担保 意味 簡単に わかりやすく 使い方

「担保」という言葉は、普段の生活やビジネスなどでよく使われています。「担保する」「担保責任」「担保物件」。

ただ、この言葉を分かりにくいと感じる人は非常に多いようです。特に法律用語に慣れていない人にとっては、なおさら難しく感じるのではないでしょうか。

そこで今回は、「担保」の意味を誰にでも分かるように簡単に分かりやすく解説しました。

担保の意味を簡単に

 

まず、「担保(たんぽ)」とは簡単に言うと「お金を返せなくなった場合に、代わりに渡すもの」だと考えてください。

分かりやすいように具体例を出しましょう。

A君はお金が足りなくて困っていました。

そこで、B君に「1万円だけお金を貸してくれない?」と頼みました。

しかし、B君はお金を貸すのをいやがっています。

なぜなら、A君がちゃんとお金を返してくれるか不安だからです。

もしかしたら、お金を持ってそのまま逃げられてしまうかもしれません。

そこでB君は、A君が持っているゲーム機を預かることにしました。

B君「もしも君がお金を返さなかったら、このゲーム機は僕がもらうね。それでもいいなら1万円を貸すよ。

A君「分かった。じゃあ、ゲーム機を渡すよ。」

A君は納得してゲーム機を渡しました。

もしもA君がお金を返さなかった場合、B君はゲーム機を売ってお金に代えます。

ゲームの値段はちょうど1万円くらいなので、十分にお釣りがくるでしょう。

一方で、A君がちゃんとお金を返せば、A君の元にゲーム機は戻ってきます。

結果的に、A君とB君はお互いが安心してお金の貸し借りをすることができました。

何となく理解できたでしょうか?

つまり、この場合の「担保」とは「ゲーム機」のことです。

「担保」は、基本的にお金の貸し借りをする場合に設定します。

お金の貸し借りというのは、トラブルが起きやすいです。

「あの時貸しただろ?」「いや、もらってない」などのように、言った・言わないのケンカが起こる可能性が常にあります。

そのため、前もってトラブルが起きないように相手から「担保」を預かるわけです。

担保の意味を法律的に

担保 法律 意味

では、担保の意味をもう少し詳しく見ていきましょう。「担保」の意味は、辞書では次のように書かれています。

【担保(たんぽ)】

債務不履行の際に債務の弁済を確保する手段として、あらかじめ債権者に提供しておくもの。質権・抵当権などの物的担保と保証人などの人的担保がある。

② 抵当。かた。しちぐさ。

③ 保証すること。また、保証人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

上記のように、「担保」には3つ意味が書かれていますが、この場合は①の意味を覚えておけば問題ありません。

したがって、以下の記述をわかりやすく解説したいと思います。

債務不履行の際に債務の弁済を確保する手段として、あらかじめ債権者に提供しておくもの。

一つずつ説明していくと、「債務(さいむ)」とは「お金を返す義務のこと」です。

そして、「履行(りこう)」とは「約束をちゃんと果たすこと」です。

つまり、「債務不履行(さいむふりこう)」とは「お金を返す約束を破ること」を意味することになります。

次に、「弁済(べんさい)」とは「借りていた金品を返すこと」です。そして最後の「債権者(さいけんしゃ)」とは「お金を貸している人」を指します。

ちなみに、「お金を借りている側の人」は「債務者(さいむしゃ)」と言います。

これらを踏まえて、辞書の説明を簡単に言うと

担保」=「お金を返す約束を破った時に、貸している人にちゃんと返せるように、あらかじめ渡しておくもの

となります。

これで意味がスッキリしたのではないでしょうか。

法律用語というのは難しいです。しかし、一つ一つの意味を理解すれば、内容がちゃんと頭に入ってくるでしょう。

担保の具体例

担保 具体例 簡単に

ここまでの内容を整理すると、

担保」=お金を返せなくなった場合に、代わりに渡すもの。

ということでした。

では、この「代わりに渡すもの」とは具体的に何を指すのでしょうか?

