栄枯盛衰  意味 わかりやすく 簡単に 諸行無常と盛者必衰

「栄枯盛衰」という四字熟語をご存知でしょうか?歴史やビジネスなど様々な場面で用いられているものです。

ただ、具体的にどのような意味を持つのか分かりにくい言葉でもあります。また、似たような四字熟語の「諸行無常」や「盛者必衰」との違いも気になるところです。

本記事では、「栄枯盛衰」の例文や類義語、反対語などを含めなるべく簡単に解説しました。

栄枯盛衰の意味・読み方

 

まず、「栄枯盛衰」の意味を辞書で引いてみます。

栄枯盛衰(えいこせいすい)

栄えることと衰えること。世の中すべての人や物事には繁栄と衰退があるということ。

出典:学研 四字熟語辞典

栄枯盛衰」は「えいこせいすい」と読みます。

意味は「栄えることと衰えること・世の中のすべてには繁栄と衰退があること」を表したものです。

例えば、歴史上の人物は、栄えることと衰えることの両方を経験してきた者が多いです。

有名な人物だと、織田信長などは天下統一を果たしたのちに、最後は明智光秀に暗殺されて生涯を終えました。他には、平清盛なども天下をわが物にしたわずか20年後に、いくさによって滅びてしまいました。

つまり、どんなに優れた人であっても栄えたり衰えたりすることを繰り返していると言えます。この事を「栄枯盛衰」と呼んでいるわけです。

「栄枯盛衰」は、時にその人にとって残酷な運命を指しかねません。そのため、「人生のはかなさ・世の中のはかなさ」などを指して言うこともあります。

栄枯盛衰の語源・由来

 

「栄枯盛衰」は、「栄枯」と「盛衰」の二語から成る四字熟語です。

まず、「栄枯」とは「草木が茂ることと枯れること」、そして「盛衰」とは「栄えることと衰えること」を表します。

つまり、まるで草木が生い茂って盛んになったり、逆に草木が枯れて衰えたりする様子に例えて、「栄枯盛衰」を使うようになったわけです。

元々、「栄枯盛衰」は平安時代に行われた源氏と平氏の主権争いが由来だと言われています。この源氏と平氏の戦いの様子は、鎌倉時代の軍記物語である『平家物語』に記されています。

当時の平氏はまさに絶頂期で壮大な権力を持っていました。ところが、源氏との戦いに敗れたことで、最終的に平氏の力は衰退していくこととなります。

この事から、「いつの時代であっても人や国は栄えたり衰えたりを繰り返すものだ」という教訓が当時の世の中に広がりました。そして最終的には、現在のように「栄枯盛衰」が様々な場面で使われるようになったということです。

栄枯盛衰の類義語

栄枯盛衰 類義語 言い換え 別の言い方 同義語

続いて、「栄枯盛衰」の「類義語」を紹介します。

諸行無常(しょぎょうむじょう)】⇒この世のすべてのものは移り変わっていき、不変なものはないこと。仏教の根本思想である「三法印」の一つが由来。
盛者必衰(じょうしゃひっすい)】⇒勢い盛んな者もいつかは必ず衰えて滅びること。「諸行無常」と同じく、仏教用語から来たもの。
一栄一落(いちえいいちらく)】⇒人が栄えたり衰えたりすること。春には花が咲き、秋には葉が落ちることから。
七転八起(しちてんはっき)】⇒何度失敗してもあきらめずに努力すること。人生の浮き沈みが激しいこと。七度転んでも八度起き上がる意から。
栄枯浮沈(えいこふちん)】⇒物事の勢いが盛んになったり衰えたりすること。「浮沈」とは「浮いたり沈んだりすること」、転じて「栄えることと衰えること」を表す。
盛衰興亡(せいすいこうぼう)】⇒国家などが強大になって栄えたり衰え滅んだりすること。 「興亡」とは「おこることとほろびること」を表す。

この中だと、「一栄一落」と「栄枯浮沈」は、「栄枯盛衰」とほぼ同じ意味です。この二つは、「栄枯盛衰」の同義語と定義しても構いません。その他の四字熟語に関しては、少々意味や使う場面が異なってきます。

