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病と科学 予想問題 解説 ノート 現代文 教科書

 

『病と科学』は、高校国語・現代文の教科書に載せられている評論文です。そのため、学校の定期テストなどにも出題されています。

ただ、実際に文章を読むと話の流れや筆者の主張が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。そこで今回は、『病と科学』の要約やあらすじ、予想問題などを含め分かりやすく解説しました。

『病と科学』のあらすじ

 

あらすじ

古来から病気は脅威であったが、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、伝染病が病原菌によって引き起こされることが明らかにされ、病気の見方は大きく変わった。その結果、人々は全ての病気は科学の力で克つことができるという希望を持つようになった。しかし、この幻想は癌や慢性病という病が存在するにも関わらず、「科学はすべての病気を理解できる」という科学信仰に似ている。そのため、医師は強い権限を持ち、病人も医師に依存する状況が生まれた。

西洋医学は、病気の症状を分析して数値化することで、病気というものに誰にも理解しやすい尺度を与える。しかし、科学は病人と病気を切り離して、その症状にだけ注目して、そこから測定可能なものや検査可能なものを取り出して判断する。医師も一般の人々も医学が出した答えにだけ注目し、それが全てであるかのように思いこんでいるが、それは人間の体の状態のほんの一部にすぎず、医学が人間を排除していることに気づいていないのである。

科学は分析不能な問題については打つ手をもたないが、現在の医学が最も注目しているのは、痛みと死である。医師は間接的なデータから患者の痛みの程度を判断するが、痛みの存在自体が医師の判断に委ねられている。医師は医学的に証明されたと考えられる痛みにのみ対処しうるのである。患者はすべてを医師に委ねるので、自ら苦しみを受容する能力は失われ、依存性は無能力へと変貌するのである。

病気の治療において、科学は多くの利益をもたらし、優れた技術も開発した。しかし、科学を過度に信じた結果、病気から人間を排除し、病人が苦しみを受容する能力を奪ってしまった。また、医師が痛み、癌、死などに注目することによって、それが社会に伝播し、社会はますますそれらを恐れるようになった。遺伝子診断、遺伝子治療、クローン人間の作成などは、生命倫理的に多くの問題をはらんでいる。このような科学技術が、経済的利益と結びつく時に私たちは大きな誤りを犯す可能性があるので、科学や人間の限界をわきまえて謙虚に自然と向き合う必要がある。

ポイント

  • 科学の発展により病気の見方に変化が生じたことを読み取る。
  • 科学信仰により生じた病気の問題点について考える。
  • 科学技術と生命倫理の問題点について考える。

『病と科学』の要約解説

 

要約「科学は全ての病気を理解できる」という科学信仰は、一般の人々ばかりだけでなく、医師にも強い。医師は強い権限を持ち、患者も医師に依存する状況が生まれたが、医学は病気の症状にだけ注目し、分析不可能なものは扱えず、人間を排除しているのが問題である。科学は生命倫理的に多くの問題をはらむ技術を次々に開発しており、私たちはそれらの科学や人間の限界を考え、謙虚に自然と向き合う姿勢が必要とされている。(194文字)

『病と科学』の語句ノート

 

