「独断専行」という四字熟語をご存知でしょうか?
使い方としては、「独断専行型」「独断専行的」などのように用います。実はこの四字熟語は、スポーツやビジネス、政治などあらゆる場面で用いられています。
今回はこの「独断専行」の意味や使い方、例文、英語訳などについて詳しく解説しました。
独断専行の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【独断専行(どくたんせんこう)】
⇒自分だけの判断に基づいて、勝手に行動すること。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)
「独断専行」は「どくだんせんこう」と読みます。意味は、「自分だけの判断で、勝手に行動すること」です。
例えば、会社で仕事をする上でいつも自分だけで勝手に仕事を進めてしまう人がいたとします。
具体的に言いますと、「上司に相談せず、自分だけで仕事を進める」「周りの同僚などにも一切助けを求めない」といった人です。
このような人は、「独断専行である」と言うことができます。つまり、自分だけの考えに基づいて勝手に行動を進める様子のことを「独断専行」と言うわけです。
独断専行の語源・由来
独断専行は、「独断」と「専行」の二つに分けることができる四字熟語です。
まず、「独断」とは「独(ひと)りで判断する」と書くので、文字通り「一人だけで判断すること」を表します。独裁者の「独」などもこれと同じ意味の使い方です。
そして、「専行」とは「勝手に行うこと」を表します。「専」という字は「専売」「専有」などの熟語があるように、「ひとりじめにする」という意味があります。この事から、自分勝手に振る舞う様子を「専行」と言うわけです。
以上の説明を踏まえますと、独断専行は「一人で勝手に判断して行動する様子」を表す四字熟語であることが分かります。
ポイントは、「勝手に」という点です。独断専行には「自分勝手」という一種のわがままさが含まれています。したがって、この言葉はあまり良い意味としては使われません。
多くの場合、「自分勝手な人」「他人の意見を無視する人」といった否定的な意味で使われます。
独断専行の使い方
「独断専行」は、実際にどのような場面で使うのでしょうか?以下に、よくある三つのケースを挙げました。
①ビジネス
すでに説明した通り、「ビジネス」を行う上では「独断専行」=「自分の判断で仕事を進める。」という意味になります。
入社して間もない新入社員などは、分からないことが特に多いです。そのため、「独断専行」で仕事を進めてしまうと当然仕事のミスも多くなり上司から反感を食らってしまいます。
新入社員でなくても、経験が浅い場合はまず周りの人に聞くのが得策だと言えます。
②スポーツ
「スポーツ」の場合は「チームプレーを無視して行動する」といった意味になります。
例えば、野球であれば「送りバントなどの自己犠牲を拒否する」、サッカーであれば「自分が得点することしか考えない」といったことです。
スポーツというのは、選手以外にも監督やコーチなど様々な人がいて成り立つものです。したがって、これらの人の考えを無視した行動は「独断専行」と呼ぶことができます。
③政治
「政治」の場合は「上の地位にいる人が、思う通りに行動する」という意味になります。
例えば、首相であれば、「大臣や議員に相談せず、自分の考えのみで行動する」といったことです。
政治に対して使うのは日本のような健全な国であれば比較的少ないかもしれません。しかし、世界的に見れば独裁国家などは多く存在しています。
海外において国のトップなどが暴走した場合は、まさに使いやすい言葉だと言えるでしょう。
独断専行の類義語
続いて、「独断専行」の類義語を紹介します。
以上、五つの類義語を紹介しました。
いずれも共通しているのは、「自分勝手・好き放題」といった意味です。他人のことを考えない様子であれば、それは類義語と呼べるでしょう。
独断専行の対義語
逆に、対義語としては、次の三つが挙げられます。
対義語の場合は、「周りのことを考える」すなわち「全員の意見が一致する」といった意味合いになります。会議や討論など人が話し合う場で使われることが多いです。
独断専行の英語訳
「独断専行」は、英語だと次のように言います。
「arbitrary decision and execution」
一つずつ説明すると、「arbitrary」=「勝手な・独断的な」、「decision」=「決定」、「execution」=「実行」という意味です。これらを合わせると、「勝手に決定や実行を行うこと」となります。
例文だと、以下のような言い方です。
His action was arbitrary decision and execution.(彼の行動は独断専行であった。)
独断専行の例文
最後に、独断専行の使い方を例文で紹介しておきます。
- 君はまだ経験が浅いんだから、独断専行しない方がいい。
- 独断専行せずに、同僚や上司にアドバイスを求めなさい。
- 独断専行型な判断に、部下たちは怒りを覚えているようだ。
- 独断専行的な軍隊なので、常に現場はピリピリしている。
- 社長は部下の意見を無視して、独断専行的な判断を下した。
- あの政治家の判断は、独断専行的と言われても仕方ない。
- 独断専行せずに、コーチの意見にも耳を傾けるべきだ。
独断専行は上記のように様々な場面で使うことができますが、その中でもビジネスで使うことが多い四字熟語だと言えます。
また、文法的な補足を入れますと、「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」など様々な品詞として使うことができます。一般的には、「独断専行する」「独断専行しない」などの使い方が多いですが、他にも多くの用例があります。
例えば、「独断専行的」「独断専行型」など形容詞として使うことも可能です。状況に応じて上手く使い分けるようにして下さい。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「独断専行」=自分だけの判断で、勝手に行動すること。
「語源・由来」=一人で勝手に判断・行動するため。
「類義語」=「我田引水・勝手放題・自分勝手・得手勝手・傍若無人」
「対義語」=「満場一致・衆議一決・百川帰海」
「英語訳」=「arbitrary decision and execution」
「独断専行」することは必ずしも悪いわけではありません。場合によっては自分だけで判断する方が良い場合もあるでしょう。しかし、自分の知らないことは私たちが自覚している以上に多いものです。そんな時は周りに相談しながら物事を進めていくのが賢明と言えるでしょう。