口語体 文語体 違い 例文 書き方

文章を書く時には一定のルールがあります。有名なのが「口語体」と「文語体」です。

ただ、この2つに関連して「話し言葉」や「書き言葉」、「ですます調」「である調」などの言葉もよく聞きます。例えば、ビジネス文書であればどれを使えばよいのかという問題があります。

そこで本記事では、これらの疑問を解消するため「口語体」と「文語体」の違いや使い分けについて解説しました。

口語体の意味とは

 

まず、「口語体」の意味を辞書で引いてみます。

【口語体(こうごたい)】

ある時代の、話し言葉の形式。話し言葉体。

現代の、話し言葉に基づく文章の形式。口語文の文体。常体(「だ体」「である体」など)と敬体(「です・ます体」「でございます体」「であります体」など)とがある。⇔文語体。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

口語体」とは「話し言葉に基づく文章形式のこと」を表します。簡単に言えば、「私たちが現代で使っている文章の形のこと」です。

私たちが普段から使っている文章は、語尾に「です・ます」や「だ・である」「であります・でございます」などが来るという特徴があります。

【口語体の例文】

  • 明日は早く起きるつもりです。
  • 彼はクラスで人気があります。
  • 彼女は体を動かすことが苦手だ。
  • 人にとって健康は大切である。
  • 私は東京の出身であります。
  • さようでございます。

いずれの文も、私たちが普段から使っている形式ということが分かるかと思います。

「口語体」は、「から発する言」と書くように、人の口から話したり会話をしたりするという意味が含まれています。したがって、話し言葉の形式を使った文体が「口語体」となるのです。

ただ、厳密に言いますと口語体のすべてが話し言葉になるというわけではありません。後に詳しく解説しますが、「口語体」の中には「書き言葉」も含まれます。

言い換えれば、「口語体」は「話し言葉」と「書き言葉」に分かれるということです。「書き言葉」とは、文字通り「文章を書く時に使う言葉」という意味で話し言葉とは明確に異なるものです。

文語体の意味とは

 

次に、「文語体」の意味も辞書で引いてみます。

【文語体(ぶんごたい)】

「文語②」を用いて書かれた文章形式。⇔口語体。

【文語(ぶんご)】

①話し言葉に対し、文字に書かれた言葉の総称。書き言葉。文字言語。⇔口語。

②文章を書くときに用いられる、日常の話し言葉とは異なった独自の言葉。特に、平安時代語を基礎にして独特の発達をとげた書き言葉をいう。⇔口語。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

文語体」とは「日常の話し言葉とは異なる独自の言葉で書かれた文章形式のこと」を表します。簡単に言えば、「昔使われていた古めかしい文体のこと」です。

「文語体」は平安時代の言葉を基礎に作られており、昭和の初期頃までは普通に使われていました。

ただ、現代においては古文の授業など以外では見かけないため、私たちにとってなじみのある文体ではありません。

【文語体の例文】

  • 蝶よ来いよと思いけり
  • 身を惜しと思ひたり。
  • りんごの木に見えとき。
  • 彼のようなことはでき
  • 今は昔、竹取の翁といふものありけり

「文語体」は「けり」や「たり」「~し」「~ぬ」などのように語尾に特徴があります。

これらの文法は古文の助動詞と呼ばれるもので、まさに昔使われていた文体を意味します。そのため、「文語体」と言えるのです。

「文語体」が使われるケースとしては、昔の俳句や短歌、詩、小説文などの文学的作品が多いです。

現代において「文語体」を使うケースが少ないのは、国が文語体を使うこと自体を推奨していないからという理由もあります。

文化庁が出している「公用文作成の要領」によると、「文語体」の使用は次のように書かれています。

文語調の文体は避け、分かりやすい口語体を用いる

公用文は明治以降、文語体で書かれてきたため、今もその名残が散見される。「~のごとく」「~しつつも」「~とみなし」などは、文語的言い回しであり、堅苦しい印象になる。特に、広報活動で使用する文書では、それぞれ「~のように」「~しながらも」「~とみて」とした方が親しみやすい文章になる。

文語調を用いる場合には誤りのないようにする

文語には簡潔で歯切れのよい表現が作れるという利点もあり、節度を持って用いれば、文章に品位や品格を与える効果もある。口語に直すとそのニュアンスが伝わらないときは用いてもよい。

出典:「公用文作成の要領」の見直しに関する国語課題小委員会の検討状況(案)

要約すると、「原則として文語体は避けるべきであるが、口語を使うとそのニュアンスが伝わらない時は使ってもよい」ということです。

これは公用文についての原則ですが、一般に使う際にもこの原則を当てはめるのが妥当です。なぜなら、無理して文語体を使い相手に意味が伝わりにくい文章となってしまっては元も子もないからです。

