テレビや新聞などで、
経済のニュースを聞くことは多いですよね。
「今日は円高です」
「昨日よりも円安です」
何気なく聞いているこれらの言葉ですが、
実際は分かりにくく感じる人も多いかと思います。
そこで今回は、「円高」や「円安」の意味を
誰にでも理解できるように簡単にわかりやすく解説しました。
さっそく、確認していきましょう。
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円高と円安の意味
まず、「円高」と「円安」の意味を調べると、
次のように書かれています。
【円高(えんだか)】
⇒外国為替相場で、円貨が外国通貨に対して相対的に価値が高いこと。
【円安(えんやす)】
⇒外国為替相場で、円貨が外国通貨に対して相対的に価値が低いこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
一般的な説明だと、
「円高」=円の価値が相対的に高いこと。
「円安」=円の価値が相対的に安いこと。
と書かれています。
「相対的(そうたいてき)」とは「他と比べて」という意味です。
つまり、
「円高」とは「他のお金と比べて円の価値が高いこと」
そして「円安」とは、
「他のお金に対して円の価値が安いこと」を表すのです。
当たり前のことかもしれませんが、
世の中に出回っているお金は「円」だけではありません。
日本では「円」というお金が使われていますが、
世界ではもっと様々なお金が使われているのです。
例えば、以下のようなお金です。
- アメリカ⇒ドル
- ヨーロッパ⇒ユーロ
- 中国⇒元(げん)
- 韓国⇒ウォン
言語や文化が違うように、
「国によってお金の種類も違う」ということですね。
ここで大事なのは、価値が高いとか低いというのは
「外国のお金に対して」ということです。
つまり、外国のお金に対して円の価値が高ければ「円高」
円の価値が低ければ「円安」と呼んでいるのです。
では、価値が高いとか低いというのは、
何を基準に決めているのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
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円高と円安の仕組み
円の価値は、高くなったり低くなったり
毎日・数時間・数秒ごとに動いています。
その理由は、世界中の投資家がお金を売ったり買ったりしているからです。
彼らは、「外国為替市場(がいこくかわせしじょう)」で毎日お金を売り買いしています。
「外国為替市場」とは、
「各国のお金同士を自由に売り買いできる場所のこと」だと思ってください。
別の言い方をすると、
「お金同士を両替えする所」ですね。
具体的には、
1ドルを持っている人と100円を持っている人が
お金を交換したりしているのです。
そして、
円を買いたい人が多くなったり少なくなったりすることにより、
日々の日本円の価格は上下しているのです。
ここで、実際の「円高・円安」のケースを見てみましょう。
今現在、
1ドル=100円であったとします。
しかし、その後、
1ドル=90円に変わりました。
この場合「円高」でしょうか?
それとも「円安」でしょうか?
答えは・・・「円高」です。
「どうして?」
「100円から90円になったから円安じゃないの?」
と思った人も多いはずです。
確かに100円よりも10円安くなったので、90円です。
しかし、よく考えて見てください。
今までは、1ドルを買うのに
100円を出せば交換することができました。
ところが、1ドル=90円の場合、
今までよりも10円少なく払っても
同じ1ドルを購入できるのです。
これは円を持っている側としては、
とても有利な取引と言えるでしょう。
何しろ、1ドルをもらえた上に、
手元に10円が残るわけですからね。
したがって、この場合は円の価値が上がっているので
「円高」と言うのです。
逆に、1ドル=100円が1ドル=110円になったとしましょう。
この場合は、
「円安」になったと言います。
なぜなら、
今までよりも10円多く払わないと、
同じ1ドルを購入できないからです。
つまり、
円を余計に払わなければいけないほど、
円の価値が下がったということですね。
大事なのは、値段が高いとか安いで考えるのではなく、
「お金の価値が高いか低いかで考える」ということです。
お金というのは、多ければ多いほど価値は下がり、
少なければ少ないほど価値は上がります。
分かりやすい例だと、1億円を持っているAさんの1万円と、
2万円しか持っていないBさんの1万円では価値が違いますよね?
