「百戦錬磨」という四字熟語をご存知でしょうか?
「百戦錬磨の精鋭」「百戦錬磨のつわもの」などのように言います。
有名な言葉なので、
座右の銘として掲げている人もいます。
近年では、恋愛に対しても使われているようですね。
ただ、この四字熟語を本当にほめ言葉として
使っていいのか気になる人も多いようです。
そこで今回は、
「百戦錬磨」の意味や使い方・類義語・反対語
などをなるべく分かりやすく解説しました。
さっそく、確認していきましょう。
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百戦錬磨の意味・読み方
まずは、基本的な意味と読み方からです。
【百戦錬磨(ひゃくせんれんま)】
⇒数々の実戦で鍛えられること。また、多くの経験を積んでいること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「百戦錬磨」は、「ひゃくせんれんま」と読みます。
意味は、「数多くの実戦で鍛えられること」もしくは
「多くの経験を積んでいること」を表したものです。
例えば、ボクシングの世界チャンピオンなどは、
今まで数多くの実戦をして鍛えられているので、
「百戦錬磨」だと言えます。
また、高校野球の常連校で毎年甲子園に行くような強豪チームも
実戦で常に鍛えられているので、「百戦錬磨」と呼べます。
このように、「百戦錬磨」とは、
多くの実戦や経験により、対象が鍛え上げられていることを表すと考えて下さい。
「戦」という字が入っているので、格闘技やスポーツなど
人が対決する場面でしか使われないと思われがちですが、実際はそうではありません。
ビジネスや日常会話、ゲームなど幅広いジャンルで使われています。
なお、「錬磨」は「練磨」と書く場合もあります。
どちらを使っても意味自体は同じですが、
一般的には前者の「錬磨」を使うことが多いようです。
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百戦錬磨の語源・由来
「百戦錬磨」は、
「百戦」と「錬磨」に分けることができる四字熟語です。
「百戦」とは文字通り「百回戦うこと」
「錬磨」とは「鍛えて磨き上げること」を表します。
「錬」という字は「錬金」「精錬」などの言葉があるように、
元々は「金属を良質なものにする」という意味でした。
そして、「磨」という字は、
「腕を磨く」などの表現があるように、
「努力して学問や技芸を上達させる」という意味がありました。
このことから、「錬磨」は
「何かの能力や技術を鍛えて磨き上げること」を表すようになったのです。
整理すると、「百戦錬磨」の元々の意味は、
「百回戦うこと」+「鍛えて磨き上げること」ということになります。
転じて、現在使われている
「実戦や経験により鍛え上げられている」
という意味になったということです。
現在では、必ずしも実際に百回戦った人を対象とする
というわけではありません。
百という数字はあくまでも数が多いことを例えたものだと考えてください。
ちなみに、「百戦錬磨」という四字熟語は
中国由来のものだと言われていますが、
明確な出典は残念ながら確認されていません。
ただ、「百戦」という言葉自体は、
春秋戦国時代の兵法書である「呉子(ごし)」の中に書かれています。
以下、引用した箇所です。
「百戰不殆(百戦すれども殆(あや)うからず)」
意味は「何度戦っても負けることはない」ということです。
この「百戦」という言葉が日本語の「錬磨」と結びつき、
「百戦錬磨」が生まれたのではという説もあります。
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百戦錬磨の類義語
続いて、「百戦錬磨」の「類語」を紹介します。
【海千山千(うみせんやません)】
⇒長い間様々な経験を積み、世の中の裏も表も知り尽くしていること。
【精金百練(せいきんひゃくれん)】
⇒金属を百回磨いたくらい経験が豊富なこと。
【千軍万馬(せんぐんばんば)】
⇒戦闘の経験が豊富なこと。転じて、豊富な社会経験があること。
【百錬成鋼(ひゃくれんせいこう)】
⇒心身を強く鍛えることにより、立派な人物になること。
【飽経風葬(ほうけいふうそう)】
⇒多くの苦労を経験していて、したたかで狡猾なこと。
以上、5つの類語を紹介しました。
この中でも「海千山千」はよく使われる四字熟語なので、
覚えておいた方がいいでしょう。
「海千山千」とは、
