慮る 意味 読み方 使い方 例文 類義語

「慮る」という動詞は、「相手を慮る」「他者を慮る」などのように用います。

一見すると古文や漢文の単語かと勘違いする人もいるかもしれませんが、実はちゃんとした標準語でもあります。

今回はこの「慮る」の意味や読み、使い方、例文などを分かりやすく解説しました。

慮るの読み方

 

まずは、読み方からです。「慮る」は「おもんぱかる」もしくは「おもんばかる」と読みます。

一般的には、前者の「おもんかる」と読むことの方が多いです。ただし、「おもんばかる」と読んでも決して間違いではありません。

元々、「慮る」は「おもいはかる」という言葉でした。

それが「おもはかる」に変わり、「は」が濁音化し、「おもんかる」になり、最終的に「おもんかる」になったのです。

その証拠に、多くの辞書では「おもんぱかる」を先頭に書き、「おもんばかるとも読む」と記述しています。

したがって、どちらで読んでも間違いではないのです。

なお、「おもんぱかる」の方がよく読まれる理由は、発音のしやすさだと言われています。「ん」の前後は、濁音よりも半濁音の方が聞き取りやすいです。

【例】

  • 日本(にっぽん)
  • 発奮(はっぷん)
  • 根本(こんぽん)
  • 音符(おんぷ)
  • 散布(さんぷ)

仮に上記の言い方を濁音で発音すると、若干ですが聞き取りにくく感じるでしょう。

そのため、濁音の「おもんばかる」ではなく、半濁音の「おもんぱかる」の方が好まれて使われているのです。

慮るの意味

 

次に、「慮る」の意味です。

【慮る(おもんぱかる)】

あれこれ思いめぐらす。考慮する。

【「おもいはかる」の転。「おもんばかる」とも】

出典:三省堂 大辞林

慮る」とは「あれこれ思いめぐらす・考慮する」という意味です。

「考慮(こうりょ)」には「よく考える」という意味があります。つまり、よく考えたり思ったりすることを「慮る」と言うわけです。

「慮る」は、一般に「(相手のことをよく考える」という意味で使うことが多いです。例えば、以下のような使い方です。

彼女のことを慮り、彼は荷物を持ってあげた。

この場合、彼の頭の中に

  • 「彼女は体調が悪いのだろうか?」
  • 「どこが具合が悪い所があるのだろうか?」
  • 「何かできることはないだろうか?」

などとあれこれと思う気持ちがあります。その結果、彼女に気をつかって荷物を持ってあげたということです。

このように、「慮る」という言葉は、何かを行動する前に頭の中であれこれと考えます。そして、あれこれと考えた結果、相手に気をつかう行動をとるのです。

慮ると忖度の違い

 

「慮る」と似た言葉で「忖度(そんたく)」があります。

忖度」とは「他人の心を推し量ること・推し量って相手に配慮すること」などの意味です。

「忖度」は「特定の人物を対象に取る言葉」です。例えば、友人Aなら友人A、上司Bなら上司Bといった特定の人物の気持ちを推し量ります。

一方で、「慮る」は周囲の状況・人物が対象となります。つまり、「慮る」の方が周りの状況なども含めた広い対象に使われるということです。

元々、「忖度」という言葉はあまり使われていませんでしたが、2017年の流行語大賞になったことで一躍有名な言葉となりました。

当時は政治のとある事件の中で使われていたため、悪いイメージを持つ人もいました。しかし、忖度の元々の意味としては、特に悪い意味は含まれていません。

慮るの類義語

慮る 類義語 言い換え 対義語

続いて、「慮る」の類義語を紹介します。

考慮する】⇒物事を様々な要素を含めて、よく考えること。
配慮する】⇒相手に対して心を配ること。相手に気を配ること。
推し量る】⇒類似の事実を集めて、見当をつけること。
心中を察する】⇒人の気持ちや心理を推察して、同情すること。
心情をくむ】⇒相手の心理や気持ちをくみ取るように感じること。

