現代文の文章では、
「普遍的」「普遍性」などの言葉を目にしますね。
特に、前者の方は「普遍的な価値」
という言い方でよく用いられています。
しかし、正確な意味まで理解している人は
意外と少ないのでないでしょうか?
そこで今回はこの「普遍」について
具体例なども交えて分かりやすく簡単に説明しました。
後半では、「類語」や「対義語」「英語訳」なども解説していきます。
さっそく、確認していきましょう。
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普遍の意味
まずは、基本的な意味からです。
【普遍(ふへん)】
⇒全体に広く行き渡ること。例外なくすべてのものにあてはまること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「普遍」とは、
「すべてのものに共通してあてはまること」だと思ってください。
言いかえれば、
「①いつでも②どこでも③誰にでも④何にでも当てはまる」
ということですね。
逆に言うと、
4つのうち1つでも当てはまらなければ、
「普遍的」とは言えません。
例えば、現代なら当たり前でも
100年前は違ければ普遍的とは言えません。
また、アメリカなら当たり前でも、
他の国では違うのならば普遍的とは言えません。
さらに、フランス人なら当たり前でも、
日本人では違うのならば普遍的とは言えないのです。
では、以下のような現象はどうでしょうか?
「太陽が東から昇り、西に沈む」
これは、いつの時代もどこの国でも、
どんな人種にとっても変わりません。
このような現象を、
「普遍的な事実」と言うのです。
自然現象などは、
普遍的なモノの代表例として挙げられるでしょう。
また、「人の死」なども「普遍的な現象」と言えます。
すべての人間は、生まれた後に必ず死にます。
今まで死ななかった人は、歴史上一人もいません。
よって、「人の死」=「普遍的」と言えるわけですね。
逆に、普遍的に見えても
実はそうでないものもあります。
身近な例で言うと、「都市のあり方」です。
私たちの生活は、道路やビル、電車などに囲まれていますが、
これらの環境は世界共通のものではありません。
アフリカなどの発展途上国では、
まだまだ生活レベルが低い国が多いです。
また、そもそも現代社会の都市のあり方は、
アメリカが20世紀最初に作ったモデルです。
実は、私たちが生活している都市は、
わずか100年ほどの歴史しかありません。
つまり、現代の都市は歴史的に見て、
一時的に作られたものなのです。
こうして考えると、
時代と共に移り変わってしまうものは、
普遍的とは言えないことが分かると思います。
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普遍の対義語
「普遍」の「対義語」は、
「特殊(とくしゅ)」と言います。
「特殊」の意味は以下の通りです。
【特殊(とくしゅ)】
①性質・内容などが、他と著しく異なること。また、そのさま。特異。
②限られた範囲のものにしかあてはまらないこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「特殊」の意味は2つありますが、
現代文では主に②の意味で使われます。
つまり、
「限られた範囲のものにしかあてはまらない」ということです。
私たちが普段イメージする「特殊」は、①の意味だと思います。
しかし、「普遍」というのは
「すべてのものに共通する」という意味です。
よって、範囲が限定的という意味で、
②の意味が使われているわけですね。
「特殊」の具体例としては、
「学校の校則」などが挙げられます。
例えば、「A高校の校則」などは
その高校にしか当てはまりません。
違う地域のB高校やC高校などになれば、
全く違う校則に変わってしまいます。
このように、限られた範囲にしか当てはまらないことを
「特殊」と言うのです。
普遍の類義語
一方で、「普遍」の「類義語」としては、
「一般」がよく挙げられます。
「一般」とは、
「広く全体に共通すること」です。
「一般」も「普遍」と似たような意味として使われますが、
厳密に言うと多少意味が異なります。
「普遍」は、全ての物事に当てはまることでした。
しかし、
「一般」は全てではなく、広く物事に当てはまることを意味するのです。
つまり、
「一般」の場合は例外も認めるということですね。
例を出すと、次のようになります。
【普遍】⇒生き物が子孫を残すのは、普遍的な本能だ。
【一般】⇒結婚をして家族を持つのは、一般的なことだ。
後者のように、
「結婚して家族を持つこと」というのは
すべての人に当てはまるわけではありません。
このように、
80%、90%など一定の割合にしか当てはまらないことを
「一般的」というのです。
また、その他の「類義語」としては、
「世界的」なども挙げられます。
「世界的」とは、簡単に言うと、
「どこでも」という意味です。
この場合は、
「いつ」や「誰」などの意味は含んでいないため、
「一般的」と同じく全くの同義語とは呼べません。
普遍的の英語訳
「普遍的」は、英語だと「universal」と言います。
これは「宇宙」を意味する「universe」は形容詞にした形で、
「宇宙的」と訳すこともできます。
主な使い方としては、以下の通りです。
「universal value(普遍的な価値)」
「universal truth(普遍的な真理)」
それぞれの例文も紹介しておきましょう。
Gold has a universal value.(金には普遍的な価値がある。)
The fact that a human dies is a universal truth.(人類が死ぬのは普遍的な事実だ。)
その他、別の言い方だと、
「general(一般的な)」「worldwide(世界的な)」などの単語も使えます。
こちらは「普遍的」の直訳ではありませんが、
広く一般に当てはまるような場合に使うことが可能です。
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使い方・例文
では最後に、「普遍」の使い方を、
実際の例文で確認しておきましょう。
以下に、わかりやすい例文を用意しました。
- 人間にとって「健康」とは、普遍的なテーマである。
- 「重力」は、地球に限らず全宇宙に普遍的に存在する。
- このデザインには、普遍的な美しさがあると言われている。
- 子孫繁栄のために子供を守ることは、生物の普遍的な本能だ。
- 食欲や睡眠欲などは、人にとって普遍的な欲求である。
- 貨幣には、普遍的な価値があることが認識されている。
- 科学というものは、法則の普遍性について語ることができる。
※「科学」の意味は、
以下の記事を参照してください。
上記の例文は全ての対象に対して、
共通して当てはまっています。
例えば、「健康」というのはいつの時代も
人々のテーマとして挙がっていました。
また、食欲や睡眠欲が全くない人など存在しません。
このように、例外なく全て当てはまる場合に、
「普遍」を使うわけですね。
なお、「普遍的」と同じ読みの言葉で、
「不変的(ふへんてき)」があります。
「不変的」とは、
「いつまでも状態が変わらない様子」という意味です。
使い方としては、
「不変的な関係」「不変的な原則」などが挙げられます。
「普遍的」と「不変的」は全く意味の異なる言葉なので、注意してください。
まとめ
以上、今回は「普遍」について解説しました。
まとめると、
「普遍的」=すべてのものに共通してあてはまる様子。
「対義語」=「特殊」
「類語」=「一般的」「世界的」
「英語」=「universal」「general」「worldwide」
ということでした。
ぜひ正しい理解をして、
文章の読解やビジネスなどに役立ててみてください。
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国語力アップ.com管理人
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