先ほどの例だと、「ゲーム機」を挙げました。しかし、実際の大人の世界ではもっと金額の大きいものが「担保」となります。

よくあるのが、「」などの不動産です。

「家」というのは、だいたい3000万円~5000万円もする大変値段が高い物です。普通に考えれば、多くの人は持っている現金だけでは家を買うことができません。

したがって、銀行からお金を借りて家を購入することになります。言わゆる「住宅ローン」と呼ばれるものです。

この時、銀行側も相手がちゃんとお金を返してくれるか不安な気持ちになります。

そこで、「お金を借りた人が購入後に住む家」を「担保」にするのです。

もしも、期間内にお金を返せなかった場合、その家は銀行のモノとなります。具体的には、その家を「競売(けいばい)」といってオークションに出します。

これは銀行側に与えられた強制的な権利であり、銀行は競売によってその家を買いたい第三者に売りお金を手に入れるのです。

もちろん、競売に出された場合はその人はもう家に住むことはできません。代わりに住むのはオークションで買った第三者ということになります。

このように、「担保」は「人」や「銀行」などあらゆる対象からお金を借りる場面で使います。

お金の貸し借りをするときにお互いを支えているのは、信頼関係です。信頼関係を築くには、貸す側に具体的な何かを与えなければいけません。

そのため、お金の貸し借りに「担保」を設定することは欠かせないことなのです。

担保の主な使い方

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続いて、「担保」の主な使い方を見てきましょう。以下でよく使われる3つの用語を簡単に紹介します。

①担保責任とは

担保責任(たんぽせきにん)」とは「相手側に担保を追う責任」のことです。

この場合の「担保」とは家などを指しているわけではなく、「保証すること・負担すること」などの意味で考えて下さい。

主に、家の売主側が買主側に対して責任を負う時に使うことが多いです。

辞書の説明だと、次のようにも書かれています。

【担保責任】

有償契約において一方の当事者が給付した目的物または権利に瑕疵(かし)がある場合に相手方に対して負担する責任。

出典:三省堂 大辞林

「瑕疵(かし)」とは簡単に言うと「キズや欠点のこと」を表します。

例えば、家であれば建物自体が傾いていたり、シロアリの被害にあっていたりといったことです。

このような欠点がある物を相手に売ってしまった場合、売主側は買主側に責任を負わなければいけません。

これを「担保責任」と言うのです。頭に「瑕疵」が付いて「瑕疵担保責任」と呼ぶこともあります。

具体的には、以下のような責任です。

損害賠償」⇒お金を返したり物自体を返したりする。

契約の解除」⇒契約自体を始めからなかったことにする。

②担保物権とは

次に、「担保物権」です。

【担保物権(たんぽぶっけん)】

一定の物を債権の担保に供することを目的とする物権。民法上、留置権・先取特権・質権・抵当権の四種がある。

出典:三省堂 大辞林

物権(ぶっけん)」とは「物を支配する権利のこと」だと考えて下さい。

つまり、「担保物権」とは「一定の物を担保にして支配する権利」を意味するのです。

「担保物権」には4つの種類がありますが、一般的には「抵当権(ていとうけん)」を指すことがほとんどです。

「抵当権」とは、貸し主側があらかじめ担保に取った不動産を売れる権利のことです。

お金の借り主が返済できなくなった場合に、貸し主側が借り主側に対して抵当権を行使することとなります。

「抵当権」を設定することにより、貸し主側は安心してお金を貸すことができるという特徴があります。

③担保提供者とは

担保提供者(たんぽていきょうしゃ)」とは、「債務を負っていないが、担保を提供する人」のことを意味します。

例えば、家を購入する予定の夫婦がいたとしましょう。

住宅ローンは、収入が多い夫の名義で組み、頭金(最初に払うお金)は妻の名義で済ませました。

2人でお金を負担しているため、マンションを買った後の名義は「共同名義」となります。

この場合、ローンを組んでいるのは夫なため、担保を渡すのは夫だけでいいと思われがちです。

しかし、お金を貸している銀行側からすると、夫がお金を返せなくなった場合に備えて何らかの対策をしておきたいところです。

そこで、妻にもマンションの持ち分に応じた担保を提供してもらうようなことを行います。

この時に妻のことを、「債務(支払い義務)は負っていないけども、担保を渡す人」という意味で「担保提供者」と言うのです。

担保の例文

 

最後に、「担保」の使い方を実際の例文で確認しておきましょう。

  1. 持っている時計を担保に、友人からお金を貸してもらう。
  2. 家を担保にして、銀行からお金を借りることにした。
  3. 銀行の貸し付けは、一般的に不動産を担保にして行う。
  4. 建物に重大な瑕疵がある場合、売主は瑕疵担保責任を負う。
  5. 担保物権を使い、強制的に家をオークションにかけた。
  6. 担保提供者は、親・子・配偶者などがなること多い。

 

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

担保」=お金を返せなくなった場合に、代わりに渡すもの。

法律的な意味」=債務不履行の際に債務の弁済を確保する手段として、あらかじめ債権者に提供しておくもの。

主な使い方」=「担保責任・担保物権・担保提供者」など。

なるべく簡単に解説しましたが、いかがだったでしょうか?この記事をきっかけに、ぜひ正しい意味を理解していただければと思います。