中学国語の文法で、「助詞」について学びます。
①「格助詞」②「接続助詞」③「副助詞」④「終助詞」
この中で一番よく出題されるのが、「格助詞」と言われています。ただ、実際には分かりにくいと感じる人も多いです。
そこで今回はこの「格助詞」の意味や見分け方を、語呂合わせなどを使いわかりやすく解説しました。
格助詞とは
「格助詞(かくじょし)」とは簡単に言うと「主に名詞の後ろにつく助詞のこと」です。
「助詞」とは「語と語の関係を示したり、細かい意味を添(そ)えたりする語」を表します。
例えば、「海がきれいだ。」という一文があったとしましょう。
この場合、「が」を「格助詞」と言います。なぜなら、「海」という名詞の後ろについている語だからです。
「格助詞」は、主に次の5つの特徴があります。
- 主語であることを示す。
- 連体修飾語であることを示す。
- 連用修飾語であることを示す。
- 並立の関係であることを示す。
- 体言と同じ資格にする。
①主語であることを示す。
⇒「が・の」
【例文】
- 学校がある。
- イスが高い。
- 友達の描いた絵。
この場合、「が」「が」「の」はそれぞれ「学校」「イス」「友達」が文の主語であることを示しています。
つまり「格助詞」があることにより、直前の語が主語である事を示しているということです。
言いかえれば、主語と述語を正しくつなぐ役割をしているのがここでの「格助詞」となります。
ポイントとしては、「が」だけでなく「の」も「格助詞」に含まれる点にあります。
②連体修飾語の一部であることを示す。
⇒「の」
【例文】
- これは先生のペンだ。
- たくさんの服を買った。
- 高校の入学試験を受ける。
この場合の「連体修飾語」は、「先生の」「たくさんの」「高校の」という部分です。
「連体修飾語」とは「体言を修飾する語」のことを指します。「体言」とは簡単に言うと「名詞」のことです。
すなわち、名詞を詳しく説明する語のことを「連体修飾語」と言うわけです。
「連体修飾語」の一部を示す「格助詞」は、すぐ後ろに「ペン」のような「名詞」が来るのが特徴だと言えます。
③連用修飾語の一部であることを示す。
⇒「を・に・で・と・より・へ・から」など。
【例文】
- りんごを食べる。
- みんなに伝える。
- 自転車で帰る。
上の例文の「連用修飾語」は、「りんごを」「みんなに」「自転車で」という部分です。
「連用修飾語」とは「用言を修飾する語」のことを指します。「用言」とは「動詞・形容詞・形容動詞」のことです。
したがって、この場合の「格助詞」はすぐ後ろに「動詞・形容詞・形容動詞」のいずれかが来るのが特徴だと言えます。
ただ、基本的には「食べる」などのような動詞が来ることがほとんどです。
④並立の関係であることを示す。
⇒「と・や・の」など。
【例文】
- 僕と弟は仲良しだ。
- 東京や埼玉へ行った。
- 行くの行かないのとすねている。
「並立(へいりつ)」とは「お互いが並ぶ」という意味です。
主に2つ以上の名詞をつなぐような時に使い、お互いが並立の関係である事を示します。
4つの中でこの「並立の関係」が一番分かりやすいので、間違えることも少ないです。
⑤体言と同じ資格にする。
⇒「の」
【例文】
- 走るのが速い。
- 車を新しいのにする。
- この本は友人のだ。
「体言と同じ資格にする」というのはつまり、「体言の代わりにする」という意味です。
格助詞の「の」は、体言(名詞)の代わりに使い、体言に準じたものにすることができます。
上の例文だと、それぞれの「の」は次のような体言に置き換えることが可能です。
- 「走るのが」⇒「走ることが」
- 「新しいのに」⇒「新しいものに」
- 「友人のだ」⇒「友人のものだ」
「格助詞」はこのように、「こと」や「もの」などに置き換える働きを持ちます。そして、この意味での「の」を「準体言助詞」と呼ぶことがあります。
