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日本人の美意識 200字要約 問題 定期テスト 学習の手引き

 

『日本人の美意識』は、現代文の教科書に載せられている評論です。ただ、本文を読むと筆者の主張などが分かりにくい箇所も多いと思われます。

そこで今回は、本作のあらすじや要約、学習の手引きなどを含め簡単に解説しました。

『日本人の美意識』のあらすじ

 

あらすじ

日本人の美意識を探る手がかりとして、「うつくし」と「きよし」という二つの古語に注目したい。「うつくし」は、古くは「かれんだ」「かわいい」といった小さな者に対する愛情を表す語であったが、室町時代以降、現在の「美しい」という意味になった。また、「きよし」はもともと「汚れのない」「純粋無垢」の意味で、不純なもののない状態を示すことから、古くは「美しい」の意味を持っていた。ここに、日本人の美意識の大きな特色があると言ってよい。

「うつくしい」という言葉の変遷をたどると、日本人の美意識が、主として自分よりも小さいもの、弱いもの、保護してやらなければならないものに向けられていたことが分かる。ここから、日本独特の工芸や絵画が持つ「縮小された世界」や部分的な表現を重視する性格も説明できる。西欧はこの点では全く対照的で、美は力強いもの、強大なものと結びつき、遠近法を用いて統一された「空間構成」を重視していたことが分かる。

「きよし」という言葉は「汚れのない」状態を表すが、これは余計なものを排除する意識であり、「貧しさの美学」「否定の美学」などとも呼ばれる。「わび」「さび」、水墨画や能なども、この美意識の反映である。西欧はこの点でも反対で、力や富が美と結びつくという伝統がある。日本人独自の伝統的な美意識は、美術や芸術の領域にとどまるものではなく、日本人の生活行動全般にまで及んでいる。明治以来、日本は西欧の文化に接することによって大きく変わったが、美に対する上代人たちの感受性は、今もなお生き続けていると思われる。我々はもう一度、祖先たちの美意識がどのようなものであったかを考え直してみる必要がある。

『日本人の美意識』の要約解説

 

要約「うつくし」と「きよし」という二つの古語に注目すると、日本人の美は自分よりも小さいものや弱いものに向けられていたことが分かる。対照的に、西欧における美意識の根幹であるギリシャでは、美は富や力と結びついていたことが分かる。「否定の美学」に代表される日本人の伝統的な美意識は、人間の生活行動全般を規定してきたものであり、今もなお生き続けていると思われる。我々はこの美意識をもう一度考え直す必要がある。(198文字)
補足

本文は、行空きによって3つの段落から構成されています。まず第一段落で筆者は、日本人の美意識を明らかにするには「うつくし」と「きよし」という二つの古語に注目するのがよいと述べています。この二つに注目することで、日本人は小さい者や汚れがない対象に対して古来から「美しい」というイメージを持っていたことが分かる、というものです。ここでは、第一段落で早くも結論を暗示しているのがポイントです。

そして、第二段落・第三段落ではこの結論の証明を行っています。第二段落では、「うつくし」に込められた美意識が日本と西欧で全く対照的であること、第三段落では「きよし」に込められた美意識がそれぞれ日本と西欧で全く対照的であることを述べています。

証明の段階では、筆者の専門である美術方面での知見が申し分なく発揮されています。最後に、これらの日本人の美意識が、芸術分野にだけあてはまるのではなく、行動や生活様式のすみずみにまで行き渡っているという指摘もしているのがポイントです。

『日本人の美意識』のテスト対策問題

 

問題0

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①物事のコンカンに迫る。

②感情をシゲキする。

シンザンユウコクの景色。

キョウタンすべき出来事。

⑤変化がケンチョである。

タサイな顔触れ。

⑦細部のメンミツな描写。

ヨユウがない。

シュビイッカンした話。

⑩怒りをヨクセイする。

⑪山でソウナンする。

解答①根幹 ②刺激 ③深山幽谷 ④驚嘆 ⑤顕著 ⑥多彩 ⑦綿密 ⑧余裕 ⑨首尾一貫 ⑩抑制 ⑪遭難
問題1「このことは、西欧における美意識の根幹であるギリシャにおいて、美が何よりも力と結びついていたことを考えてみると、極めて特徴的と言ってよい。」とあるが、「このこと」とは何を指すか?
解答日本人の美意識が、主として自分よりも小さいもの、弱いもの、保護してやらなければならないようなものに向けられていたこと。
問題2「遠近法の表現」とは、どういう表現方法か?
解答画家の視点が一定不動のものであることを前提条件として、現実の距離の遠近を、画面における形体の大小、色彩の濃淡によって表現する方法。
問題3

次の部分はそれぞれどのようなことを述べているか?

①情緒的な意味合いが強い

②多彩なエピソードを展開して見せてくれる

③西欧の優れた芸術家に劣らぬほど「写実的」なのである

解答例

①「うつくし」という言葉は、現在のように一般的な「美」を表すのではなく、弱いもの、小さなものに対する愛情を表現する意味合いが強いということ。

②綿密な描写による、細部が独立した挿話を表す絵によって、さまざまな人々の生活の様子を伺い知ることができるということ。

③全体の空間構成まで考えれば応拳や北斎の絵画は「写実的」ではないことになるが、細部の観察という点で見れば彼らの絵画は西欧の画家以上に実物そっくりに描かれているので、写実的であるということ。

問題4日本人の美意識と西欧人の美意識はどのように違うか?「うつくし」「きよし」という言葉を用いて、200字以内で述べなさい。
解答例日本人の美意識は、「うつくし」という言葉で表されるように、自分よりも小さいもの、弱いものなどに対する愛情なのに対し、西欧人の美意識は、力や富と結びついたものである。また、西欧人の力や富と結びついた美意識は極めて自然に美と一つになっていたが、日本人は「きよし」として表される「汚れのない」ものへの重視から「貧しさの美学」「否定の美学」を生み出し、それは日本人の生活行動にまで及んでいる。(192文字)

まとめ

 

以上、今回は『日本人の美意識』について解説しました。「美」をテーマとした文章は、入試においてもよく出題されます。ぜひ正しい読解をして頂ければと思います。なお、本文の重要語句については以下の記事でまとめています。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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