「活用形」という言葉は、文法を学ぶ上でよく登場します。特に、「動詞の活用」や「形容詞の活用」という言葉をよく聞くかと思われます。
ただ、「そもそも活用って何?」って思う人も多いのではないでしょうか?そこで今回はこの「活用形」についてなるべく簡単にわかりやすく説明しました。
活用形とは
まず、「活用形(かつようけい)」とは「単語が変わった形のこと」を意味します。
これだけだと分かりにくいため、例を出しましょう。
例えば、「犬」「花」「とても」などの単語は、いつも決まった形を持っています。文によって形が変わるということはまずありません。
一方で、「読む」のような単語は使い方によって終わりの部分が変化します。
「読む」⇒「読まない・読みます・読むと・読む時・読めば・読め」
このように、単語の終わりの部分が変化することを「活用」と言い、変化した形のことを「活用形」と言うのです。
日本語には多くの語がありますが、「犬」などのように後ろの形が変わらないものばかりではありません。
「読む」のように、後ろの形が変化する語があります。この時の変化した形を「活用形」と呼んでいるのです。
この「活用形」ですが、次のように全部で6種類あります。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | |
後ろに続く語 | ない う よう | ます た(だ) たい | ー | とき こと 人・物 | ば | ! |
未然形
「未然形」は、後ろの言葉が「ない」「う・よう」などになります。
(例)「話さない」「読もう」「食べよう」
その他には、「れる・られる」「せる・させる」などもあります。
連用形
「連用形」は、後ろの言葉が「ます」「た(だ)」「たい」などになります。
(例)「話します」「集めた」「食べたい」
その他には、「て(で)」「たり(だり)」「ながら」などもあります。
また、いったん文を中止して再び続けるような場合に使うこともあります。
(例)道を歩き、家に帰る。
終止形
「終止形」は、後ろの形が「。」で終わる「動詞の基本形」です。
つまり、「文をそこで言い切る形」ということです。
(例)彼は、走る。
また、「と」「けれど(も)」「が」「から」などの「付属語」につながることもあります。
(例)全力で走ると、疲れる、
「付属語」の意味は、以下の記事を参照してください。
連体形
「連体形」は、後ろの言葉が「とき」「こと」「人」「もの」などの「体言(名詞)」となります。
(例)本を読むときは、部屋を明るくする。
その他には、「ようだ」「の」「のに」「ので」「ばかり」などにつながることもあります。
(例)朝は遅く起きるようだ。
仮定形
「仮定形」は、後ろの言葉が「ば」となります。
(例)早く起きれば、健康にいい。
「仮定」というのは、「未確定のこと・不確かなこと」などを表すので、「~をした場合」のような意味で考えれば問題ありません。
命令形
「命令形」は、語尾が「!」や「。」などのように文字通り命令する形で言い切ります。
(例)「早く読め!」「早く起きろ。」
この場合は、文を言い切って命令するような時に使います。
活用形の見分け方
ここまで、6つの「活用形」について解説してきました。では、これらの活用形はどう見分ければよいのでしょうか?
結論から言いますと、「後に続く語で見分ける」のが最も簡単です。
この場合の「後」とは、「動詞や形容詞・形容動詞などの後」という意味です。
例えば、「学校へ行きます。」という文があったとします。
この場合、「行き」の後の「ます」に注目してください。
すると、「ます」は「連用形」の後ろにつく言葉でした。したがって、「行き」は「連用形」となるのです。
また、「相手に勝つときは、うれしい。」という文であれば、「勝つ」の後の「とき」に注目します。
すると、「とき」は「連体形」の後ろにつく言葉なので、「勝つ」は「連体形」と見分けることができます。
このように考えると、ある程度「後ろにくる語」を覚えておかないと問題は解けないということが分かるかと思います。
そのため、それぞれの活用形の後ろを暗記することが大事になってきます。
改めて整理すると、以下のようなものでした。
- 「未然形」=「ない・う・よう・れる・られる・せる・させる」
- 「連用形」=「ます・た(だ)・たい・て(で)・たり(だり)・ながら」
- 「終止形」=「。」
- 「連体形」=「とき・こと・人・もの・ようだ・の・のに・ので・ばかり」
- 「仮定形」=「ば」
- 「命令形」=「。」「!」
このうち、全部を覚えるのは大変です。
したがって、まずは「赤字の部分(よく使われる形)」を覚えておくことをおすすめします。
あとは、問題を解きながら実際に覚えていくのがよいでしょう。
問題で確認
では、これまでの内容を整理するために問題を解いてみましょう。
次のうち、活用する語はどれか?
①(ア)もっと(イ)山(ウ)ところで(エ)赤い
②(ア)する(イ)さすが(ウ)明日(エ)ペン
①⇒(エ)②⇒(ア)
「活用」とは「後ろの語尾が変わること」でした。
「赤い」は、「赤くない」「赤ければ」などに変わります。また、「する」も「しない」「したり」「しろ」などと変化します。
これら以外の単語は語尾が変わらないため、活用するとは言えません。
①次のうち、未然形の後ろにつくのはどれか?
(ア)とき・ので(イ)ない・う・よう(ウ)ば(エ)ます・た
②次の下線部のうち、連体形はどれか?
(ア)僕はもう走らない。(イ)落ちるときが怖い。
(ウ)本を読んで、休む。(エ)話せば、分かる人だ。
③次の下線部のうち、連用形はどれか?
(ア)もっと注意をしろ。(イ)彼はいつも欠席する。
(ウ)するときは、する。(エ)お手伝いをします。
①⇒(イ)②⇒(イ)③⇒(エ)
未然形の後ろは、「ない・う・よう」でした。
また、連体形の後ろは「とき・こと・人・もの」、連用形の後ろは「ます・た(だ)・たい・て(で)」でした。
後ろに来る語を覚えておけば、簡単に解ける問題です。
次の下線部の動詞の活用形を答えなさい。
①先生は休みだから来ないよ。
②君が来れば、色々と教えるよ。
③今度来るときは、もっと早く来てください。
④次からは早く来ます。
①⇒「未然形」②⇒「仮定形」③⇒「連体形」「連用形」④⇒「連用形」
同じく「後ろの語」を覚えていたかどうかがポイントとなります。
次の文中の( )に動詞「起きる」を活用させて入れ、さらに「活用形」を答えなさい。
①明日( )ときは、目覚ましを鳴らしてほしい。
②早く( )!
③7時に( )ば、学校に間に合う。
④彼はいつもはやく( )。
⑤早く( )て、歯を磨く。
⑥いつまでたっても、彼は( )ない。
①起きる・連体形②起きろ・命令形③起きれ・仮定形④起きる・終止形⑤起き・連用形⑥起き・未然形
「連用形」は⑤のように、「いったん文を中止してから続ける場合にも使う」ということでした。
その他の活用形も、基本的な形と後ろに続く語を覚えていたかどうかがポイントとなります。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「活用形」=単語が変わった形のこと。「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「仮定形」「命令形」の6つがある。
「見分け方」=後に続く語で見分ける方法が最も簡単。後に続く語は、それぞれ以下の通り。
「未然形」=「ない・う・よう・れる・られる・せる・させる」
「連用形」=「ます・た(だ)・たい・て(で)・たり(だり)・ながら」
「終止形」=「。」
「連体形」=「とき・こと・人・もの・ようだ・の・のに・ので・ばかり」
「仮定形」=「ば」
「命令形」=「。」「!」
ポイントは、それぞれの後ろの語を覚えることです。慣れるまでは最初は苦労すると思います。しかし、問題を解いていけばだんだんと覚えられるようになるでしょう。