんじ)】⇒公務。

【かねて】⇒前から。前もって。

【おほやけの許(ゆるし)】⇒公式の許可。政府の許し。

【ところの大学】⇒現地の大学。フリードリヒ・ヴィルヘルム大学(現ベルリン大学)を指す。

【政治学(せいじがく)】⇒政治に対する諸学問。

【簿冊(ぼさつ)】⇒帳簿。ここでは、学籍簿のこと。

【さらぬ】⇒そうではない(もの)。

【幾巻(いくまき)をかなしけむ】⇒何巻になっただろうか。

【思ひ計る(おもいはかる)】⇒考える。考慮する。

【特科(とっか)】⇒特別の学科。

【法家(ほうか)】⇒法律の専門家。法律学者。

【講筵(こうえん)】⇒講義。

【列る(つらなる)】⇒出席する。

【謝金(しゃきん)】⇒学費。授業料。

第三段落~第四段落」へと続く。こちらもしくはページ下部の2をクリック