例えば、「諸行無常」は繁栄や衰退に限らず、物事が常に変化していけば使うことができます。また、万物が対象となるので、「栄枯盛衰」よりも対象となるものが広いです。

また、「盛者必衰」は「勢い盛んな者が衰えて滅びる様子」を表した言葉です。「栄枯盛衰」のように、繁栄と衰退を「繰り返す」というニュアンスまでは含まれません。

七転八起」は、人の繁栄や衰退というよりは、その人が努力することを強調するような場面で用いられます。最後の「盛衰興亡」に関しては、人ではなく国家に対して使われるという特徴があります。

他には、ことわざだと「驕れる者久しからず」なども類義語に含まれます。「驕れる者久しからず」とは「地位や名声などに頼って威張っているような者は、遠からず落ちぶれるものだ」という意味の表現です。

平家物語の冒頭の「驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し」の一文に由来する表現です。

栄枯盛衰の対義語

 

逆に、「栄枯盛衰」の対義語としては以下の言葉が挙げられます。

永久不滅(えいきゅうふめつ)】⇒いつまでも滅びずに、残り続けること。
永久不変(えいきゅうふへん)】⇒いつまでもずっと変わらないこと。
平穏無事(へいおんぶじ)】⇒特に変わったこともなく、穏やかなこと。
千古不磨(せんこふま)】⇒遠い昔からずっと変わらないこと。特に文化的なものや芸術品に対して使われる。

反対語は、いつまでも滅びないことやいつまでも変わらないことなどを表した言葉となります。

ただ、世の中にはずっと変わらずに不変的なものというのは存在しません。ゆえに、「永久不滅を目指す(理想)」もしくは「永久不変はない(否定)」などのように用いるのが一般的です。

栄枯盛衰の英語訳

 

「栄枯盛衰」を直接的に表すよう英語表現は残念ながらありません。ただ、間接的には同じような意味を伝えることができます。

Everything is in flux.」(万物は流転する)

Everything that rises will fall.」 (上昇するすべてのものは落下する)

Nothing is permanent.」(永久的なものなどない。)

Life is impermanence.」(人生は永久的ではない。)

英語圏では、主な宗教はキリスト教やユダヤ教なので、仏教のような諸行無常的な概念が存在しません。そのため、ネイティブの人には「栄枯盛衰」や「諸行無常」を直接伝えるのではなく、このように間接的に表現するようにします。

栄枯盛衰の使い方・例文

 

最後に、「栄枯盛衰」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. あれだけ人気のあった芸能人がここまで落ちぶれるなんて、栄枯盛衰をしみじみと感じるよ。
  2. かつて大活躍したプロ野球選手が引退する日が来るとは、栄枯盛衰のはかなさを感じます。
  3. どんなに有名な企業であってもずっと安定しているわけではなく、栄枯盛衰を繰り返すものだ。
  4. わが社は栄枯盛衰を繰り返すことにより、今の成長した姿になることができたと言えるだろう。
  5. 経済というのはずっと調子がよいわけではなく、栄枯盛衰を繰り返すことで成長していくものである。
  6. 今は大変でも栄枯盛衰を繰り返すのが世の常なので、前向きにこれからも頑張っていくつもりです。
  7. 栄枯盛衰は世の中の常なので、たとえ調子がよくても悪い時に備えてしっかりと準備しないといけない。

 

「栄枯盛衰」は人や会社、経済状況など様々な対象に使うことができます。この言葉自体には、良い意味も悪い意味も含まれていません、そのため、世の中の成り立ちを客観的に表すような場面で用いるのが適切だと言えます。

一方で世のはかなさを嘆いたり、これからの未来に備えて衰退後の繁栄を願うような意味として使われることもあります。その他、ビジネスシーンにおいても使うことができますので、状況に応じて上手く使うようにしてください。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

栄枯盛衰」=栄えることと衰えること・世の中のすべてには繁栄と衰退があること。

語源・由来」=「栄枯」は「草木が茂ることと枯れること」、「盛衰」は「栄えることと衰えること」。源氏との争いで平氏が敗れたことから。

類義語」=「諸行無常・盛者必衰・一栄一落・七転八起・栄枯浮沈・盛衰興亡」

対義語」=「永久不滅・永久不変・平穏無事・千古不磨」

英語訳」=「Everything is in flux.」「Everything that rises will fall. 」「Nothing is permanent.」「Life is impermanence.」

「栄枯盛衰」は、世の中の真理を表した四字熟語です。正しい意味を覚えたからには、ぜひ普段の文章でも使って頂ければと思います。