【古来(こらい)】⇒昔から今まで。古くから。

【天変地異(てんぺんちい)】⇒天地間に起こる自然災害や異変。台風・地震・洪水など。

【外敵(がいてき)】⇒外部・外国から攻めてくる敵。

【脅かす(おびやかす)】⇒ここでは、(生きている状況を)危ない状態にする、という意。

【脅威(きょうい)】⇒相手を恐れさせること、恐れさせるもの。

【伝染病(でんせんびょう)】⇒病原菌が人や動物から他の人や動物に移り、同じ症状が現れること。

【不可解(ふかかい)】⇒わけがわからないこと。理解ができないさま。

【神の怒り(かみのいかり)】⇒不治の病や自然の大きな災害などを神の怒りによるものだとする考え方。

【科学(かがく)】⇒体系的な知識のこと。広い意味では「知識や学問」を指し、狭い意味では「自然科学」を指す。「自然科学」とは自然について研究する学問のこと。

【分析(ぶんせき)】⇒現象をいくつかの要素や性質に分けて成り立ちを明らかにすること。

【結核(けっかく)】⇒結核菌によって引き起こされる感染症。

【克服(こくふく)】⇒困難に打ち勝つこと。

【克つ(かつ)】⇒(病気を)努力によっておさえつける。

【幻想(げんそう)】⇒現実にはないことをあるかのように心に思い描くこと。

【癌(がん)】⇒体内や皮膚などにできる治りにくい悪性の腫瘍。

【慢性病(まんせいびょう)】⇒慢性の経過をたどる病気。

【根強く(ねづよく)】⇒ここでは、「根深く」の意味。

【科学は全知である(かがくはぜんちである)】⇒科学は(病気について)あらゆることを理解できる、と考える。

【信仰(しんこう)】⇒特定の対象を絶対のものと信じて疑わないこと。

【科学信仰(かがくしんこう)】⇒「科学は何でもできる、科学にできないことは存在しない」と科学を妄信する考え・態度。

【病人を選別(びょうにんをせんべつ)】⇒自分の専門外の患者であるなどの理由で、病人を診療しないこと。

【社会保障制度(しゃかいほしょうせいど)】⇒公的年金、医療・介護保険、子育て支援、生活保護、福祉、公衆衛生など国民の生活を支えるもの。

【働かない権利(はたらかないけんり)】⇒病気や障害などが重く、ほとんど勤労不可能な者が勤労を避けることを求める権利。

【呪術師(じゅじゅつし)】⇒まじないなどの神秘的な力を使い、一般的には無理な望みを実現させる人のこと。

【依存(いぞん)】⇒他に頼って存在、または生活すること。

【追求(ついきゅう)】⇒目的を達するまでどこまでも追い求めること。

【測定(そくてい)】⇒ある量の大きさを、計器や装置を用いて測ること。

【尺度(しゃくど)】⇒ものさし。判断の基準となるもの。

【統計処理(とうけいしょり)】⇒同じ種類や状態のものを多く集めて分析し、数字や表で表し、目的に役立てること。

【数値の魔術(すうちのまじゅつ)】⇒数値が客観的な説得力を持つために、個人差などを無視して数値が一人歩きすること。病気でないのに病気であると思いこむこと。あるいはその反対。

