仏教に関する言葉で
「報恩謝徳(ほうおんしゃとく)」があります。
改まった場だと、
「報恩謝徳の念に堪えません」などと言いますね。
一般的には、
あまりよく使わない四字熟語というイメージだと思います。
しかし、
もしもこの言葉の意味を理解できれば、
今後の人生にプラスになることは間違いありません。
では、一体どのように使うのでしょうか?
さっそく確認していきましょう。
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報恩謝徳の意味・語源
まずは、基本的な意味です。
【報恩謝徳(ほうおんしゃとく)】
⇒恩や恵みに対して、感謝の気持ちを持つこと。また、恩に感謝して報いること。
「報恩謝徳」とは、
「受けた恩や恵みに感謝すること」を言います。
まれに「報恩者徳」と書いてしまう人がいますが、
正しくは「報恩謝徳」です。
間違えないようにしましょう。
使い方としては、以下のように使います。
成人後に、両親に報恩謝徳の気持ちを持つことが増えた。
この場合は、
「父や母に、改めて感謝の気持ちを抱いた」
ということですね。
具体的には、
- 「自分を丈夫に生んでくれた恩」
- 「学校や塾に行かせてくれた恩」
- 「毎日ご飯を作ってくれた恵み」
といったことです。
このように、「恩や恵みのおかげで今の自分がある」
と感謝するような時に「報恩謝徳」を使うわけです。
言葉の意味を補足すると、
「報恩」は、「恩に報(むく)いる」と書きます。
「恩」とは、「人から受けたありがたい行為」
「報いる」とは、「ふさわしいお返しをする」という意味です。
つまり、
「ありがたい行為に、ちゃんとお返しすること」を
「報恩」と言うわけですね。
そして、「謝徳」は
「徳に感謝する」と書きます。
「徳」とは、「恵みや慈しみ」という意味です。
よって、
「人から受けた恵みに感謝すること」を
「謝徳」と言うわけです。
整理すると、
「報恩謝徳」=ありがたい行為に、お返しをしたり感謝すること。
となります。
つまり、本来の意味としては「心で感謝する」だけでなく
「実際に何かお返しをすること」も含んだ言葉ということですね。
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報恩謝徳の由来
ところで、「報恩謝徳」という言葉は
どこから来たのでしょうか?
ヤフーで「報恩謝徳」と検索すると、
「浄土宗」「浄土真宗」などの関連用語も一緒に出てきます。
「浄土宗」や「浄土真宗」は、
どちらも仏教の中の宗派です。
詳しい違いは、
本来の趣旨から離れるため割愛しますが、
「考え方の違い」だと思ってください。
仏教では、
「他人のために尽くすこと」を重視します。
言い換えれば、
「世のため・人のためにがんばる」ということです。
そして、自分以外の他人のために努力した人は
「幸せにあの世にいける」という考えがあります。
他人のためにがんばるには、
「まず周りに感謝すること」が必要不可欠です。
ここから、
「報恩謝徳」という言葉が生まれたと言われています。
- 「今の自分があるのは周りのおかげである」
- 「誰かの力があったので、今の自分がいる」
「報恩謝徳」とは、このように
周りの人に感謝することから始まったわけですね。
報恩謝徳の類語
続いて、
「報恩謝徳」の「類語」を紹介します。
【報本反始(ほうほんはんし)】
⇒天地や祖先などの恩に報いること。
「本(もと)に報(むく)い始(はじ)めに反(かえ)る」
を四字熟語にした言葉です。
【一飯千金(いっぱんせんきん)】
⇒わずかな恵みにも厚い恩返しをすること。
一膳の食事でも、場合によっては千金に値する恩があるため。
【飲水思源(いんすいしげん)】
⇒人から受けた恩は忘れてはいけないという戒めの言葉。
水を飲む時にその水源のことを思う意から。
【三枝之礼(さんしのれい)】
⇒礼儀を尽くし、親孝行すること。親に感謝すること。
子鳩は親鳩が止まっている枝よりも三本下の枝に止まり、礼儀を守ることから。
以上、4つの類語を紹介しました。
いずれも共通しているのは、
「恩や報いに感謝する」ということですね。
ちなみに、四字熟語以外では、
「恩返しする」「返報する」「義理を果たす」
などの言葉も「類語」と言えるでしょう。
報恩謝徳の英語
続いて、英語訳です。
「報恩謝徳」は、英語だと次のように言います。
「deep gratitude」
「deep」は「深い」、「gratitude」は「感謝」を意味するので、
「深い感謝」という訳になります。
例文だと、以下のような言い方です。
She expressed a deep gratitude.
(彼女は、報恩謝徳の意を表した。)
英語圏ではキリスト教やユダヤ教が中心なため、
「仏教の文化」という概念がありません。
なので、単純に「相手への感謝」
を示す表現を使うのがよいでしょう。
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報恩謝徳の使い方・例文
では、最後に「報恩謝徳」の使い方を
例文で紹介しておきます。
- 報恩謝徳の心があれば、両親も喜んでくれるだろう。
- 社長のおかげで今の私があります。報恩謝徳とはこのことです。
- 報恩謝徳の精神を忘れずに、今後も励んでいきます。
- 周りの環境に文句を言わずに、報恩謝徳の心を持とう。
- 報恩謝徳の念に堪えられないほど、あなたには感謝しています。
- 先輩の助言でここまで成長でき、報恩謝徳の念に堪えません。
すでに説明した通り、
「報恩謝徳」は元々仏教の用語でした。
しかし、上の例文を見ても分かるように
現在では様々な場面で使われています。
特に最近では、
ビジネスなどで使われることが多いですね。
ビジネスでは、
上司や取引先・社長などに感謝の意を表明する時に
「報恩謝得」を使のが一般的です。
なので、使い方としては
「過去に非常にお世話になった」という事実を
相手へ伝える時に使うとよいでしょう。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「報恩謝徳」=受けた恩や恵みに感謝すること。
「語源」=恩に報いて、徳に感謝することから。
「類語」=「報本反始・一飯千金・飲水思源・三枝之礼」など。
「英語」=「deep gratitude」
ということでした。
人は自分一人では生きられません。
必ず他人のサポートがあって生活することができます。
そういう意味では、「報恩謝徳」は
私たちに「生きる意味を与えてくれる考え方」とも言えるのではないでしょうか?
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国語力アップ.com管理人
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