口語体と文語体の違い

口語体 文語体 違い 使い分けここまでの内容を整理しますと、

口語体」=現代の話し言葉に基づく文章形式。

文語体」=現代の話し言葉とは違い、昔の文体で書かれた文章形式。

ということでした。

つまり、現代の話し言葉の形式で書かれたものが「口語体」、昔の言葉で書かれた文章の形式が「文語体」ということです。

元々、日本においては江戸時代まで「文章を書くための言葉」と「会話をするための言葉」が分かれていました。しかし、文章と会話でそのたびに言葉を使い分けるとなると、実際の書き手側としては何かと不便です。

そこで、明治時代に入り起こったのが「言文一致運動(1900年~1910年)」と呼ばれるものです。「言文一致運動」とは、それまで分かれていた文章用の言葉と会話用の言葉を統一しようとする運動です。

この運動により、日常的に用いられる話し言葉に近い「口語体」を使って文章を書くことが決まりました。

そして、実際に難しかった書き言葉の文章が話し言葉に近いものへと徐々に変わっていきました。そのため、現在使われている文章のほとんどが「口語体」になっているのです。

ただ、先述したように「口語体」はその中でもさらに「話し言葉」と「書き言葉」に分かれます。

「口語体の話し言葉」というのは、「現代の言葉の中で話し言葉として使われている言葉のこと」です。そして、「口語体の書き言葉」というのは「現代の言葉の中で書き言葉として使われている言葉」のことです。

普段使う文章のメインが口語体である以上、厳密にはこの2つを使い分ける必要があると言えます。

話し言葉と書き言葉の違い

書き言葉 話し言葉 違い「書き言葉」と「話し言葉」は、現代においてその定義ははっきりしていませんが、大まかな傾向のようなものはあります。

以下は、分かりやすいように具体的な例で比較をしたものです。

話し言葉書き言葉
とても非常に
もっとさらに
だんだんと次第に
いつも常に
たぶんおそらく
でもところが
いろんな色々な
御社貴社
みんなみな
どっちどちら
ちゃんときちんと
~じゃない~でない
やっぱりやはり
やる行う
~的には~としては
みたいよう
ちょっと少し

左側の「話し言葉」は、日常的な会話の中で用いるフレーズです。そのため、普段の会話の中ではこの「話し言葉」を主に使います。

一方で、右側の「書き言葉」は文字通り文章を書く中で用いるフレーズです。こちらは特にビジネス文書や公文書などで使われる書き方です。

「書き言葉」は会話の中で使えるものもありますが、「貴社」のように文章の中でしか使えないものもあります。

実際に使い分けるケースとしては以下の通りです。

【話し言葉が許可されるケース】小説・エッセイ・ブログ・SNS・友人宛ての手紙・私的なメール・キャッチコピーなど。

書き言葉を使うべきケース】⇒ビジネス文書・公文書・公用文・ビジネスメール・年賀状・レポート・学術論文・憲法・法律文など。

「話し言葉」の方は、私的な文章を書く場合であれば許可されることがあります。

例えば、友達へのメールや手紙文などは普段の会話とほとんど変わりません。このような会話に近い文章に関しては、「話し言葉」を使っても何ら問題はないということです。

その他、日常会話に比較的近い性質のものであれば、相手に対して「話し言葉」を使っても構いません。

逆に、「書き言葉」の方は私的な文章ではなく公的な文章を書く際に使われます。

例えば、企画書や報告書などのビジネス文書は社内の多くの人間にみてもらうものです。また、公文書や論文なども不特定多数の人間に公式に発表するものです。

これらの文書は会話形式の言葉ではなく、書き言葉の形式でしっかりと書くということです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

口語体」=話し言葉に基づく文章形式(※全てが話し言葉になるわけではない)

文語体」=日常の話し言葉とは異なる独自の言葉で書かれた文章形式。

違い」=「口語体」は「私たちが現代で使っている文章形式」、「文語体」は「昔使われていた文章形式」を表す。

書き言葉」⇒ビジネス文書や公文書など公的な文章を書く際は必ず用いる。

話し言葉」⇒日常会話に比較的近い性質の文章であれば使っても構わない。

現代において「文語体」の文章が使われることはほとんどありません。「文語体」は昔の小説文や古典作品など限定的な使い方のみです。

対して、「口語体」は現代の世の中のほぼすべてで使われており、「話し言葉」と「書き言葉」に分かれます。それぞれの違いと使い分けをぜひ覚えて頂ければと思います。