赤の他人 なぜ赤 意味 語源 使い方 対義語 類義語 言い換え

「赤の他人」という慣用句があります。何となく聞いたことがある言葉ですが、そもそもなぜ赤色なのでしょうか?

「青の他人」や「黒の他人」などの言葉は聞いたことがありません。実はこの言葉を調べると、興味深い由来があることが分かります。

本記事では、「赤の他人」の意味や使い方、類語・対義語などを解説しました。

赤の他人の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【赤の他人(あかのたにん)】

全く縁もゆかりもない他人。完全に無関係な人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

赤の他人」は、「あかのたにん」と読みます。意味は、「全く縁もゆかりもない他人・完全に無関係な人」を表したものです。

例えば、自分とは違う出身地で年齢や学歴、家族構成なども全く異なる人がいたとします。このような人は、自分とは縁もゆかりない完全に無関係な人です。よって、「赤の他人である」と言うことができます。

つまり、「赤の他人」とは本人にとって全く関係がない人を指す慣用句ということです。別の言い方をすれば、「血の繋がりがない人」と言い換えても構いません。

なお、「赤の他人」のことを「垢の他人」と書くのは誤用です。詳しくは後ほど解説しますが、「あか」は「垢」を指しているわけではない点に注意してください。

赤の他人の語源・由来

 

「赤の他人」の由来はいくつか説がありますが、一般的には次の二つのどちらかだと言われています。

明(あか)い」が転じたもの。

仏教用語である「閼伽(あか)」が転じたもの。

まず一つ目の「明(あか)い」ですが、これは「明るい」という言葉の元々の言い方です。

現在でも「明らかな他人」「明らかなウソ」などのように「物事をはっきりと区別させる」という意味で、「明」という字はよく使われています。

ここから、「明(あか)い」⇒「あか」⇒「赤」に転じていき、「全く異なる他人」という意味になったという説です。

そしてもう一つは、仏教用語である「閼伽(あか)」が転じたものという説です。

仏教では、仏前や墓前に供えられる水のことを「閼伽」と呼んでいます。この閼伽は冷たい水であることが大きな特徴でした。そのため、「冷たい関係」⇒「関係ない他人」になったという説があるのです。

いずれにせよ、一つ目、二つ目どちらの説にも「色の赤」、つまり「red」という意味は含まれていません。したがって、「赤」は単なる当て字ということになります。

これは何も「赤の他人」だけを指しているわけではありません。「赤」を用いる慣用句は、「赤っ恥」「赤裸々」「真っ赤な嘘」など他にもあります。上記それぞれ、「恥」「裸」「嘘」を強調するために当て字の「赤」が使われていることになります。

赤の他人の類義語

 

続いて、「赤の他人」の類義語を紹介します。

  • 縁のない
  • ゆかりのない
  • 没交渉の
  • 無関係の
  • 関係がない
  • よそ者
  • 部外者
  • 第三者
  • 親類でない
  • 人様(ひとさま)

基本的な言葉のイメージとしては、「縁やゆかりがない人」「無関係の人」を表したものとなります。

三つ目の「没交渉(ぼつこうしょう)」とは相手方と交渉がない様子という意味です。転じて、「関わりがない事・無関係な事」といった意味で使われています。

また、最後の「人様」は他人全般を敬っていう語です。自分と面識もなく、直接的な関わりもないような人を指す時に使われます。

赤の他人の対義語

 

逆に、「対義語」としては以下のような言葉が挙げられます。

  • 身内
  • 身寄り
  • 親族
  • 家族
  • 一家
  • 友達
  • 友人
  • 仲間
  • 親友

対義語のイメージとしては、「自分と直接血が繋がっている人」と考えると分かりやすいです。また、直接血がつながっていなくても「親友」や「仲間」のように普段から仲良くしている間柄であれば、反対語と言えるでしょう。

赤の他人の英語訳

 

「赤の他人」は、英語だと次の3つの言い方があります。

①「complete stranger

②「total stranger

③「outsider

「stranger」は、「見知らぬ人」や「他人」を意味する単語です。これに「全くの」という意味を表す「complete」や「total 」を付けると「赤の他人」と訳すことができます。

また、③の「outsider」は単体で「部外者」を意味する単語です。「outsider」はもっと簡易的に「よく知らない人」を表す時に使えます。

例文だと、それぞれ以下のような言い方です。

He is a complete stranger.(彼は全くの他人である。)

I am a total stranger to her.(私は彼女とは縁もゆかりもありません。)

She was an outsider.(彼女はよく知らない人であった。)

赤の他人の使い方・例文

 

最後に、「赤の他人」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 赤の他人なんだから彼女のことは放っておけばいいのに。
  2. 赤の他人へ財産を贈与するなんてもったいないことをするね。
  3. いくら仲の良い友達でも縁が切れてしまえば赤の他人である。
  4. 大嫌いな兄が赤の他人だったらどんなによかったことかと思った。
  5. 人間には元々、赤の他人を嫌いになる心理があると言われている。
  6. 赤の他人の大まかな定義として「親族以外」というのが挙げられる。

 

「赤の他人」は様々な状況に対して使うことができます。大まかな使い方としては、「血縁関係がない人」そして「無関係な人」に分かれます。

前者は、家族や親戚でないことを強調する時、一方で後者は自分とは関係がないことを強調するような時に使います。どちらにせよ「赤の他人」は本人と他人を区別する言葉ですので、あまり良い意味としては使われません。

もしも実際に使うような場合は、相手をしっかりと選ぶようにしてください。間違っても自分と関係があるような人には使わないようにしましょう。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

赤の他人」=全く縁もゆかりもない他人のこと。完全に無関係な人。

語源・由来」=①「明い」②「閼伽(あか)」が転じたもの。

類義語」=「よそ者・部外者・第三者・人様」

対義語」=「身内・親族・家族・仲間・親友」

「赤の他人」の「赤」は、色を示しているわけではありません。「赤」とは「明確な」などの意を持つ「明い」、もしくは冷たい水を表す「閼伽」から来た当て字だと覚えておきましょう。