一言一句 意味 使い方 読み方 例文 類語 英語

一言一句」という四字熟語をご存知でしょうか?

主に、「一言一句違わず」「一言一句そのまま」などのように用います。

ただ、具体的な使い方が分かりにくい言葉でもあります。また、似たような語の「一語一句」や「一字一句」との違いも気になる所です。

そこで本記事では、「一言一句」の意味や読み方、語源、類義語などを含め詳しく解説しました。

一言一句の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【一言一句(いちごんいっく)】

ちょっとしたことば。ほんのひとこと。ことばを大切にすることのたとえ。

出典:学研 四字辞典熟語

一言一句」は「いちごんいっく」と読みます。まれに「いちんいっく」と読むこともありますが、多くの場合は「いちごんいっく」と読みます。

一言一句」とは「ちょっとした言葉。ほんのひとこと」などの意味を持つ四字熟語です。

例えば、日本の首相などは記者会見をする際に慎重に言葉を選びます。これはなぜかと言いますと、国のトップを務める人の発言は非常に大きな影響力があるためです。

もしも失言などをしてしまえば、国内だけでなく他国との関係にも影響を及ぼしかねません。そこでこのような場面では、「首相は一言一句間違えずに発言した」などのように用いられます。つまり、「ちょっとした言葉も間違えずに発言した」ということです。

「一言一句」はこのように、ちょっとした言葉やささいな言葉を表す四字熟語ということになります。簡単に言えば、「短い言葉そのもの」を表すということです。

一言一句の語源・由来

 

「一言一句」は、「一言」と「一句」から成る四字熟語です。

まず「一言」とは「一つの言葉」を表します。「一」は数字の「一」、「」は「発言」「言動」などの熟語があるように「言葉」を表すためこのような意味となります。

そして、「一句」とは「文章や話の一節・一言」などの意味を持ちます。

「句」という字は短歌や俳句などを表す際によく使われますが、ここでの「句」はそのような意味ではありません。あくまで、文章や話の中における一つの節や一つの言葉を表しています。

以上の事から考えますと、「一言一句」は「一つの言葉」と「一つの節・一言」が合わさった四字熟語ということになります。

つまり、どちらも「短い言葉」を表した言葉ということです。

似たような意味の語を二つ並べることにより、「ちょっとした言葉」をより強めている四字熟語ということになります。

なぜ似たような語を並べるかですが、これは「一言一句」の使い方から来ています。

一言一句は、後ろに「違わず」「逃さず」「聞き逃さない」などが来るように、「大切な言葉を一言でも間違えないように」という意味が込められています。

そのため、少しでも間違えないようにどんな言葉であってもという意味で似た語を重ねているわけです。

なお、「一言一句」は中国の故事に由来があるものではありません。正確な起源は不明ですが、日本で日本人により作られた造語であると言われています。

一言一句の類義語

一言一句 類義語 同義語 対義語

続いて、「一言一句」の「類義語」をご紹介します。

一言半句(いちごんはんく)】⇒ほんのわずかな短い言葉。「いちげんはんく」とも読み、「半句」とは「一言にも満たないほどのわずかな言葉」という意味。
片言隻句(へんげんせきく)】⇒ほんのちょっとした言葉。「へんげんせっく」とも読み、「片言」と「隻句」、どちらも「わずかな言葉」という意味。
片言隻語(へんげんせきご)】⇒ほんのちょっとした言葉。「隻語」は「短い言葉」を表す。
一字一句(いちじいっく)】⇒一つの文字と一つの語句。「一言一句」と同じで、似た意味の「一字」と「一句」を並べて強調した四字熟語。
一語一句(いちごいっく)】⇒一つ一つの言葉。「一語」も「一句」も「一つ一つの言葉」を表し、両者を重ねて強調した四字熟語。

「一言一句」と似た言葉はいくつかありますが、この中でも「一言半句」「片言隻句」「片言隻語」などは比較的意味が近い四字熟語です。

この三つは「一言一句」の同義語と定義しても構いません。ただ、使い方としてはそれぞれ微妙に異なっていきます。

まず「一言半句」は、「一言半句~もない」などのように主に否定文として用いられます。

対して、「片言隻句」や「片言隻語」はどちらかというと良い意味で使われることの方が多いです。例えば、「恩師から頂いた片言隻語が私の心に響いた」などのように「短くても相手の心に響く・伝わる」というニュアンスで使います。