Aさんにとっての1万円は価値は低いですが、
Bさんにとっての1万円は命と同じくらい価値が高いものです。
つまり、
お金というのは持っている量によって価値が上下するものなのです。
話を戻しますと、
日本国内でも「円」の量が増えたり減ったりします。
「円」の量は、日本銀行の政策や海外の事件など、
色々な要因によって増減するからです。
したがって、もしも「円」の量がとても少なくなった場合、
「1ドル=50円」などの超円高になる可能性もありえます。
この場合、1ドルをたった50円出せば買えるほど
「円」の価値がものすごく高くなったということです。
このように、円の量とお金の価値に注目することが、
円安と円高の覚える上で大事なポイントとなるのです。
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円高と円安はどっちがいいの?
ところで、
円高と円安は日本にとって
どっちがいいのでしょうか?
これは、会社によって異なります。
まず、輸出をメインにしている企業は、
「円安」の方が良いです。
例えば、
日本から海外に自動車を輸出しているような企業です。
日本の自動車を海外の人へ売る場合、
ドルで支払いを受けます。
そのドルを日本の社員に給料として支払う場合、
当然、その前に円と交換する必要が出てきますよね。
この場合、
1ドル=100円よりも1ドル=110円のほうが
社員に多くの給料を払うことができます。
これは企業にとって大きなメリットです。
厳密に言うと、多く手に入れた円(利益)によって、
その分の自動車の価格を下げたりします。
すると、車が売れやすくなるので、
さらに利益が出やすくなるというメリットもあります。
このように、「円安」というのは
輸出がメインの企業には追い風となるわけです。
逆に、輸入をメインにしている企業は、
「円高」の方が良いと言えます。
例えば、
海外から日本に食料を輸入している企業などです。
日本の飲食店は、
海外から様々な食料を購入しています。
この場合、
1ドル=100円よりも1ドル=90円のほうが、
多くの食料を安く購入することができます。
また、これらの企業は
電気代や運送代をまかなうために、大量の原油を輸入しています。
原油は海外からしか買えません。
そのため、値段が安いというのは
輸入企業にとって大きなコスト削減になるのです。
その他同じような理由で、
海外旅行に行く人にとっても円高は大きなメリットだと言えます。
なぜなら、海外の商品を安く買うことができるからです。
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円高と円安の基準
「円高」と「円安」には、
何か基準があるのでしょうか?
例えば、「〇〇円以上になれば、円安」のように
はっきりした基準があれば分かりやすいですよね?
結論から言いますと、
円高と円安に明確な基準はありません。
冒頭でも説明した通り、
「為替(かわせ)」というのは毎日変動しています。
したがって、ニュースなどでは
- 昨日に比べて〇〇円だけ円安になりました。
- 去年と比べて円高になりました。
- 7日ぶりに円安で取引を終えました。
のように様々な言い方をするのです。
昨日に比べれば「円安」だけど、
おとといに比べれば「円高」などのケースはしょっちゅうあります。
そのため、
比較するものが何なのかによっても変わってくるのです。
一般的には、1ドル=110円くらいが
日本経済にとっては望ましいと言われています。
しかし、この数値もあくまで経済学者が出した数字であり、
明確な基準と定めているわけではありません。
経済はその時の各国の情勢によって大きく変わるため、
一概にこの数値が良いという物差しはないのです。
なお、1960年代までは
「固定相場制」といって「1ドル=360円」
とレートが固定されていた時期もありました。
しかし、現在は「変動相場制」となり、
自由に価格が決められるようになっています。
その結果、
売りたい人と買いたい人が自由に売買する市場となっています。
まとめ
以上、今回の内容を簡単にまとめると、下記のようになります。
「円高」=円の価値が外国のお金に対して高くなること。例(1ドル100円⇒1ドル90円)
「円安」=円の価値が外国のお金に対して低くなること。例(1ドル100円⇒1ドル110円)
「値動きの仕組み」=世界中の投資家が常にお金を売ったり買ったりしているため。
「円安」は輸出企業にとってはメリット。逆に、輸入企業にとってはデメリット。
「円高」の場合はその逆。
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国語力アップ.com管理人
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