一刀両断 意味 語源 由来 例文 使い方 類義語 英語

「一刀両断」という四字熟語があります。有名な言葉なので一度は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

最近では、日本酒や除草剤、洗剤などの商品名としても使われているようです。ただ、一刀両断とはそもそも誰の言葉なのか気になる人も多いと思われます。

そこで本記事では、「一刀両断」の意味や語源、使い方・英語訳などを含め詳しく解説しました。

一刀両断の意味・読み方

 

まず最初に、この言葉を辞書で引いてみます。

【一刀両断(いっとうりょうだん)】

物事を思い切って処理するたとえ。また、物事をためらわずにきっぱり決断するたとえ。一刀のもとに物を真っ二つに断ち切る意から。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

一刀両断」は「いっとうりょうだん」と読みます。

意味は、「物事を思い切って処理すること・ためらわずに決断すること」などです。

例えば、会社の会議などで社員たちの意見が割れてなかなか会議が進まなかったとします。そんな時に社長の思い切った発言で、皆の意見が一つにまとまりました。

このような時に「社長の一言はまさに一刀両断だった」などと言うわけです。つまり、「一刀両断」とは「物事を迷わずに素早く処理すること」を表す四字熟語ということになります。

日々生活していると、ビジネスに限らず物事はなかなか前に進まないことが多々あります。そんな時に、「迅速かつ思い切った処理をする」という意味で「一刀両断」を使うわけです。

一刀両断の語源・由来

 

「一刀両断」は、「一刀」と「両断」に分けることができる四字熟語です。

まず「一刀」とは文字通り「一つの刀(かたな)」を表します。そして「両断」とは「二つに断ち切ること」を表します。

すなわち、「一刀両断」は「一つの刀で何かを二つに断ち切ること」を意味した言葉である事が分かります。

元々この言葉は、中国宋代の書物である『朱子語類(しゅしごるい)』に由来するものです。『朱子語類』の中に次のような内容の記述があります。

人間は将来を憂いて発奮すると食事を忘れ、楽しむ時は憂いを忘れる。この生き方は一刀両断である。

これは当時の儒学者である「朱子(しゅし)」が、述べたものです。彼は孔子の生き方を「一刀両断」だと称賛しました。

どういうことかと言いますと、将来を心配する時は楽しいはずである食事を忘れ、逆に楽しい時は将来への心配を忘れること。これがまさに人間の心理を表しており、「一刀両断」だと述べたのです。

つまり元々の意味としては、「一つのことへ集中する時の人間の心理」を表した四字熟語であることが分かります。転じて、現在では「(何かに集中すると)他を切り捨てるくらい思い切り物事を進める」という意味で使われているわけです。

「一刀両断」の由来を紐解いていくと、本来は何かを真っ二つに切るような行為ではなく、人が集中する様子から生まれた言葉であることが分かるでしょう。

一刀両断の類義語

一刀両断 類義語 言い換え 別の言い方は

「一刀両断」の「類義語」は以下の通りです。

単刀直入(たんとうちょくにゅう)】⇒前置きなしにすぐに本題や要点を切り出すこと。単刀を握り締め、敵陣にまっしぐらに切り込む意から。
問答無用(もんどうむよう)】⇒議論する必要がないこと。話し合う余地がないこと。「無用」とは「役に立たないこと」を表す。
快刀乱麻(かいとうらんま)】⇒もつれた問題を鮮やかに処理することのたとえ。「快刀乱麻を断つ」という言い方が一般的。
一剣両断(いっけんりょうだん)】⇒「一刀両断」の「刀」を「剣」にした四字熟語。「一刀両断」の「同義語」。

「一刀両断」の意味は「物事を思い切りよく処理すること」でした。したがって、前置きや余地をなくす意味である「単刀直入」や「問答無用」などが主な類義語となります。

また、「快刀乱麻」はよく使われる四字熟語ですが、この言葉自体には「決断する」という意味は含まれていません。

「快刀乱麻」は物事を決断するのではなく解決する時に使う言葉です。この点が「一刀両断」との違いとなります。

最後の「一剣両断」に関しては「一刀両断」と「同義語」だと考えて問題ありません。ただ、同じ意味と言っても、実際には「一刀両断」ほど使われる四字熟語ではないです。

一刀両断の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。

優柔不断(ゆうじゅうふだん)】⇒物事をためらって決断できないこと。
意志薄弱(いしはくじゃく)】⇒意志が弱く、決断力に欠けること。
游移不定(ゆういふてい)】⇒思い切りがつかず、物事を決められないこと。

「一刀両断」は思い切りよく物事を決断することでした。したがって、反対語の場合は「思い切りよく物事を決められない様子」を表した言葉となります。

この中では「優柔不断」が最もよく使われる四字熟語です。

一刀両断の英語訳

 

「一刀両断」は、英語だと次のように言います。

cleave(割る・割く・切り裂く)」

cut in two(真っ二つに)」

in a single sweep(一掃して)」

「cleave」は「割る」という意味の動詞です。主に材木や岩など固い物質をたたき割るような時に使います。

また、「cut in two」は「二つに切る」という意味の熟語です。こちらも何かを物理的に切るような時に使える表現です。

最後の「in a single sweep」は「一掃して」という意味の熟語です。

「sweep」は「掃除する・掃く」などの意味を持ちますが、ここでは「掃くこと」という名詞として使われています。「一掃きすること」は、物事をあっさり処理することと同じなので、「一刀両断」と訳すことができます。

一刀両断の使い方・例文

 

最後に、「一刀両断」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 友人を遊びに誘ってみたが、一刀両断で断られた。
  2. あいつなら今の状況を一刀両断に解決してくれるだろう。
  3. 母親にお金を貸してくれるよう頼んだが、一刀両断された。
  4. 転職を機にこれまでの人間関係を一刀両断することにした。
  5. 今回の問題は難しくて複雑だが、彼女は一刀両断に解決した。
  6. しばらくすると一刀両断するような口調で彼は言い放った。
  7. 両者にはそれぞれ言い分があるので、一刀両断するわけにもいかない。

 

「一刀両断」は、上記のように様々な使い方ができます。

よく使われるのが相手の提案や主張などを断る使い方です。友人の誘いやお金を貸してくれるかどうかの提案などをあっさりと決断して、断るような際によく用いられます。

また、その他には複雑な問題を解決するような場合にも使われます。例文だと5です。

この場合は、普通の人であれば苦労するような問題にも関わらず、巧みにそして上手に解決できたような時に使います。

いずれにせよ、「一刀両断」は刀で相手や物事をスパッと切りつけるようなイメージの言葉です。したがって、その人の「思い切りの良さ」「決断力の速さ」などを表したい時に使うのが適していると言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

一刀両断」=物事を思い切って処理すること・ためらわずに決断すること

語源・由来」=中国宋代の書物、『朱子語類(しゅしごるい)』から。

類義語」=「単刀直入・問答無用・快刀乱麻・一剣両断」

対義語」=「優柔不断・意志薄弱・游移不定」

英語訳」=「cleave」「cut in two」「in a single sweep」

「一刀両断」は漢字だけを見ると刀を使って真っ二つに切ることを意味します。しかし、実際は様々な場面で使える四字熟語です。由来を知ったからには正しい使い方をして頂ければと思います。