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公布 施行 違い 適用 制定 意味 使い分け

 

「公布」と「施行」は 、どちらも法律や憲法などに使われている言葉です。また、似たような言葉で「適用」や「制定」が使われることもあります。

ただ、政治の内容となると多くの人が難しく感じると思われます。そこで本記事では、これらの言葉をなるべく分かりやすく解説しました。

公布の意味・読み方

 

まずは、「公布」の意味からです。

【公布(こうふ)】

一般に広く知らせること。

成立した法令・条約などの内容を広く一般国民に知らせるために公示すること。ふつう、官報に掲載される。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

公布」とは「法令や条約などを公示すること」を意味します。簡単に言うと、「新しい法律を国民に発表すること」です。

例えば、以下のように使います。

  • 法律を公布する。
  • 条約を公布する。
  • 憲法を公布した日。

このように、新しくできた法律などを一般国民に広く知らせる行為を「公布」と呼ぶのです。

施行の意味・読み方

 

続いて、「施行」の意味です。

【施行(しこう)】

実際に行うこと。政策・計画などを実行すること。実施。せぎょう。しぎょう。

法令の効力を発生させること。せこう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「施行」には二つ意味がありますが、今回は②の意味のみ解説します。

施行」とは「法律などの効力を発生させること」を表します。簡単に言うと、「法律を実際にスタートさせること」です。

使い方としては、以下の通りです。

  • 法律を施行する。
  • 法律の施行日。

「施行」をした後は、実際にその法律が世の中で使われることを意味します。したがって、もしもその法律を破ってしまえば当然、罰を受けることになります。

公布と施行の違い

公布 施行 違い 使い分け

 

ここまでの内容を整理すると、

公布」=新しい法律を国民に発表すること

施行」=法律を実際にスタートさせること。

ということでした。

両者の違いを簡単に言うと、「発表するのが公布、スタートするのが施行」となります。時系列としては、「公布をした後、施行をする」ということです。

法律というのは内容が難しいです。そのため、最初に国民に発表することによりある程度内容を理解してもらう必要があります。

「明日からこの法律が始まります。」などと急に言われても多くの人が困るでしょう。したがって、スタートさせるまでの準備期間が必要なのです。

一般的には、公布をしてから20日経った後に施行をすることが多いです。ただし、場合によっては公布と施行が同じ日になる場合もあります。

これは緊急を要する際や特に準備をする必要がない場合に行われる傾向にあります。いずれにせよ、法律というのは「公布」⇒「施行」という流れで進められることになります。

適用・制定の意味

適用 制定 意味

 

「公布」と「施行」以外に、「適用」や「制定」という言葉もあります。

まず、「適用(てきよう)」とは「法律をあてはめて使うこと」を表します。

例えば、新しい「〇〇法」という法律が施行されたとします。施行された3日後に、さっそくAさんがこの法律を破りました。

当然、Aさんは「〇〇法」によって処罰されることになります。この時、新聞やニュースでは「〇〇法が適用された」などと書かれるわけです。つまり、施行された法律を実際の事件に当てはめることを「適用」と呼ぶことになります。

そして、もう一つの「制定(せいてい)」とは「国会が法律を定めること」です。法律というのはまず「国会」で作られ、その後、「天皇」が公布して実際に施行されます。流れとしては制定⇒公布⇒施行⇒適用ということです。

法律を公布するためには、まずその法律を作る必要があります。そして、法律を作った後はこの法律で大丈夫かどうかを国会で審議し、問題がなければその法律に決定します。この時の「法律の決定」を「制定」と呼ぶわけです。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

 

【公布・施行の使い方】

  1. 新しい法律が公布されたので、内容を確認してください。
  2. 1954年に旧警察法が全面改正し、新警察法が公布された。
  3. 明日から道路に関する新しい法律が施行されるようだ。
  4. 日本国憲法は、1947年の施行以来まだ改正されていない。
  5. 今回の法律は急であったため、公布日の翌日に施行された。
  6. 日本国憲法は1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行された。

【適用・制定の使い方】

  1. 警察に暴力を振るった人に、公務執行妨害が適用された。
  2. 会社更生法が適用され、その会社は破産手続きが開始された。
  3. 国会議員は、法律を制定するのが主な仕事である。
  4. ドイツのワイマール憲法は、1919年に制定された。
 

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

公布」=新しい法律を国民に発表すること。

施行」=法律を実際にスタートさせること。

適用」=法律をあてはめて使うこと。

制定」=国会が法律を定めること。

法律というのは「制定⇒公布⇒施行⇒適用」の流れで実際に普及していきます。この流れを覚えておけば、それぞれの違いを理解しやすくなるでしょう。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。