「はんめん」を漢字で書く場合、次のように二つの書き方があります。
「反面教師」「半面マスク」
両方とも普段の文章でよく使われていますが、どう使い分ければよいのでしょうか?今回は、「反面」と「半面」の違いについて詳しく解説しました。
反面の意味
まずは、「反面」の意味からです。
【反面(はんめん)】
①反対の面。反対の方面。
②(副詞的に用いて)他の面から見る場合。他面。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「反面」には、二つの意味があります。一つ目は「反対の面」という意味です。
【例】⇒相手に盾の反面を見せる。
この場合はつまり、「盾の反対側の面を見せる」ということです。一つ目の意味の場合は、このように表側と裏側の両方があるものに対して使われます。
そして二つ目は、「一方では・他方では」という意味です。
【例】⇒車は便利だが、反面、事故の危険性もある。
この場合は副詞的な使い方をし、前半で述べたことに対し、反対のことを述べるような場合に使います。一種の「逆接」と同じ意味です。
「逆接」とは「でも」や「しかし」などの接続詞によって、前後を結びつけることを表します。したがって、②の意味で使う場合は「逆接の接続詞」と同じだと考えれば問題ありません。
半面の意味
続いて、「半面」の意味です。
【半面(はんめん)】
①顔の半分。
②ある広さの表面の半分。
③物事の片方の面。一面。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「半面」とは簡単に言うと「何かの半分」という意味です。例えば、以下のように使います。
【例】⇒用紙の上の半面を赤く塗る。
つまり、「用紙の上半分を赤くぬる」ということです。
他には、①のように「顔の半分」という意味で使う場合もあります。いずれにせよ、「何か一定の広さを持った物の半分」を「半面」と言うわけです。
ちなみに、「半面」には「物事の片方の面。一面。」という意味もあります。
【例】⇒つらかった半面、楽しさもあった。
この意味の場合は、「反面」の②の意味と同じだと考えて下さい。
反面と半面の違い
ここまでの内容を整理すると、
「反面」=①反対の面。②一方では、他方では。
「半面」=①何かの半分(顔の半分)②物事の片方の面。一面。
ということでした。
両者はどのように使い分ければいいのでしょうか?
結論から言いますと、
「①の意味の場合は使い分ける。②の意味の場合はどちらを使ってもよい」
ということになります。
改めて例文で比較してみましょう。
彼女はかわいいが、はんめん怖さもある。
この場合、「反面」と「半面」のどちらを使っても正解となります。それぞれの場合で訳してみると、次のようになります。
「反面」⇒「彼女はかわいいが、一方で怖さもある」
「半面」⇒「彼女はかわいいが、怖さという一面もある」
比較すると分かるように、どちらも言ってることに変わりはありません。したがって、②の意味で使う場合はどちらを使っても問題ないのです。
一方で、①の意味の場合はどうでしょうか?
よく使われる言葉として、「はんめん教師」というのがあります。「はんめん教師」とは悪い人の見本を見て参考にすることです。
この場合は、「反面」を使うのが正解となります。なぜなら、「反面教師」とは「自分と反対の性質の人を見て参考にすること」だからです。
もしも「半面教師」ならば、「自分と半分の人を見る」というよく分からない意味になってしまいます。そのため、「半面」ではなく「反面」を使うのです。
ちなみに、日本新聞協会では②の意味の場合は「半面」で統一するというルールを定めているようです。逆の言い方をすれば、②の意味の場合は原則、「反面」は使わないということです。
これは混乱を避けるためと、読者に分かりやすいイメージを与えたいからだと思われます。しかし、現実的にはなかなか両者を統一するのは難しいと言えます。
したがって、覚え方としては「①の用例を先に覚え、それ以外は両方とも使える」と覚えておくのがよいでしょう。
使い方・例文
最後に、「反面」と「半面」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。
【反面の使い方】
- あの人は本当に性格が悪いが、反面教師として自分に生かそう。
- 壁の反面にも断熱材を入れて、寒さを防げる家にしたいです。
- 板の反面を赤色でぬり、両面を違う色に仕上げるつもりです。
- 彼は厳しい性格の反面、やさしくて情に深い人物でもある。
- 彼女の人生は苦労が多かった反面、喜びも多かったと言える。
【半面の使い方】
- テニスコートの半面を使って、練習を始める。
- 顔の半面を黒くぬり、特殊メイクをほどこした。
- 彼らは部屋の半面を使い分けて、共同生活を行った。
- 学校は必要ないという意見は、半面の真理がある。
- スマホは便利なツールだが、半面さまざまな弊害もある。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「反面」=①反対の面のこと。②一方では、他方では。
「半面」=①何かの半分のこと。②物事の片方の面。一面。
「使い分け」⇒②はどちらでも使えるが、①の場合は使い分ける。
「反面」と「半面」は、意味が重なっている部分もあります。ただ、「反対の面」、「何かの半分」という意味で使う場合はそれぞれぞれ使い分けるようにしてください。