一日一善 意味 由来 例文 使い方類語 英語

一日一善」という四字熟語をご存知でしょうか?

最近では、座右の銘としている人もいるほど有名なものです。ただ、具体的な由来やそもそも誰の言葉なのかといった疑問が多い四字熟語でもあります。

そこで今回は、「一日一善」の意味や使い方、語源、英語訳などを詳しく解説しました。

一日一善の意味・読み方

 

まず最初に、この四字熟語を辞書で引いてみます。

【一日一善(いちにちいちぜん)】

1日に一つの善行をして、それを積み重ねるようにしなさいという呼びかけ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

一日一善」は「いちにちいちぜん」と読みます。意味は「一日に一つ善行をして、それを積み重ねること」です。

「善行(ぜんこう)」とは「善(よ)い行い」という意味で、道徳的にかなった行為を表す言葉です。

具体例を挙げますと、例えばあなたが電車に乗っていてお年寄りの人が乗ってきたとします。お年寄りの人は足腰が弱いので立っているだけで辛いものです。そこで、あなたは親切心から席を譲って上げることにしました。

よくあるシーンかもしれませんが、これは「善行」だと言えます。他には「道に落ちているゴミを拾うこと」「忙しい母親の家事を手伝うこと」なども「善行」です。

「善行」は、必ずしも規模の大きな行為を指すわけではありません。

例えば、川でおぼれている子供を救うことや人質を助けることなども立派な善行ですが、このようなヒーロー的な行為でなくてもそれは善行に含まれます。

広い意味では、相手に対して「ありがとう」と感謝するだけでも善行に含まれるのです。

一日一善の由来・語源

 

一日一善」という四字熟語は、仏教が由来です。

仏教では「六度万行(ろくどまんぎょう)」と呼ばれる教えがあります。「六度万行」とは、次の6つの教えのことです。

布施(ふせ) ・・・・与えること・施すことをし、人に親切にする。

持戒(じかい)・・・・規律を守り、言ったことを守るようにする。

忍辱(にんにく)・・・耐え忍ぶこと・我慢することも大事である。

精進(しょうじん)・・努力すること・精進することを怠らない。

禅定(ぜんじょう)・・心を鎮めて反省することをしなさい。

智慧(ちえ)  ・・・上記5つをまとめて真理に即して生きること。

お釈迦様は、六度万行の内どれか一つでも実践することができれば、他の五つも実践したことになると説きました。そして、回数は少なくてもよいので毎日善行を一つずつ重ねなさいと説きました。

つまり、これが現在の「一日一善」の由来ということです。

仏教では、世のため人のために尽くすことができれば自然と開運できると考えています。そして、善行により徳を積み重ねることができれば、最終的には幸せにあの世へ行けると考えています。

「一日一善」とは、そのような仏教の根本思想が含まれた四字熟語ということになります。

一日一善の類義語

一日一善 類義語 対義語 言い換え

「一日一善」の「類義語」は、次の通りです。

勧善懲悪(かんぜんちょうあく)】⇒善行は褒めて、悪行は懲らしめること。善を勧めて悪を懲らしめることから。
嘉言善行(かげんぜんこう)】⇒戒めとなる素晴らしい言葉と立派な行動。「嘉言」とは素晴らしい言葉を指す。
遏悪揚善(あつあくようぜん)】⇒悪を戒めて、善を勧めること。「遏悪」は悪い行いを禁止すること、「揚善」は善い行いを奨励することを指す。
激濁揚清(げきだくようせい)】⇒悪を取り除き、善を勧めること。「激濁」とは激しく濁ったもの、すなわち「悪事」を指す。「揚清」とは清らかなものを揚げること、転じて「善い行いを推奨すること」を指す。
破邪顕正(はじゃけんしょう)⇒悪事を取り締まり、善行を勧めること。孔子の『易経(えききょう)』が由来の言葉。

「一日一善」と似た意味の言葉を持つ四字熟語は比較的多くあります。どれも善い行いをするという意味では共通しています。

ただ、「一日一善」には悪い行いを取り締まったり戒めたりするような意味までは含まれていません。あくまで、善行を一つ一つ積み重ねていきましょうという意味の四字熟語です。

したがって、全く同じ意味の言葉(同義語)は存在しないということになります。なお、「一日一膳」は誤記なので注意してください。

一日一善の対義語

 

逆に、「対義語」としては以下の言葉が挙げられます。

悪逆無道(あくぎゃくむどう)】⇒人の道から外れた非常に悪い悪事。
極悪非道(ごくあくひどう)】⇒この上なく悪い人や悪い行いを表した言葉。
跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)】⇒世に悪人がのさばり、はびこること。

反対語の場合は、悪人であったり悪い行為そのものを表す四字熟語となります。いずれの言葉も当然良い意味としては使われません。

一日一善の英語訳

 

「一日一善」は、英語だと次のように言います。

one good deed a day.

「one」は「一つ」、「good」は「善い」、「deed」は「行為・行動」、「a day」は「一日」を表します。

これらの単語を合わせることで、「一日一つの良い行動」⇒「一日一善」と訳すことができます。「deed」の部分は、「action(行動)」などに代えても構いません。

例文だと、次のような言い方です。

From tomorrow, I will try to do one good deed a day.(明日からは一日一善を心がけるつもりです。)

He’s going to continue one good deed a day.(彼は一日一善を続けるつもりのようだ。)

一日一善の使い方・例文

 

最後に、「一日一善」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 一日一善を実践するために、ボランティア活動を始めることにしました。
  2. 一日一善の精神に惹かれ、仕事で忙しい両親のために家事を手伝うことにした。
  3. 高校を卒業してからは社会人ということもあり、一日一善を意識して行っています。
  4. まずは自分にできることを探し、一日一善を心がけて人のために生きていくつもりです。
  5. 一日一善、日々人を笑顔にさせていると人生が楽しく、そして豊かになることを学びました。
  6. 私の座右の銘は「一日一善」です。毎日少しでもいいので人の役に立つことを行っていきたいです。

 

「一日一善」は、善い行いをコツコツと積み上げていくことです。世のため、人のために行動し、奉仕するような行動を表します。

したがって、例文のように今後の目標や座右の銘として掲げたりすることが多い四字熟語だと言えます。

その他の使い方としては、今まで実践してきた善行を表明するようなシーンでも使うことができます。いずれの場合も良い意味として使えるのが特徴です。

なお、文法的な補足を入れておくと、「一日一善」はこれ自体で名詞扱いをする言葉です。そのため、「一日一善の」「一日一善を」のように使うのが一般的となります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

一日一善」=一日に一つ善行をして、それを積み重ねること

語源・由来」=仏教の「六度万行」という教えの元から。

類義語」=「勧善懲悪・嘉言善行・遏悪揚善・激濁揚清・破邪顕正」

対義語」=「悪逆無道・極悪非道・跳梁跋扈」

英語訳」=「One good deed a day.」

「一日一善」を継続することはなかなか難しいことかもしれません。ただ、大事なのは一日一善を心がけようとする姿勢です。毎日少しずつ善行を積み重ねていくことで、今は変わらなくても将来のあなたの人生は間違いなく豊かになっていくことでしょう。