「慮る」の類義語としてはいくつかありますが、この中では「考慮する」が一番意味として近いでしょう。

冒頭でも説明したように、「慮る」≒「考慮」なのでこの2つは「同義語」と考えても問題ありません。

補足すると、「配慮」は相手主体の言葉ですので、「慮る」よりも自分自身があれこれと考える要素が少ない言葉だと言えます。

また、「推し量る」は何か特定の基準を元に考える時に使い、「慮る」よりも相手の心情に特化していない表現です。

そのため、どちらかと言うと「推測する」「評価する」といったニュアンスの方が強い言葉です。

「心中を察する」と「心情をくむ」は、「心」という字が入っているように相手の心に視点を向けた言葉です。

「慮る」よりもさらに相手の心のことを考え、同情するような時に使います。

その他には、簡易的な表現だと「気をつかう」「気配りする」「心を配る」「思いやる」なども広い意味では類義語と言えるでしょう。

慮るの対義語

 

逆に、「慮る」の「対義語」としては以下のような言葉が挙げられます。

  • 考慮しない
  • 配慮しない
  • 配慮に欠く
  • 無神経な
  • 無遠慮な
  • 空気の読めない
  • デリカシーのない
  • お構いなしに

「反対語」のイメージとしては「相手のことを考えない・人の気持ちを考えない」といったものとなります。そこから派生して、「空気の読めない様子」などを表した言葉も対義語に含まれます。

慮るの英語訳

 

「慮る」は、英語だと次のような言い方があります。

  1. consider」(よく考える・考慮する)
  2. be thoughtful」(思いやりがある)
  3. to worry about」(気遣う・心配する)
  4. take into account(考慮する)」

1.の「consider」は「よく考える・熟考する」という意味です。何かを決定する前によく考えたり、様々な角度から考えたりする時に使います。

2.の「thoughtful」は「思いやりがある」という訳で、「考え込んだ・思いにふけった」という意味で使うことも可能です。

3.の「worry」は「考える」というよりは、「心配する」というニュアンスが強い言葉です。相手の体調などを心配する時に使えますし、自分自身を心配するような時も使えます。

4.の「take into account」は、直訳すると「計算に入れる」という意味の熟語です。

「take」は「取る」、「into」は「~の中に」、「account」は「計算・勘定」という訳なので、上記のような意味となります。

「consider」と「take into account」はどちらも「考慮する」という意味がありますが、前者は「人が主語になる」、後者は「人・物事が主語になる」という違いがあります。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

You should consider the feelings of others.(あなたはもっと他人の感情を考慮すべきだ。)

It is important for you to be thoughtful of others.(他人を思いやる気持ちが大事である。)

He is worry about a medical problem.(彼は体調不良を心配している。)

The company must take into account customer needs.(会社は顧客のニーズを考慮しなければならない。)

慮るの使い方・例文

 

最後に、「慮る」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。

  1. 彼女は他人の心情を慮ることができる心優しい人物である。
  2. 相手を慮る余地がないほど、追い詰められている状況だった。
  3. 上司という立場を慮り、彼はあえて悪い点を指摘しなかった。
  4. 優秀な営業マンはお客の気持ちを慮って発言していくものだ。
  5. 女性陣の気持ちを慮り、年齢や過去のことについては質問しなかった。
  6. 人と接するサービス業では、顧客を慮ることが何より重要である。

 

「慮る」は、日常会話・ビジネスシーンなど様々な場面で使うことができる言葉です。

日常会話では相手の気持ちをよく考えて、「気遣いをする・心遣いをする」といった意味でよく使われます。

また、ビジネスの場合は顧客の心理をよく考えて、「どうしたら満足してもらえるか?」といったことをあれこれと頭の中で考えるような時に使います。

もしくは、会社の上司などに使う場合は、「上司の立場を考慮する」とった意味で使われることもあります。

いずれも共通しているのは、「相手の気持ちや感情などをよく考える」ということです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

慮る(おもんぱかる)」=あれこれ思いめぐらす・考慮する。

【使い方】⇒「(相手のことを)よく考える」という意味で使う。

類義語」=「考慮する・ 配慮する・推し量る・心中を察する」など。

英語訳」=「consider」「be thoughtful」「to worry about」「take into account」

「慮る」という言葉は普段からよく使われています。意味を覚えたからには、ぜひ普段の文章で使ってみてはどうでしょうか?