【錯覚(さっかく)】⇒思い違い。勘違い。

【陥る(おちいる)】⇒ここでは、「悪い状態になる・望ましくない状態になる」という意。

【排除(はいじょ)】⇒おしのけてそこからなくすこと。

【打つ手をもたない(うつてをもたない)】⇒とるべき有効な手段がない。

【間接的(かんせつてき)】⇒人や物を介して行うさま。遠回しなさま。

【生理的痛み(せいりてきいたみ)】⇒肉体的に感知される痛み。

【心理的痛み(しんりてきいたみ)】⇒不安やストレスなどの精神的ダメージによる痛み。

【霊的痛み(れいてきいたみ)】⇒終末医療などの場で現れる、自己存在の根本的な意味や価値に関わる不安からくる痛み。「スピリチャルペイン」とも呼ばれる。

【鎮痛剤(ちんつうざい)】⇒痛みを止めたり和らげたりする薬。

【処置(しょち)】⇒病気や傷の手当てをすること。

【委ねる(ゆだねる)】⇒信用して完全にまかせる。

【受容(じゅよう)】⇒ここでは、「受け入れる」という意。

【依存性(いぞんせい)】⇒他のものに頼ってよりかかる性質。

【無能力(むのうりょく)】⇒ここでは、「自分の病気とそれに伴う痛みや死を、自分の問題として受け止めることができなくなること」を表す。

【自己決定権(じこけっていけん)】⇒自分の病気に関わることについて、自分で判断し決定する権利。

【メカニズム】⇒仕組み。

【解明(かいめい)】⇒ときあかすこと。不明な点をはっきりさせること。

【中心静脈輸液(ちゅうしんじょうみゃくゆえき)】⇒心臓近くの太い血管から栄養素を入れること。

【超音波診断(ちょうおんぱしんだん)】⇒超音波を対象物に当ててその反響を画像化して検査・診断すること。

【計り知れない(はかりしれない)】⇒想像できない。

【侵食(しんしょく)】⇒他の領域をしだいにおかし、損なうこと。ここでは、「人々の健康に関する感覚をしだいに侵して食い込むこと」を意味する。

【伝播(でんぱ)】⇒伝わり広まること。広く伝わること。

【遊離(ゆうり)】⇒他と離れて存在すること。

【遺伝子治療(いでんしちりょう)】⇒患者の遺伝子に働きかける治療法。

【クローン人間(くろーんにんげんあ)】⇒一個の細胞から無性生殖により作られた、同じ遺伝子をもつ複製としての人間。

【生命倫理的(せいめいりんりてき)】⇒人間の生命、人類の生存について倫理的な観点も加えて総合的に考えるさま。「倫理」とは「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの」を表す。

【はらむ】⇒中に含み持つ。

【成熟(せいじゅく)】⇒人の心や身体などが十分に成長すること。

【科学技術(かがくぎじゅつ)】⇒科学の研究成果を生かして、人間の生活を役立たせる技術。テクノロジー。

【謙虚(けんきょ)】⇒ひかえめですなおなこと。

『病と科学』のテスト問題対策

 

問題0

次の文の下線部の漢字を送り仮名を含め答えなさい。

①ライバルの存在にキョウイを感じる。

②苦手な教科をコクフクする。

③国家の安全をホショウする。

ジュジュツに頼って雨乞いをする。

⑤目のサッカクを利用する。

カンペキな演技を行う。

⑦判断を上司にユダネル

⑧栄養にカタヨリがないようにする。

⑨現実からユウリした突飛な発想。

ケンキョな態度で相手に接する。

解答①脅威 ②克服 ③保障 ④呪術 ⑤錯覚 ⑥完璧 ⑦委ねる ⑧偏り ⑨遊離 ⑩謙虚
問題1

「人々を数値の魔術に引き込む危険が満ちている」とあるが、それを説明した次の一文の()に入る適当な語句を文中から探し、12文字で抜き出しなさい。

「科学が(        )に陥る」

解答万能であるかのような錯覚
問題2

「医師は、病人そのものは自分の視野から閉め出して、痛みだけに注目する」とあるが、その説明として適切なものを次の中から選びなさい。

(ア)医師は、個人差がある病人自身が感じている痛みを排除して、患者の立場で診断を下すということ。

(イ)医師は、患者個人の痛みの説明により診断を誤らないように、あえて数値データから痛みを判断するということ。

(ウ)医師は、患者それぞれの痛みの違いではなく、データから医師自身の判断によって痛みをとらえるということ。

(エ)医師は、患者自身が感じている痛みを理解できないのだから、診断の材料から痛みを排除した方がいいということ。

解答(ウ)
問題3「病人が苦しみを受容する能力を奪ってしまった」とあるが、この能力を例えている語句を文中から探し、10字以内で抜き出しなさい。
解答自分の足で立つ能力(9文字)
問題4

本文全体を踏まえ、筆者の考えとして正しいものを次の中から選びなさい。

(ア)科学は古来から人間に多くの利益をもたらしている以上、その限界を超えるような努力を私たちはすべきである。

(イ)現代の医療は、科学をもってしても限界があるので呪術師のような非科学的な能力を使うことも時には必要である。

(ウ)遺伝子を操作したりクローン人間を生み出したりする生命倫理に反する技術は、人間に利益があったとしても行ってはいけない。

(エ)科学にも限界があると考え、日々進歩する科学を自然の一部として位置付けるような謙虚な姿勢が人間には必要である。

解答(エ)

まとめ

 

以上、本記事では現代文『病と科学』について解説しました。ぜひ定期テストなどの対策用として読み直して頂ければと思います。

 

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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