以上、「格助詞」の主な特徴を紹介しました。基本的には、「格助詞」の働きは上記5つのどれかに当てはまることになります。
格助詞の覚え方
「格助詞」は、以下のように全部で10語あります。
「を・に・が・と・より・で・から・の・へ・や」
逆に言えば、この10語以外が格助詞になることはありません。したがって、覚え方としてはこの10語をそのまま丸暗記してしまうのが一番よいでしょう。
以下は非常に有名な語呂合わせです。
「鬼が戸より出、空の部屋」
イメージとしては、「鬼が戸から出てきた様子、そして鬼がいなくなった部屋は誰もいなくて空っぽ」と考えると分かりやすいです。
例えば、以下のような文があったとしましょう。
先生から生徒へ指示があった。
この場合、「から」「へ」「が」がいずれも語呂合わせの中に含まれるので、「格助詞」と判断することができます。
逆に、以下のような文があったとします。
私は早く走りたい。
この場合は、どの語も語呂合わせの中に含まれていません。よって、「格助詞」は一つもないということが分かるわけです。
このように、「鬼が戸より出、空の部屋」を覚えてしまえば、「格助詞」かそうでないかがすぐに判断できることになります。
ちなみに、「私は~」などの「は」は「格助詞」ではなく「副助詞」と言います。
「格助詞」と「副助詞」は、間違える人が多いので注意してください。
練習問題
では、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。以下に、問題を用意しました。
①格助詞は、主に【(ア)名詞(イ)助動詞(ウ)副詞(エ)接続詞 】の後につく語である。
②格助詞の数は、全部で【(ア)8語(イ)9語(ウ)10語(エ)11語 】ある。
①⇒(ア)②⇒(ウ)
次の下線部の内、「格助詞」はどれか?
(ア)朝からくもりである。
(イ)私は高校2年生です。
(ウ)一つさえもらえない。
(エ)晴れれば、出かける。
⇒(ア)
「を・に・が・と・より・で・から・の・へ・や」を覚えていれば簡単な問題です。なお、(イ)と(ウ)は「副助詞」、(エ)は「接続助詞」です。
次の文中の( )に適切な「格助詞」を入れ、その働きを(ア)~(エ)から答えなさい。
①バット( )ボールを持つ。
②君( )かさを借りる。
③雨が地面( )ぬらす。
④会社で働く( )は楽しい。
⑤坂道で自転車( )パンクした。
(ア)主語を示す(イ)連体修飾語の一部を示す(ウ)連用修飾語の一部を示す(エ)並立を示す。(オ)体言と同じ資格にする。
①⇒「と」・(エ)②⇒「の」・(イ)③⇒「を」・(ウ)④⇒「の」・(オ)⑤⇒「が」・(ア)
次の文中から「格助詞」をすべて抜き出しなさい。
①魚を釣りに東京へ出かける。
②値段が高い。親や友達は、びっくりしている。
③彼の予想通り、今年は冬の来るのが早く、10月末に雪が降りました。
①⇒魚を釣りに東京へ出かける。
②⇒値段が高い。親や友達は、びっくりしている。
③彼の予想通り、今年は冬の来るのが早く、10月末に雪が降りました。
「を・に・が・と・より・で・から・の・へ・や」の中から当てはまるものを抜き出します。注意点としては、「は」は「副助詞」なので「格助詞」には含まれません。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「格助詞」=主に名詞に後ろにつく助詞。①主語②連体修飾語の一部③連用修飾語の一部④並立⑤体言の代わり、のいずれかであることを示す。
【覚え方】⇒「鬼が戸より出、空の部屋」「を・に・が・と・より・で・から・の・へ・や」
最初は覚えるのに苦労するかもしれません。ただ、「格助詞」は10語しかないため覚えてしまえば楽です。語呂合わせを何度も声に出していけば、次第に覚えられるようになるでしょう。