教科書 世界をつくり替えるために 要旨 200字要約 感想 テスト問題 ノート

『世界をつくり替えるために』は、高校現代文の教科書に出てくる評論文です。「学ぶことの意味」をテーマとした作品で、定期テストの問題や感想文として出題されています。

ただ、実際に本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。そこで今回は、『世界をつくり替えるために』のあらすじや語句の意味、テスト対策などを解説しました。

『世界をつくり替えるために』のあらすじ

 

本文は、行空きによって4つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①自分と世界の関係がぴったりと感じられない宿命的なズレを感じ、自分がこの世界にいることがとても不思議で奇妙なことに思えてくることがある。しかし、この感覚こそ学ぶことの根拠に触れているあかしであり、あらゆる未来の「種」を生み出す起点にほかならない。

②人間は言葉を用い、世界と自分をはっきりと分けて認識している。このことが、人間が世界と自分との間にズレを感じる理由である。重要なのは、このズレがあるからこそ、人間は自足することができず、自分が生きる世界を絶えずつくり替えていかなければならないということだ。人間は、自由に世界を学び、世界を自分に合うようにつくり替える努力を積み重ねてきた。それが歴史ということだ。しかし現代において、人間が行っている世界のつくり替えは、あまりにも高度で複雑だ。学ぶことは二段階あり、自然を学ぶことが第一段階だとすれば、自然を学んだ人間がつくりだしたものを学ぶことが第二段階だ。この第二段階のために特に必要とされているのが学校である。

③何かを本当に学ぶためには、好き嫌いの感覚を停止して、どうして好きなのか、どうして嫌いなのかを正視しなければならない。好きだから、嫌いだからで終わってはいけない。また、学ぶためには、全体を見ることと同時に一点を見なければならない。皆さんに課されているのは、正解を知ることではなく、頭の働かせ方を学ぶことだ。それにより、自分自身を変え、自分の世界を自分でつくり直していくことである。

④世界の中で生きていることに対する違和感、世界と自分の間に感じられる越えがたいズレの中に全ての「種」が詰まっている。学校の勉強は無味乾燥に感じるかもしれないが、その中にも「種」はある。心の中に「種」を宿しておくことがとても大切なのである。

『世界をつくり替えるために』の要約&本文解説

 

200字要約自分と世界の関係にズレを感じ、一人で生きているという孤独を感じるからこそ、人間は世界を学び、世界を自分に合うようにつくり替える努力をしてきた。現代において、人間は自然を学ぶことと自然を学んだ人間がつくりだしたものを学ぶという二段階の学びが宿命づけられ、この第二段階のために学校が必要である。学ぶためには、好き嫌いの感覚をさしあたり停止して考えること、全体を見ながら同時に一点を見ることが重要である。(199文字)

筆者は、普段の学校生活の中で、誰もが感じるような「ズレ」の感覚や、自分がこの世界に一人で生きているという孤独感こそが、実は学ぶことの根拠だと述べています。

私たちが学ぶことには二段階あり、「自然を学ぶこと」が第一段階、「自然を学んだ人間が作り出したものを学ぶこと」が第二段階で、後者のために必要とされているのが学校ということになります。

ただ、学ぶというのは正解を知ることではなく、頭の働かせ方を学ぶことだと述べています。つまり、何かすでにわかっていることを「覚える」のではなく、自分の世界を自分の力でつくり替えることが大切ということです。

『世界をつくり替えるために』の語句・漢字ノート

 

【路傍(ろぼう)】⇒道ばた。

【妨げる(さまたげる)】⇒じゃまをする。妨害する。

【身(み)にまとう】⇒身に付ける、服を着る。

【宿命的(しゅくめいてき)】⇒元からそう決まっていて、変えることができないように思われるさま。

【奇妙(きみょう)】⇒珍しいこと。説明できないような不思議なこと。

【あかし】⇒証明。証拠。

【起点(きてん)】⇒物事の始まるところ。出発点。

【対象(たいしょう)】⇒認識や行為の向かう相手。

【自足(じそく)】⇒自分の置かれた状況に満足すること。

【越えがたい(こえがたい)】⇒越えることが難しい。

【体系(たいけい)】⇒さまざまな要素が関係を持ち、まとまって構成された知識の全体。

【暦(こよみ)】⇒時間の流れを年・月・週・日といった単位に当てはめて数えるように体系付けたもの。

【巡る(めぐる)】⇒まわって再びもとに返る。

【ブロックする】⇒妨げる。妨害する。

【独りよがり(ひとりよがり)】⇒人の意見を聞かないで、自分一人でよいと思い込んでいること。

【さしあたり】⇒先のことはともかく、今のところ。今しばらくの間。当面。

【正視(せいし)】⇒まともに見ること。正面からまっすぐに見ること。

【矛盾(むじゅん)】⇒つじつまの合わないこと。

【距離を置く(きょりをおく)】⇒離れる。

【術(すべ)】⇒方法。やりかた。

【公理(こうり)】⇒一般に通用する道理。

【コンテクスト】⇒物事の筋道や背景。状況。

【特異点(とくいてん)】⇒他と比べて特に異なる点。

【課(か)されている】⇒責任などを負わされている。

【無味乾燥 (むみかんそう)】⇒なんの面白みも味わいもないさま。

【仕掛け(しかけ)】⇒目的のために巧みに工夫されたもの。装置。

『世界をつくり替えるために』のテスト問題対策

 

問題1

次の下線部の仮名を漢字に書き換えなさい。

チコクしないようにする。

ロボウに立つ石像。

セイフクを身にまとう。

④つらいシュクメイを負う。

⑤自分のクセを理解する。

⑥話をテンカイする。

ムミカンソウな内容。

解答①遅刻 ②路傍 ③制服 ④宿命 ⑤癖 ⑥展開 ⑦無味乾燥
問題2「鳥は、本当に自由なのだろうか。私はそうではないと思う。」とあるが、筆者がこのように思う理由を答えなさい。
解答例人間と違い言葉を持たない鳥は、世界を対象化することがないために、世界の中に閉じ込められているから。
問題3「こうした思考は、数学でも国語でも、研究でもビジネスの現場でも変わらない。」とあるが、「こうした思考」とはどういう思考のことか?
解答例全体を見ながら、さまざまな要素がどういう関係にあり、どう全体をかたちづくっているのかを見ようとする思考。
問題4『その中に全ての「種」が詰まっている。』とあるが、ここでの「種」は何を指すか?
解答例自分の中にある違和感やズレ、そこにはらまれた可能性。
問題5

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)自分と世界との宿命的なズレの感覚と、自分がこの世界に一人で生きているという孤独な感覚こそが、学ぶことの根拠に触れているあかしであり、あらゆる未来の「種」を生み出す起点にほかならない。

(イ)人間は言葉を用い、世界と自分をはっきりと分けて認識しており、このことが人間、特に若者が世界と自分との間にズレを感じる理由である。

(ウ)現代において人間が行っている世界のつくり替えはあまりにも高雅で複雑であり、自然を学ぶこととと自然を学んだ人間がつくりだしたものを学ぶことの二段階になっている。

(エ)何かを学ぶためのポイントは、「好き」という感覚を大事にしつつ、「好き嫌い」の感覚をさしあたり停止し、一点だけを見るのではなく全体を見ることである。

解答(エ)学ぶためのポイントは、全体を見ること。それと同時にどこか一点を見なければならない。と本文中にある。

まとめ

 

以上、今回は『世界をつくり替えるために』について解説しました。ぜひ学習の参考として頂ければと思います。