「サブカルチャー」という言葉は、新聞やネットニュースなどでよく目にします。また、現代文の用語としても登場するようです。
ただ、意味を知らない人にとっては漫画やアニメなどの「オタクの文化」というイメージしかないと思われます。
そこで今回は、「サブカルチャーとはそもそも何なのか」といったことをなるべく簡単に解説しました。後半では、具体例や対義語、例文などにも触れています。
サブカルチャーの意味
まず、「サブカルチャー」の意味を辞書で引くと次のように書かれています。
【サブカルチャー】
⇒社会の正統的、伝統的な文化に対し、その社会に属するある特定の集団だけがもつ独特の文化。大衆文化・若者文化など。下位文化。サブカル。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「サブカルチャー」とは簡単に言うと「比較的新しく登場した独自性のある文化」のことです。
別の言い方だと、「正統的ではない文化」ということになります。「正統的」とは「教えなどを正しく受け継いでいる」という意味です。
例えば、純文学やクラシック音楽などは古くから受け継がれている文化なため正統的と言えます。
一方で、漫画やアニメ・ポピュラー音楽などは比較的新しく登場した文化です。したがって、このような文化は「サブカルチャー」と言えるのです。
つまり、昔から受け継いできた文化ではなく、後から新しく誕生した文化を「サブカルチャー」と呼ぶわけです。
「サブカルチャー」は「英語」だと「sub culture」と言います。「sub」は「下位、主流でない」、「culture」は「文化」という意味です。
これをそのまま訳すと、「下位の文化」「主流ではない文化」となります。「下位」というのは権力者から見れば「大衆」、お年寄りから見れば「若者」を指します。
そのため、「サブカルチャー」のことを「大衆文化・若者文化・下位文化」などと訳すのです。
サブカルチャーの語源・由来
「サブカルチャー」という言葉は、1950年にアメリカの社会学者であるデイヴィッド・リースマンが使ったのが最初と言われています。
彼がこの言葉を使う前までは、「サブカルチャー」という言葉は世の中に存在しませんでした。つまり、1950年以前は「サブカルチャー」という概念そのものがなかったのです。
現在では、「文化」といえば様々な種類があると思います。ところが、かつて「文化」と言われたものは、ほとんどが学問や文学などの「ハイカルチャー」でした。
「ハイカルチャー」とは「社会的な上位者である、権力者や知識人などが愛好した文化」のことです。
日本語に訳すと「上位文化」と呼ばれ、主に「学問・古典文学・クラシック音楽」などが当てはまります。
この「ハイカルチャー」は、当時の知識人など教養がある人限定に支持されていました。なぜなら、当時は文化を楽しむこと自体が一部の人達しか行っていなかったからです。
ところが、時代が進んで20世紀後半になると、大衆社会になり、大衆が実力を持つようになります。その結果、大衆でもハイカルチャーを楽しもうと、学問や文学などが流行するようになりました。
大衆が世の中にクローズアップされると、次第に知識人達も大衆文化に興味を持つようになります。そして、大衆文化にも面白さがあることに多くの人が気づくようになったのです。
これが「サブカルチャー」誕生のきっかけだと言われています。
サブカルチャーの具体例
サブカルチャーの具体例にはどのようなものがあるでしょうか?
実はサブカルチャーの種類は、海外と日本では事情が異なります。先ほども説明した通り、海外では20世紀になってからサブカルチャーが普及しました。
一方で、日本にサブカルチャーが入ってきたのは、1980年代になってからと言われています。
それまでの日本は、歌舞伎や浮世絵などの昔からあった文化が主流でした。いわゆる、「メインカルチャー」と呼ばれるものです。
しかし、1980年代になると漫画やアニメ・ゲームなどが爆発的な人気を誇るようになります。
有名な作品が、ドラゴンボールやスラムダンク、ドラえもんなどの少年漫画、ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーなどのゲームソフトです。
これらは日本を代表する「サブカルチャー」の一つだと言われています。
その他には、SFやオカルト、フィギュア・コスプレ・アイドルなどもサブカルチャーに含まれる場合があります。
コスプレなどは世界にもある文化ですが、日本アニメのコスプレイベントなどでは世界から外国人が来るほどです。
アイドルに関しても、AKB48や乃木坂46など日本だけでなく世界中にファンがいるアイドルグループが活躍しています。
これらの文化もれっきとした「サブカルチャー」と言えるのです。
共通しているのは、「比較的近年になってから登場した文化」ということです。新しい文化のため、当然若者が中心になっているケースが多いです。
そのため、「サブカルチャー」のことを「若者文化」と呼ぶ場合もあるのです。
サブカルチャーの対義語
「サブカルチャー」の対義語は、「メインカルチャー」または「ハイカルチャー」と言います。
「メインカルチャー」とは「主流の文化」という意味です。
「メイン(main)」は英語だと「主な・主流の」などの意味を表すため、「メインカルチャー」とは「多数の人が支持する主流文化」を指します。
具体的には、「文学・美術・演劇・音楽」などです。
そして、「ハイカルチャー」とは「上位文化」という意味です。
これはすでに述べたように、「社会的な上位者である権力者や知識人などが愛好する文化」を意味します。
代表的なものとしては、「古典文学・クラシック音楽」などが挙げられます。
古典文学であれば、古事記・日本書紀・万葉集などは何千年も前から存在する有名な日本の作品です。
また、クラシック音楽であれば、「ベートーヴェン」や「バッハ」「モーツァルト」などは誰もが聞いたことある曲を生み出しています。
これらの作品は、昔から権力者や知識人が好んで嗜んできました。そのため、「社会的に上位の文化」という意味で「ハイカルチャー」と呼んでいたのです。
以上の事から考えますと、「主流」でかつ「上位」な文化が「サブカルチャー」の対義語ということになります。
サブカルチャーの使い方・例文
最後に、「サブカルチャー」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。
- YouTubeの動画視聴は、世界共通のサブカルチャーとなった。
- 漫画がアニメ化されると、サブカルチャーとしての認知度がより高まる。
- サブカルチャーとは、オカルトや都市伝説など大衆的で若者に人気の文化を意味する。
- かつてサブカルチャーと言われてきたテレビは、現在ではメインカルチャーとなりつつある。
- 価値観の多様化によって、サブカルチャー的なファッションを好む人も増えてきた。
- 明治時代の日本には、サブカルチャーと呼ばれるような概念はなかった。
「サブカルチャー」を覚える上で大事なポイントは、「独自性」というキーワードです。新しい文化として登場するには、独自性(オリジナル性)がないと世の中には受け入れられません。
当然ながら、過去の文化を真似した模倣品では誰からも見向きがされないでしょう。「サブカルチャー」はただ単に新しいだけでなく、そこに独自性がないと成立しない文化なのです。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「サブカルチャー」=比較的新しく登場した独自性のある文化。大衆文化・若者文化・下位文化。
「語源・由来」=英語の「sub culture(下位の文化)」を訳したもの。20世紀後半に大衆社会になってから。
「具体例」=「漫画・アニメ・ゲーム・SF・オカルト・フィギュア・コスプレ・アイドル」など。
「対義語」=「メインカルチャー」または「ハイカルチャー」
「サブカルチャー」と聞くと、オタクの文化というイメージかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。今までの主流から外れて、独自性があればそれはサブカルチャーと言えます。ぜひこの記事をきっかけに、サブカルチャーの正しい意味を理解して頂ければと思います。