「世の中の裏も表も知り尽くしている」という意味です。
「海に千年、山に千年住みついた蛇は竜になる」
という昔の言い伝えからできた言葉だと言われています。
「百戦錬磨」と「海千山千」の違いは、
「悪い意味として使うかどうか」という点です。
「海千山千」は、基本的に悪い意味として使います。
主に世の中の裏を知っている悪賢い人を対象とする場合が多いです。
一方で、「百戦錬磨」は「褒め言葉」として使います。
こちらは悪い意味としては使わず、
相手を褒めるような時に使うのが基本です。
百戦錬磨の対義語
一方で、「百戦錬磨」の「対義語」としては、
次の3つが挙げられます。
【浅学寡聞(せんがくかぶん)】
⇒学問や知識などが足りなく、経験が浅いこと。
※上下を逆にして、「寡聞浅学」と言う場合もある。
【浅識非才(せんしきひさい)】
⇒学問や知識が浅く、才能が乏しいこと。
自分を謙遜して言うのが基本で、学問や知識にしか使わない。
【口尚乳臭(こうしょうにゅうしゅう)】
⇒経験が足りず、未熟で世の中を分かっていないこと。
乳臭いのは、親離れができていないことを表すため。
「百戦錬磨」の「反対語」は、
「実戦経験が少ないこと」を表した言葉となります。
そこから派生して、
「学問や知識が浅いこと・未熟なこと」
などの言葉も類語に含まれます。
百戦錬磨の英語訳
「百戦錬磨」は、英語だと次のように言います。
「veteran(老練家・ベテラン)」
「expert(熟練者・専門家)」
「veteran」は、日本語でも
「ベテラン」と表記されているほど有名な言葉です。
その道に長くいる経験豊富な人を指し、
特に一定の年齢を経た人に対して使うことが多いです。
また、「expert」の方は
「専門家」というニュアンスが強い英単語です。
日本語でも「エキスパート」などと呼ぶことがあり、
年齢というよりはその人の技術や技量の高さを表した言葉となります。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
He is a veteran professional baseball player.(彼はベテランのプロ野球選手だ。)
It looks surprising, he is an expert engineer.(意外に見えるが、彼は熟練のエンジニアだ。)
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百戦錬磨の使い方・例文
では、最後に「百戦錬磨」の使い方を
例文で確認しておきましょう。
- 彼は百戦錬磨のつわものとして知られている人物である。
- 百戦錬磨の精鋭を集めた日本代表チームがついに結成された。
- プロ同士の将棋対局で100勝以上もしているなんて、まさに百戦錬磨だ。
- あそこの会社は社員数こそ少ないが、百戦錬磨のベテラン揃いと聞く。
- 彼は営業成績が社内でナンバーワンらしい。百戦錬磨とはこのことだね。
- 百戦錬磨の達人と言われるほど、女性を口説くのが得意なナンパ師だ。
「百戦錬磨」は、
上記のように様々なシーンで使うことができます。
一般的には、スポーツ・ビジネス・ゲームなど
実戦や経験を積んでいくものに使われることが多いです。
特にビジネスでは
営業成績が飛びぬけて優秀な人などに使われます。
日常的に使う場面としては「恋愛」も挙げられるでしょう。
「恋愛」では、「相手との駆け引きが上手な人」
「相手を落とすテクニックを持っている人」といった意味で使われます。
「恋愛」というのも人付き合いの一種ですから、
経験を積んでいくことで技術が向上していきます。
そのため、「百戦錬磨」を使うケースがあるということです。
まとめ
以上、内容をまとめると下記のようになります。
「百戦錬磨」=「数多くの実戦で鍛えられること」「多くの経験を積んでいること」
「語源」=「百回戦うこと」と「鍛えて磨き上げること」から。
「類義語」=「海千山千・精金百練・千軍万馬・百錬成鋼・飽経風葬」
「対義語」=「浅学寡聞・浅識非才・口尚乳臭」
「英語訳」=「veteran」「expert」
「百戦錬磨」は、ほめ言葉として使える四字熟語です。
意味を覚えたからには、
普段の生活で使ってみてはどうでしょうか?
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国語力アップ.com管理人
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