「少数精鋭」という四字熟語をご存知でしょうか?主にビジネスで使われ、「少数精鋭の会社」「少数精鋭の企業」などのように用います。
また、履歴書の志望動機欄に書き記すことも多いです。ただ、少数とはそもそも具体的に何人くらいを指すのか?といった疑問もあります。
そこで本記事では、「少数精鋭」の意味や使い方、メリット・デメリットなどを詳しく解説しました。
少数精鋭の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【少数精鋭(しょうすうせいえい)】
⇒やたらに人員をふやさないで、人数は少ないが、すぐれた者によって事を行おうとする方針。政治的には大衆組織主義に対する語として用いられる。
出典:四字熟語を知る辞典
「少数精鋭」は、「しょうすうせいえい」と読みます。
意味は「人員を増やさず、少数のすぐれた者によって物事を行おうとする方針」のことです。
例えば、上場企業の平均従業員数はだいたい2500人ほどだと言われています。しかしながら、ここまで人数を増やさずに100名以下など少ない人数で組織を運営している企業も存在します。
このような企業は、少数のすぐれた社員達によって物事を運営する方針です。よって、「少数精鋭の企業である」などと言えるわけです。
もちろん、会社の従業員というのは正社員以外に派遣社員や契約社員、アルバイトなど様々な形態が存在します。そのため、一概には何人とは定義できませんが、概ね100人以下であれば少数精鋭の企業と言ってよいでしょう。
少数精鋭の語源・由来
「少数精鋭」は「少数」と「精鋭」に分けることができる四字熟語です。
まず「少数」ですが、これは文字通り「少ない数」という意味です。主に組織を運営する人数が少ないことを表します。漢字で書くときは「小数」と書かないようにしてください。
そして、後半の「精鋭」は、「勢いが強く、鋭い力を持っていること」という意味です。
「精」は「精神」「精力」などの熟語があるように、「心身の力・活力」、また「鋭」は「鋭気」「鋭意」などの熟語があるように「勢いが鋭いさま」を表します。
そのため、「精鋭」は「活力があり、勢い鋭い様子」を表すことになります。
以上、両者を合わせることで、「少数のすぐれた人々によって物事を行う方針」という意味になるわけです。
少数精鋭のメリット
「少数精鋭」は、会社などの組織内で使われることが多い言葉です。しかし、実際のところ少数精鋭であることにどんな「メリット」があるのでしょうか?
まず、少ない人数で仕事をする場合、個々の力が非常に重要になってきます。そのため、「責任感が強くなる」というメリットが挙げられるでしょう。
社員一人一人が自分に合った力を存分に発揮することが求められるので、自ずと仕事に対する責任が増すということです。
また、一人で数人分もの技術や知識を持ち合わせている人が集まるわけですから、「より効率的に仕事が進められる」という良さもあります。
大企業などの人数が多い企業だと、トップから下へ業務の指示が伝わるまで時間的なロスがあります。その点、少数精鋭の企業はそのような時間的なロスも削減することができるのです。
さらに言うと、「強固な人間関係を作りやすい」というのもメリットの一つです。お互いが少人数で近い距離で仕事をする分、より強固な人間関係を構築できるということです。
少数精鋭のデメリット
では、逆に「デメリット」はどんなものがあるでしょうか?
