英気 鋭気 違い 使い分け 意味

漢字で「えいき」と書く場合、二つの表記の仕方があります。それぞれ、「英気を養う」「鋭気に満ちた」などのように用います。

両方ともよく目にする言葉ですが、どのように使い分ければよいのでしょうか?今回は、「英気」と「鋭気」の違いについて詳しく解説しました。

英気の意味・読み方

 

まずは、「英気」の意味からです。

【英気(えいき)】

人より優れた才気・気性。

物事に積極的に立ち向かおうとする気力。やる気。元気。 「 -を養う」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

英気」には二つの意味がありますが、一般的には②の意味として使われます。

つまり、「物事に積極的に立ち向かおうとする気力」のことです。簡単に言えば、「気力、やる気、元気」などのことだと考えて問題ありません。

「英気」は主に後ろに「~を養う」がつき、「英気を養う」とすることがほとんどです。「養う」とは「蓄(たくわ)える」という意味です。

したがって、「英気を養う」とは「何かに取り組むために気力を蓄える」「元気をつける」といった意味になります。

例えば、畑仕事をする前においしいご飯を食べて元気をつけること、明日の試験のためにたっぷり睡眠をとって体を休めることなどは、「英気を養うこと」だと言えます。

また、大事な試合に備えて、温泉につかって体の疲れを取ることなども英気を養うことに含まれます。

つまり「英気を養う」とはおいしい食べ物を食べたり温泉につかったりして、体をリフレッシュする行為を表すということです。

鋭気の意味・読み方

 

続いて、「鋭気」の意味です。

【鋭気(えいき)】

するどい気性。

強く激しい意気込み。元気な勢い。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

鋭気」とは「するどい気性・強く激しい意気込み・元気な勢い」などを意味するものです。主に、目標に対する強い意気込みを表すような時に使われます。

例えば、スポーツにおける大事な試合の前では、選手たちは勝利という目標に対して強く意気込みます。そのため、「試合前の選手たちの表情は、鋭気に満ちていた」などのように用いられます。

「鋭気」は、「気持ちを鋭くする」と書きます。したがって、気持ちを強く持つような場合に「鋭気」を使うわけです。

一般的には、「鋭気」は「鋭気に満ちた」「鋭気に富んだ」「鋭気があふれて」などの使い方が多いです。

英気と鋭気の違い

英気 鋭気 違いは

ここまでの内容を整理すると、

英気」=気力・やる気・元気などのこと。

鋭気」=目標に対する強い意気込みのこと。

ということでした。

両者の違いを簡単に言うと、「体を休めるかどうか」だと言えるでしょう。

「英気」は、食事や睡眠を取ったりなど人間の体調を整える場合に使います。つまり、体を休める時に使うのです。

一方で、「鋭気」は戦いやスポーツの勝利など何かの目標に対して使います。この時に、体を休めたりリフレッシュしたりなどの意味は特に含まれません。

まとめると、

英気」=人間の体調を整える場合に使う。(体を休める)

鋭気」=何かの目標がある場合に使う。(体は休めない)

となります。

ここで一つだけ注意点を述べますと、「鋭気を養う」という使い方は誤りです。なぜなら、「意気込み」というのは養う(回復させる)ものではないからです。

そもそも、「意気込み」は、一度持てばそう簡単にすり減ったりはしません。一方で、やる気や元気などはご飯を食べなかったり、睡眠をとらかったりすると簡単にすり減ってしまいます。そのため、「鋭気を養う」とは言わないのです。

「養う」という言葉は、気力・やる気・元気など、日常生活ですり減るものが対象になると考えて下さい。

なお、それぞれの類義語は以下のようになります。

【英気の類義語】⇒「生気・活力・生命力・エネルギー・バイタリティー

【鋭気の類義語】⇒「意欲・情熱・熱意・熱血・野心・大志・気勢

英気と鋭気の使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【英気の使い方】

  1. みんなでごちそうを食べて、英気を養うことにした。
  2. 明日は大事な試験があるので、早めに寝て英気を養おう。
  3. 英気を蓄えるために、ゆっくりと温泉につかることにした。
  4. 今日は私のおごりなので、十分に英気を養ってください。
  5. 遊びすぎて英気を吸い取られないように、気をつけよう。

【鋭気の使い方】

  1. 彼の目は絶対に負けまいとする鋭気に満ちていた。
  2. 鋭気に富んだ表情で安心したよ、今日は大一番だからね。
  3. 現場の兵士たちは、鋭気に満ちあふれた表情をしていた。
  4. 決勝戦を目前に、選手たちは鋭気に満ちた表情をしていた。
  5. 鋭気を強く持たないと、雰囲気で相手に負けてしまうだろう。

 

「英気」は、その人のエネルギーやバイタリティーを回復させるような時に使います。対して、「鋭気」の方は、目標に向かって感情を強くするような場合に使います。

同じ読み方の漢字ですが、使う場面はそれぞれ異なってきますので注意してください。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

英気」=気力・やる気・元気などのこと。

鋭気」=目標に対する強い意気込み。

英気を養う」=何かに取り組むために気力を蓄える。鋭気を養うは誤用)

「英気」は体調を整える場合に使い、「鋭気」は目標がある場合に使うと覚えておきましょう。