知識 知恵 見識 違い 使い分け 例文は

「知識」と「知恵」は、どちらも普段の文章でよく使われています。さらに、似たような言葉で「見識」が使われることもあります。

これらの言葉はどう使い分ければいいのでしょうか??本記事では、「知識」と「知恵」の違い、さらに「見識」についても解説しました。

知識の意味

 

まずは、「知識」の意味からです。

【知識(ちしき)】

知ること。認識・理解すること。また、ある事柄などについて、知っている内容。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

知識」とは「知ること・知っている内容のこと」という意味です。

分かりやすい具体例を挙げましょう。私たちは学校の授業で様々な教科を勉強してきました。

  • 【国語】で言えば「漢字」や「文法
  • 【算数】で言えば「足し算」や「引き算
  • 【英語】で言えば「英単語」や「英文法

このように、人が頭の中に入れて覚えるような記憶のことを「知識」と言うわけです。一言で、「データ」と覚えてもよいでしょう。

先の説明だと学校の勉強を例に出しましたが、「知識」は何も勉強に限定されるわけではありません。例えば、「赤信号は渡ってはいけない」というルールなども「知識」と言えます。

人は当たり前のように赤信号の時は止まっています。しかし、生まれた瞬間から交通ルールを知っていたわけではありません。

必ず誰かに教えてもらったり本で理解したりなどして、外部からの情報によって交通ルールを学んだはずです。すなわち、知らない情報が頭の中に入った瞬間に、それらはすべて「知識」となるわけです。

知恵の意味

 

続いて、「知恵」の意味です。

【知恵(ちえ)】

物事の道理を判断し処理していく心の働き。物事の筋道を立て、計画し、正しく処理していく能力。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

知恵」とは「物事の筋道を立てて、正しく処理していく能力」を表します。

よくある言い方が、「知恵がある」「知恵を使う」などです。こちらも具体例を出しましょう。

Aさんは飲み会の幹事でした。10人グループで飲食をし、お会計が全部合わせて1万500円でした。そこで、Aさんはみんなにこう言います。

一人1000円払えばいいよ。」「残りの500円は自分が払うから。

つまり、Aさんは瞬時に頭の中で計算をし、「1万÷10=1000円を導き出した」ということです。当たり前のことですが、「割り算」という知識がないとこの判断はできません。

このように、与えられた状況の中で物事を正しく処理する能力のことを「知恵」と言うわけです。

知識と知恵の違い

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ここまでの内容を整理すると、

知識」=知ること・知っている内容。

知恵」=物事の筋道を立てて、正しく処理していく能力。

ということでした。

つまり、「知識」を使って問題を解決していく能力が「知恵」ということになります。

「知識」は、人が頭の中に入れるデータのことです。一方で、「知恵」はそのデータを使って問題を解決していく能力のことです。

したがって、いくら「知識」が多くあったとしても、「知恵」を使わなければ物事に対処することはできません。なぜなら、データはあくまでデータであり、単なる情報の蓄積だからです。

逆に、いくら「知恵」を使おうと思ったとしても、「知識」が乏しいと何をどうしたらいいのかがよく分かりません。持っている選択肢が少ないのですから、当然と言えば当然ですね。

料理人で例えるなら、「食材が少ないのにどうやって調理するの?」という感じでしょう。

このように比較すると、「知恵は知識があって初めて使える言葉」ということが分かるかと思います。

「知識」は、頭の中に情報をインプットしたものです。この時の情報は、多くの人が共有できるような客観的なものだと言えます。

対して、「知恵」はインプットした知識を外部にアウトプットしたものです。この時にアウトプットしたものは、個人の性格や経験などにも左右されます。

つまり、「知恵」は個人の持っている素質によってもある程度左右されるということです。

よって、大事なのは①「なるべく多くの知識を備えていること」②「身に付いた知識をうまく有効活用すること」の二点に集約すると言えるでしょう。

見識の意味

 

似たような言葉で、「見識」があります。

【見識(けんしき)】

物事を深く見通し、本質をとらえる、すぐれた判断力。ある物事に対する確かな考えや意見。識見。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

見識」とは「物事の本質をとらえる能力や判断力のこと」を表します。

例えば、ビジネスに見識がある人であれば、

  • ビジネスとはどういうものか?
  • どうすれば物が売れるのか?
  • どうすれば顧客が喜ぶのか?

といった本質的なことを深く理解している人という意味になります。

「見識」がある人の特徴としては、「知識を使って周りを納得させるような判断ができる」という点が挙げられます。ここが「知恵」との一番の違いだと言えます。

「知恵」は、あくまで持っている知識をうまく使うことですが、「見識」の場合は周りを納得させるような確かな意見を持つ必要があります。そのためには、物事の本質を理解していないといけません。

「本質」というのは、どの物事においても最も重要な部分で、言わば「核」と呼ばれるものです。この「核」を捉えている人でないと、「見識がある」とは言えないのです。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【知識の使い方】

  1. 英語の知識がないと、外国人と会話はできない。
  2. 世界史の参考書を購入し、知識を蓄えることにした。
  3. 金融の知識を生かし、株式投資を始めることにした。
  4. パソコンの知識が乏しいと、IT業界では苦労するだろう。
  5. 将来医者になるには、まずは知識を増やすことが大事だ。

【知恵の使い方】

  1. 幼い頃から祖母を見て生活の知恵を学んできました。
  2. 彼は物知りだが、頭でっかちなため知恵を使えない。
  3. 知恵が足りない人は、仕事で成果を出すのは難しい。
  4. 知恵を使えない人は、いくら知識があってもダメだ。
  5. 天気予報を元に、知恵を働かせて傘を持って出かけた。

【見識の使い方】

  1. 大学教授は、社会的に高い見識を備えた人物である。
  2. 物理学者の彼は、見識を備えた人物として知られている。
  3. 彼女は美術にも高い見識を持ち、モナリザのファンである。
  4. 返答に困ったことで、彼は見識の狭さを露呈してしまった。
  5. 見識がある先生なので、生徒たちを納得させることができる。

 

まとめ

 

以上、内容をまとめると下記のようになります。

知識」=知っている内容。頭の中に入れるデータ。

知恵」=物事の筋道を立てて、正しく処理していく能力。

見識」=物事の本質をとらえる能力。

違い」=「知識」を使って問題を解決していく能力が「知恵」。「知識」を使って周りを納得させる能力が「見識」。

どれも重要な意味を持っていますが、大事なのはバランスです。知識があっても知恵を使わなければ意味がありません。逆に知恵を出すには知識がないとできません。その事を理解した上で、これらの言葉を使い分けて頂ければと思います。