今回は、
「温める」と「暖める」の違い
について解説していきます。
「あたためる」という言葉は、日常的に使われていますね。
「お弁当を温める」
「部屋を暖める」
この2つの使い分けは一体どうすればよいのでしょうか?
さっそく確認していきましょう。
スポンサーリンク
温めると暖めるの意味
まず、「あたためる」の意味を辞書で引くと、
次のように書かれています。
【暖める/温める】
①熱を加えて適度な温度にまで上げる。
②公表せず自分の手もとにおく。
③昔の親密なつきあいを回復する。
④こっそりと自分のものにする。
出典:三省堂 大辞林
上記のように、「あたためる」は
一つの項目としてのっています。
つまり、辞書の意味からすれば、
「どちらを使っても間違いではない」ということになります。
しかし、
日本語というのは複雑な言語なため、
一般的には使い分けがされているようです。
辞書に書かれていることが、
全てではないということですね。
したがって、
「状況に応じてうまく使い分けるのが望ましい」
ということになります。
では、実際にどのように使い分ければいいのか
詳しく見ていきましょう。
温めると暖めるの使い分け
「あたためる」の使い分けは、
2つの点から判断すると分かりやすいです。
1つ目は、
「体の一部で感じるか、体全体で感じるか」です。
「体の一部で感じる場合」⇒「温める」を使う。
「体全体で感じる場合」⇒「暖める」を使う。
「温める」は、
「人間の体の一部(手など)」で対象を感じとる場合に使います。
【例】
- 牛乳を温める。
- お弁当を温める。
- タオルを温める。
逆に、「暖める」は
人間の体全体で対象を感じとる場合に使います。
【例】
- 部屋の温度を暖める。
- 室内の空気を暖める。
- 毛布で体を暖める。
2つ目は、あたためる対象が
「抽象的なものか、それとも気温や室温か」ということです。
※「抽象的(ちゅうしょうてき)」とは、
「具体的の反対語で、姿や形などがなくイメージがしにくい様子のこと」だと思って下さい。
「対象が抽象的な場合」⇒「温める」を使う。
「対象が気温や室温などの場合」⇒「暖める」を使う。
「温める」は、
心や計画、懐(ふところ)など抽象的な物に対して使います。
【例】
- 心温まる話。
- 温めていた計画。
- 懐(ふところ)を温める。
逆に、「暖める」は、
気温や室温などの空気に対して使います。
【例】
- 部屋の温度を暖める。
- 気候の暖かい地域。
まとめると、
「温める」=体の一部で感じるもの。抽象的なもの。
「暖める」=体全体で感じるもの。気温や室温など。
となります。
スポンサーリンク
どちらを使うか迷った場合
基本的には、先ほどのように使い分ければ問題ありません。
しかし、
もしもどちらを使うか迷ってしまったら、
どうすればよいでしょうか?
その場合は、「反対語」を
イメージすると分かりやすいでしょう。
「温かい」の反対語は「冷たい」
「暖かい」の反対語は「寒い」です。
これらを踏まえて考えると、
例えば「冷たいからあげ」とは言いますが、
「寒いからあげ」とは言いません。
よって、この場合は
「冷たい」の反対語である
「温かいからあげ」が正解となるわけです。
また、「寒い気候」とは言いますが、
「冷たい気候」とは言いません。
したがって、この場合は
「暖かい気候」と言うわけです。
このように、
「あたためる」の反対語を当てはめてみて、
しっくりくるほうを選ぶという方法もあります。
もしも迷ってしまった場合は、
この方法を使うのがおすすめです。
あたためるの英語訳
補足すると、
両者は英語だと次のように言います。
「温める」⇒「heat up」(ヒートアップ)
「暖める」⇒「warm up」(ウォームアップ)
【例文】↓
Would you like me to heat up your milk?(牛乳を温めましょうか?)
She is going to warm up a room.(彼女は部屋を暖める予定です。)
英語だと、上記のような使い方をするのが一般的ですが、
必ずしも厳密な使い分けがされているわけではありません。
場合によっては、
「warm up your food(食べ物を温める)」などと言うこともあります。
また、室内の温度を上げるのが目的であれば、
「raise the room temperature(部屋の温度を上げる)」
などの用例もあります。
なので、英語に関しては
そこまで神経質に使い分ける必要はないと考えて下さい。
スポンサーリンク
あたためるの使い方・例文
最後に、「あたためる」の使い方を
例文で確認しておきます。
【温めるの使い方】
- 朝食は温めたコーヒーを飲むのが日課です。
- あの親鳥は、卵をずっと温めているようだね。
- 長年温めていた計画をついに実行するときが来た。
- あいつはずっとベンチを温めている万年補欠の選手だ。
- すぐに案を出すのではなく、構想を温めることも重要です。
- 彼は場を温めるようなムードメーカーだ。頼もしい。
【暖めるの使い方】
- エアコンによって、部屋の温度を暖めてほしい。
- 暖めた空気が逃げてしまうので、ドアは閉めてください。
- 暖かい室内に移動して、トレーニングをする。
- 沖縄県は、年間を通して暖かい地域である。
- 室内をすぐに暖めることのできるグッズはない?
- 最近は、体の芯から暖かくなるような気候だね。
ちなみに、例文にもあるように、
「温かい」と「暖かい」についても同じです。
「温める」≒「温かい」
「暖める」≒「暖かい」
この2つも、
同じ方法で使い分けてみてください。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「温める」=体の一部で感じるものや抽象的な物に対して使う。
「暖める」=体全体で感じるものや気温・室温などに対して使う。
ということでした。
どちらも普段からよく使われている言葉です。
あたためる対象や反対語など、
複数の観点から違いを覚えておきましょう。
スポンサーリンク
国語力アップ.com管理人
最新記事 by 国語力アップ.com管理人 (全て見る)
- 友達と友だちの違い・使い分け。どっちの表記が正しい? - 2021年4月18日