「はいすい」を漢字で書く場合、「排水」と「廃水」の二つがあります。
特に工場では、「工場排水」「廃水処理」などのようにどちらも使われているので迷うと思われます。
そこで本記事では、「排水」と「廃水」の違いについて詳しく解説しました。後半では、「配水」についても触れています。
排水の意味・読み方
まずは、「排水」の意味からです。
【排水(はいすい)】
①不用な水を排出すること。
②物体が水に浮かんだとき、水中につかった部分と同体積の水を押しのけること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「排水」とは「不用な水を外に出すこと」を意味します。また、場合によっては「不要な水そのもの」を指すこともあります。
使い方としては以下の通りです。
- 雨を排水する。
- 生活排水。
- 工場排水。
このように、「使わない水を外に出すこと」あるいは「使わない水そのもの」のことを「排水」と言うわけです。
なお、辞書の説明だと「排水」にはもう一つ意味がありますが、この意味で使うことはほとんどありません。そのため、無理に覚える必要はないと言えます。
廃水の意味・読み方
続いて、「廃水」の意味です。
【廃水(はいすい)】
⇒使用後、不純物・有害物質等で汚れたために捨てる水。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「廃水」とは「汚れたために捨てる水」のことを表します。例えば、以下のような使い方です。
- 廃水処理場。
- 工場の有害廃水。
- 廃水処理装置。
簡単に言うと、「汚い水」ということです。
「廃水」は「廃(すた)れた水」と書きます。「廃れる」とは 物事が衰えたり、物が腐ったりしてだめになることを表します。そのため、捨てるべきような汚い水に対して使うのです。
また、「廃水」の方は名詞としての意味しか持っていないのも特徴です。「〇〇を廃水する」などの使い方はできないので注意してください。
排水と廃水の違い
ここまでの内容を整理すると、
「排水」=使わない水を外に出すこと。使わない水。「廃水」=汚れたために捨てる水。
ということでした。
両者の違いを二つの点から比較したいと思います。
一つ目は、「水が汚いかどうか」です。
どちらの水も「汚い」というイメージがあります。しかしながら、「排水」の方は必ずしも汚いとは限りません。
例えば、「生活排水」というのは、トイレやお風呂などの汚水以外に普通に流したきれいな水も含まれます。冷静に考えれば、料理中に流す水がすべて汚いわけがありません。
つまり、「排水」の方は水が汚いか汚くないかに限らず「そこから水を出すこと」に焦点を当てた言葉なのです。
一方で、「廃水」の方は「必ず汚い水」だと言えます。
「廃水」は、何かを処理したり洗ったりした結果として、不純物や有害物質などが含まれた水です。そのため、「廃水処理場」「有害廃水」などのような使い方をするわけです。
そして二つ目は、「文法的な違い」です。
「排水」の方は、名詞と動詞の両方で使うことができます。そのため、「水を排水する」「生活排水」などのようにどちらの使い方も可能です。
対して、「廃水」の方は名詞としての意味しか持っていません。したがって、「〇〇を廃水する」などのような動詞としての使い方はできないのです。
違いをまとめると、
「排水」=汚い・汚くないを問わず、水を外に出すこと。
「廃水」=間違いなく汚い水。(名詞でしか使えない)
となります。
工場で使う場合は?
すでに説明した通り、基本的には「汚いか汚くないかで判断する」ということでした。しかし、実際にはその判断が難しい場合もあります。
例えば、「工場排水」という言葉です。一般的には、「工場から出される水」に対しては「排水」が使われています。
なぜなら、工場から下水道に出される水は、汚水のほかに雨水なども含まれるからです。また、「生活排水」と同様に、そもそも全て汚い水を流している工場とは限らないためです。
ただし、場合によっては「工場廃水」「工業廃水」などと言うこともあります。この場合は、「化学工場などで出される有害物質の混ざった水」という意味です。
つまり、環境破壊や公害問題などの意味が強調されるような場合は「廃水」を使うのです。
このように、工場から出される水については、その工場で何を作っていて、そしてどんな水を出しているかによっても異なってきます。そのため、場面や状況などに応じてうまく使い分けるようにしてください。
なお、似たような言葉で「配水(はいすい)」があります。
「配水」とは「上水道などの水を給水区域内に配ること」です。使い方としては、「配水管」「配水場」などのように用います。
私たちが普段使っている水は、まず浄水場という場所できれいにされます。その後、浄水場できれいになった水は、配水の拠点となる場所まで送られてきます。
そして、最終的に私たちが使っている各家庭の家に水が配られてきます。この一連の過程のことを「配水」と言うわけです。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。
【排水の使い方】
- 生活排水の処理状況は、毎年国が発表している。
- 家の中から道路につながる排水設備を確認する。
- 新しく家を建てるには、雨を排水する設備が必須である。
- 洗面所の排水溝が詰まってしまったので、解消した。
- 排水トラップを、排水口に装着するようにしてください。
【廃水の使い方】
- 地元に新しい廃水処理場が設置されたようだ。
- 原子力発電所から出される工業廃水は、環境に良くない。
- その化学工場は、毎日何百万トンもの廃水を垂れ流している。
- 海を汚染させないように、廃水処理施設を作る予定です。
- 工場の廃水設備が古いので、最新のものに整えます。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「排水」=使わない水を外に出すこと。使わない水。(動詞と名詞が可能)
「廃水」=汚れたために捨てる水。(名詞のみしか使えない)
「配水」=上水道などの水を給水区域内に配ること。
「排水」は「汚さに関係なく、水を外に出すこと」です。一方で、「廃水」は「汚い水そのもの」を表した言葉です。「配水」に関しては、各家庭に水が配られてくる一連の過程のことだと覚えておきましょう。