まず、人数が少ないので「一人一人の仕事量が増える」という点が挙げられます。仮に誰か一人でも会社を辞めれば、他の社員たちの負担が必然的に重くなります。そうなると、新しい従業員を採用するまでは残業が増えてしまうという事態は避けられません。
また、優秀な人材というのはどこにいっても求められますから、スキルの良い人材はもっと良い会社に転職してしまうということも考えられるでしょう。いわゆる、「人材流出」と呼ばれるものです。
必ずしもそうではありませんが、一般に人数が少ない会社は、優秀な人材が離れやすい傾向にあります。これは、より高い給料ややりがいのある仕事を求めるキャリアップを目的とする場合がほとんどです。
また、人数が少ないことにより、逆に「人間関係を解消しにくい」という点も挙げられます。大企業だと仮に自分と相性の悪い上司がいたとしても、違う部署へ異動を申し出ることは可能です。
しかし、人数が少ない企業であれば場合によってはずっとその上司と付き合わなければいけないということも考えられます。仕事に人間関係の良好さを求める人にとっては、この辺りはデメリットだと言えるでしょう。
少数精鋭の類義語
続いて、「少数精鋭」の「類義語」を紹介していきます。
「少数精鋭」と全く同じ意味の言葉(同義語)というのはありません。この中だと、「多士済々」が意味としては最も近いと言えます。
他には、四字熟語以外だと「選りすぐり」も類義語だと言えるでしょう。
「選(え)りすぐり」とは「よいものの中からさらに選び抜かれたもの」を表す言葉です。「選りすぐりの食材」などのように用います。
少数精鋭の対義語
逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。
「烏合」の「烏」という字は「カラス」を表すので、「烏合」=「カラスの集まり」という意味です。そして、「衆」という漢字は「多くの人々」が原義ですが、ここでは「集団」という意味で使われています。
また、「有象無象」は、数は多いものの、大したことない人達のことを卑下して呼ぶ表現です。元は仏教を由来とする言葉となります。
少数精鋭の英語訳
「少数精鋭」は、英語だと次の二つの言い方があります。
「select few(選ばれた少数、少数精鋭)」
「small unit of our best fighters(少数の最高な戦士の集まり)」
「select」は「選び出す、選抜する」、「few」は「少ない」という意味です。両者を合わせることで、「選りすぐりの少数」すなわち「少数精鋭」という意味になります。
また、「small unit」は「小さな集団」、「best fighters」は「最高の戦士たち」という意味です。こちらは「少数精鋭」の意味を英語に直訳したような形の表現となります。
それぞれの例文は、以下の通りです。
They’re a select few.(彼らは少数精鋭である。)
You will take a small unit of our best fighters.(あなたたちには少数精鋭でやってもらう。)
少数精鋭の使い方・例文
最後に、「少数精鋭」の使い方を例文で紹介しておきます。
- あそこの軍隊は少数精鋭主義により良い成果を上げている。
- 少数精鋭の部隊で効率的に仕事を行うことで、利益を上げる。
- もっと技術を伸ばすために、少数精鋭の企業から転職するつもりです。
- 貴社を志望する理由は、少数精鋭である点に魅力を感じたからです。
- 少数精鋭の貴社であれば、一人一人が責任をもって仕事をできると考えています。
- 弊社では新卒を採用せず、即戦力を集めた少数精鋭の部隊を目指している。
- 少数精鋭の経営により、少ない人数でも最大の利益を上げることができる。
- それぞれが責任感を持って業務を行わなければ、少数精鋭は成り立たないだろう。
「少数精鋭」はメリット、デメリットの両方を兼ね備えていますが、多くの場合良い意味として使われます。だいたいは、少人数の組織でも上手く経営を回している企業を対象とすることが多いです。
また、基本的な言い回しとしては、「少数精鋭の会社」「少数精鋭の企業」など後ろに組織を表す単語がきます。これら以外の使い方だと、「少数精鋭主義」「少数精鋭部隊」などと言ったりもします。
前者はビジネスや政治の組織に対して、後者は軍隊の組織などに対して使います。いずれにせよ、少数精鋭は、少ない人数で最大限のパフォーマンスを上げている組織に対して使うと考えて問題ありません。
その他、例文4や5のように履歴書の志望動機欄に「少数精鋭」を記すこともあります。この場合は、「少数精鋭の環境で働くことに魅力を感じている」という想いを素直に相手へ伝える際に用いればよいでしょう。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「少数精鋭」=人員を増やさず、少数のすぐれた者によって物事を行おうとする方針。
「メリット」=「責任感が強くなる」「効率的に仕事が進められる」「人間関係を作りやすい」
「デメリット」=「一人一人の仕事量が増える」「人材が流出しやすい」「人間関係を解消しにくい」
「類義語」=「一騎当千・多士済々・取捨選択」。「対義語」=「烏合の衆・有象無象」
「英語訳」=「select few」「small unit of our best fighters」
「少数精鋭」は、わずかな人数でも素晴らしい成果を上げている組織を表します。ビジネスで使われる機会が多いため、この機会にぜひ正しい使い方を覚えておきましょう。