また、「一字一句」は「字」という漢字が入っているように、文字が含まれた書き言葉に対して使われます。それに対し、「一言一句」は書き言葉というよりは会話で用いる話し言葉に対して使われます。この点が、「一字一句」と「一言一句」の違いだと言えます。

最後の「一語一句」に関しては、文学作品などにも使われて広く浸透していますが、辞書に正式に載せられている言葉ではありません。

そのため、一般には使われてはいるものの、「正しい日本語かどうか?」という点では疑問符が付きます。迷った場合は無理して使わずに、他の「類義語」を使うのが無難だと言えます。

一言一句の対義語

 

「一言一句」の「対義語」としては、次の言葉が挙げられます。

千言万語(せんげんばんご)】⇒非常に多くの言葉。「せんげんまんご」とも読み、「千」・「万」は数の多さを示す。

「千言万語」は大変優れているものを形容するような際に使われます。例えば、「千言万語を費やしても語れない美しい絵だ」などのような使い方です。

語尾の部分を「句」や「言」に替えて、「千言万句」「千言万言」などのように用いる場合もあります。いずれの場合も意味自体はほぼ変わらないと考えて問題ありません。

その他、四字熟語以外だと、「多弁」=「多くしゃべること・言葉の数が多いこと」なども広い意味では反対語に含まれます。

一言一句の英語訳

 

「一言一句」は、英語では次のように言います。

single word(ちょっとした言葉)」

every word(一つ一つの言葉)」

「single」は「たっと一つの」という意味で、後の単語を強調することができます。また、「every」はここでは「あらゆる」という意味から転じて、「一つ一つの」という意味で使われています。

両者に共通する「word」は「言葉」という意味なので、それぞれ「たった一つの言葉」「一つ一つの言葉」すなわち「一言一句」という意味になるわけです。

例文だと、次のような言い方となります。

She does not miss a single word.(彼女は一言一句聞き漏らさない。)

We listened to his every word.(私たちは彼の一言一句に耳を傾けた。)

なお、その他の表現だと以下のような言い方も可能です。

「every single word and phrase(一言一句)」

「every single」は「ありとあらゆる」、「word」は「語」、「phrase」は「句」という意味です。合わせることで、「ありとあらゆる語句」⇒「一言一句」として使うことができます。

一言一句の使い方・例文

 

最後に、「一言一句」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 私の特技は映画のセリフを一言一句違わず暗唱できることです。
  2. 有名な先生の講演会なので、一言一句聞き漏らさないようにしよう。
  3. 卒業式での恩師の話は、一言一句大切に今も胸にとどめています。
  4. 彼を納得させるために、私は一言一句に思いを込めて発言した。
  5. 祖母と母の口癖が一言一句同じだったので思わず笑ってしまった。
  6. 上司は自分がミスをしても一言一句言い訳をしない人柄である。
  7. 彼はリスニングが得意なので、一言一句たがわず聴き取ることができる。

 

「一言一句」は、先述したように誰かが話している話し言葉に対して使われます。

そのため、例文のような会話や講演会、口癖など誰かが話していると分かる情報を耳から聞き入れるような際に使うのが適しています。

逆に、目から情報を入れるような書き言葉に関しては「一言一句」ではなく「一字一句」の方を使います。例えば、「メールを一字一句読み間違えない」「文章を一字一句丁寧に翻訳する」といった用例です。

場面や状況に応じて、どちらを使ったらよいかを判断してうまく使い分けるようにして下さい。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

一言一句」=ちょっとした言葉。ほんのひとこと。

語源・由来」=「短い言葉」という似た単語を二つ並べて意味を強調したことから。

類義語」=「一言半句・片言隻句・片言隻語・一字一句」「対義語」=「千言万語」

英語訳」=「single word」「every word」

言葉の持つ影響力は、私たちの思っている以上に大きいものです。何でも自由に発信できる今の時代だからこそ、自分の「一言一句」に責任を持つことが大切だと言えるでしょう。