「意気揚々」という四字熟語をご存知でしょうか?
主に「意気揚々に話す」などのように用いられ、普段の会話でも使うことができます。ただ、具体的にどのような場面で用いればよいのかといった疑問があります。
そこで本記事では、意気揚々の意味や使い方、類語・反対語などを詳しく解説しました。
意気揚々の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【意気揚々(いきようよう)】
⇒得意げで威勢のよいさま。いかにも誇らしげに振る舞うさま。
出典:新明解四字熟語辞典 三省堂
「意気揚々」は「いきようよう」と読みます。
意味は「得意げで威勢の良いさま・いかにも誇らしげなさま」を表したものです。
「得意げ」とは簡単に言うと「人に自慢したい様子のこと」だと考えてください。
例えば、ある学生が試験で満点を取り非常に嬉しがっていたとします。そして、嬉しさのあまり他の生徒や親に対していかにも誇らしげな表情や態度を取っていたとします。
このような時に「彼は意気揚々とした表情をしていた」などと言うわけです。
あるいは試験でなくても構いません。仕事で良い結果を収めたとき、プライベートで何か嬉しいことがあったときなどに誇らしげで自慢げな表情をしていればその人は「意気揚々としている」と言えます。
つまり、意気揚々とは何かに成功したり勝ったりして、自慢げにしている人を表した四字熟語ということです。
意気揚々の語源・由来
「意気揚々」の「意気」は、「意志」の「意」と「気分」の「気」と同じ漢字です。すなわち、「意気」とは「その人の気性や元気さ」を表した言葉となります。
そして、「揚々」の「揚」は「揚(あ)げる」とも読める漢字です。このことから、「揚々」とは「何かを盛んにする」という意味になります。
よって、両者を合わせると「意気揚々」=「気性を盛んにする」「元気にする」などの意味が原義となります。転じて、「得意げ・誇らしげ」という意味になるわけです。
このように考えると、意気揚々は得意げな様子だけでなく、そこに「元気さが加わった言葉」ということが分かるかと思います。
なお、「意気揚々」という四字熟語は中国の歴史書である『史記(しき)』が由来だと言われています。『史記』の中に次のような話があります。
昔々、晏嬰(あんえい)と呼ばれる人物がいた。晏嬰は斉(せい)の宰相を務め、一国の主として君臨していたので外出するときは常に高級な馬車で移動していた。
ある日、馬車で移動中に、晏嬰の隣にいる男の運転手が意気揚々と居座っていた。それを見ていた男の妻は得意げな様子の夫に腹を立て、「あなたは、単なる運転手なのになぜそんなに誇らしげなの?」と尋ねた。
これを聞いた夫は、深く傷ついてショックを受けた。その後、晏嬰は夫に事情を聞き、なぜ落ちこんでいるのかを聞いた。
晏嬰は男が深く反省して心を入れ替えたことから、最終的に今までよりも上級の職に就けたのであった。
この話によると、晏嬰は非常に器が大きい人物であったことが分かります。一方で、馬車の運転手であった男は、地位の高い人を乗せているだけで誇らしげな様子をしていたダメな人物であったことが分かります。
つまり、この運転手の誇らしげにしていた表情が「意気揚々」の由来ということです。現在ではここまで否定的な意味は含まれていませんが、元は否定的な意味を含んでいた四字熟語ということになります。
意気揚々の類義語
続いて、「意気揚々」の「類義語」を紹介します。
以上、四つの類語を紹介しました。
いずれも共通しているのは、「元気・意気盛ん・自信・誇らしげ」といったキーワードです。中でも「得意満面」はほぼ同じ意味なので、「意気揚々」の同義語と言ってもいいでしょう。
意気揚々の対義語
逆に、「対義語」としては主に次の3つが挙げられます。
反対語の場合は、何かに失敗したり敗北したりする際に使われる四字熟語となります。当然、良い意味としては使われません。
意気揚々の英語訳
「意気揚々」は、英語だと次のように言います。
「triumphant」(勝ち誇った・得意の)
「in high spirits」(威勢よく・元気よく)
「triumphant」は「勝ち誇った、得意げな」などの意味です。また、「spirit」は「気分・気持ち」などの意味です。
「high(高い)」を前に付けることで、「高い気分」⇒「上機嫌・得意げ」などの訳になります。
例文だと、それぞれ次のような言い方です。
She was triumphant.(彼女は意気揚々としていた。)
He walked home in high spirits.(彼は意気揚々と歩いて帰っていった)
意気揚々の使い方・例文
最後に、「意気揚々」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 優勝旗を先頭にして、意気揚々と選手たちが歩いてきた。
- 彼女はテストで満点をとったので、意気揚々と母に見せた。
- 新しいマジックを覚えると、彼はいつも意気揚々と披露してくる。
- 難しい問題を解いたその学生は、意気揚々と先生に報告した。
- 試合に勝った選手団の、意気揚々と母校へ凱旋する姿が印象的だった。
- 意気揚々と話す彼の姿に、周りの人間も納得し始めたようです。
- 今日も意気揚々とスタートしたが、いきなりミスをしてしまった。
すでに説明した通り、意気揚々はその人の誇らしげな様子を表した四字熟語です。したがって、前後関係としては勝利や成功などの良いことが起こった後に使うのが適切だと言えます。
ただ、場合によっては後半に意気が沈むような場合に使われることもあります。例文だと、最後の文です。
この場合は、最初は調子が良かったものの物事が途中でうまく行かなくなった様子を表した文となっています。実際にはこの使い方をすることはそこまで多くはありませんが、一つの用例として覚えておくとよいでしょう。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「意気揚々」=得意げで誇らしげなさま。
「語源・由来」=「気性を盛んにする・元気にする」中国の歴史書『史記』から。
「類義語」=「得意満面・意気軒高・意気衝天・意気昂然」
「対義語」=「意気消沈・意気阻喪・垂頭喪気」
「英語訳」=「triumphant」「in high spirits」
人の表情というのは、様々な種類があります。「意気揚々」とはその中でも自慢げで誇らしい様子を表した四字熟語だと覚えておきましょう。