全身全霊の意味 使い方 例文 類義語 英語訳

「全身全霊」という言葉を聞いたことがありますか?

主に、「全身全霊をかける」「全身全霊を尽くす」などのように用います。普段からよく使われているので、四字熟語に詳しい人はご存知かもしれません。

ただ、よく使われているにも関わらず具体的な使い方までは知らないという人も多いかと思います。そこで今回は、「全身全霊」の意味や使い方、語源、類語などを詳しく解説しました。

全身全霊の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【全身全霊(ぜんしんぜんれい)】

その人に備わっている体力と精神力のすべて。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

全身全霊」は「ぜんしんぜんれい」と読みます。意味は、「その人の体力と精神力のすべて」を表したものです。

例えば、スポーツの試合などで持っている体力と精神力のすべてを使い切ることは、「全身全霊を傾ける」と言うことができます。

他には、受験に合格するために必死で毎日勉強すること、ビジネスで成果を出すために必死で努力することなども「全身全霊を注ぐ」と言うことができます。

つまり、「全身全霊」とはその人の持っているすべてのエネルギーを指すということです。

文法的な補足をしておくと、「全身全霊」は様々な動詞を後ろにつけることできます。

  • 「全身全霊を捧げる」
  • 「全身全霊を傾ける」
  • 「全身全霊を注ぐ」
  • 「全身全霊をかける」
  • 「全身全霊で挑む」
  • 「全身全霊で感じる」
  • 「全身全霊で生きる」
  • 「全身全霊で楽しむ」
  • 「全身全霊で戦う」
  • 「全身全霊で臨む」
  • 「全身全霊で応援する」
  • 「全身全霊で受け止める」

この中でも上記4つの動詞は使われることが多いので、覚えておくとよいです。特に、「かける」はよく使われる表現です。

【例】⇒全身全霊をかけて、彼のために頑張るつもりです。

「懸(か)ける」には「命を懸ける」「神に懸ける」などのように「エネルギーを注ぐ」という意味もあるため、このような使い方もできます。

全身全霊の語源・由来

 

「全身全霊」は、「全身」と「全霊」の2つに分けることができる四字熟語です。

まず、「全身」は「全体」の「全」と「身体」の「身」と同じ漢字です。ここから、「全身」は「肉体のすべて」という意味になります。

そして、「全霊」の「」は「幽霊」「霊魂」などがあるように「たましい」という意味です。よって、「全霊」の方は「精神や心の全て」を指すことになります。

整理すると、「全身全霊」とは「肉体と精神のすべて」を表すことになります。転じて、「人が持っている全てのもの」という意味の四字熟語になるということです。

私たちが普段持っているエネルギーは、肉体と精神のどちらかから必ず来ています。その両者を合わせてエネルギーを集約した言葉が「全身全霊」ということです。

全身全霊の類義語

 

続いて、「全身全霊」の「類義語」を紹介します。

全心全力(ぜんしんぜんりょく)】⇒心と力のすべて。※「全身」ではなく「全心」と書く。
全力投球(ぜんりょくとうきゅう)】⇒全力を傾けて物事に取り組むこと。野球の投手が全力で投げることが由来。
全霊全力(ぜんれいぜんりょく)】⇒精神と力のすべて。「全身全霊」とほぼ同じ意味で使われる四字熟語。(同義語)
一心不乱(いっしんふらん)】⇒一つのことに心を集中して、他に心を奪われないさま。「一心」は「一つに集中すること」、「不乱」は「取り乱さないこと」を表す。
心血を注ぐ(しんけつをそそぐ)】⇒心身のありったけを注ぐこと。「心血を傾ける」とは言わない。

以上、5つの類語を紹介しました。いずれも共通しているのは、「人が持っているすべての力」ということです。

その人の「全力」や「全精力」、「フルパワー」などを表す言葉が類語となります。

最後の「心血を注ぐ」は四字熟語ではなく慣用句ですが、よく使われる表現ですので覚えておくとよいです。

全身全霊の対義語

 

逆に、「対義語」としては以下の言葉が挙げられます。

手抜き(てぬき)】⇒作業や仕事などを意図的にサボること。
手加減(てかげん)】⇒相手に対して本気で扱わないこと。
いい加減(いいかげん)】⇒物事を粗末に扱う様子。
中途半端(ちゅうとはんぱ)】⇒物事をしっかりと終わらせないこと。

こちらは物事に対して適当に取り組む様子を表す言葉となります。言葉のイメージ通り、反対語の場合はいずれも良い意味としては使われません。

全身全霊の英語訳

 

「全身全霊」は、英語だと次のように言います。

body and soul(肉体と魂)」

英語の場合は「and」を使って、前者と後者をつないだ表現をします。

まず「body」は「肉体」を意味する単語です。そして、「精神」は英語だと「sprit」「mental」など様々な言い方がありますが、この場合は「霊」という漢字なので「soul(魂)」を使います。

例文だと、以下のような言い方です。

I devoted body and soul to pass the examination.(試験に合格するために、私は全身全霊を捧げた。)

なお、前に「whole」をつけて「whole body and soul」と言う場合もあります。この場合もほぼ同じ意味の表現だと考えて下さい。

「whole」には「全体の」という意味があるので、「肉体と精神を全体的にすべて注ぐ」という意味で直前に付けることがあります。

全身全霊の使い方・例文

 

最後に、「全身全霊」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 全身全霊を注いだ結果、今の私の地位があると言っていい。
  2. 全身全霊をかけて、今月の売上目標を達成することを目指す。
  3. 今回の企画は正念場なので、全身全霊を捧げて取り組む予定です。
  4. 今年は受験生なので全身全霊を傾けて、勉学に励むつもりです。
  5. 希望の大学へ合格するためには、全身全霊で挑む必要がある。
  6. 全身全霊で応援をして、あなたのために尽くすつもりです。
  7. 御社のために全身全霊で頑張りますので、よろしくお願い致します。

 

全身全霊は、基本的に何か大きな目標があるものに対して使います。

例えば、勉学やスポーツ、ビジネスなどが挙げられます。これらの目標を達成するには、持てる力の全てを発揮する必要があります。

したがって、「自分の全てを捧げる」という意味で「全身全霊」が使われやすいのです。逆に言えば、ちょっとやそっとの目標に対しては使われない四字熟語と考えても構いません。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

全身全霊」=その人の体力と精神力のすべて。

語源・由来」=肉体と精神のすべてを意味することから。

類義語」=「全心全力・全力投球・全霊全力・一心不乱・心血を注ぐ

対義語」=「手抜き・手加減・いい加減・中途半端」

英語訳」=「body and soul」「whole body and soul」

人は誰しも目標に対して本気で挑む時があります。「全身全霊」とはそのような「決意・覚悟」などを表す時に使う四字熟語ということです。