岡目八目 意味 語源 由来 使い方 類義語 英語

「岡目八目」という四字熟語をご存知でしょうか?別の漢字だと「傍目八目」とも書かれ、最近ではビジネスで使われることも多くなりました。

ただ、具体的な使い方や成り立ちなどが分かりにくい言葉でもあります。そこで本記事では、「岡目八目」の意味や語源、読み方、対義語などを含めなるべく簡単に解説しました。

岡目八目の意味・読み方

 

最初に、「岡目八目」を辞書で引いてみます。

おかめはちもく【傍目八目・岡目八目】

《他人の囲碁をそばで見ていると、対局者よりも冷静に手が読める意から》⇒第三者のほうが、物事の是非得失を当事者以上に判断できるということ。

出典:精選版 日本国語大辞典

岡目八目」は、辞書だと「傍目八目」とも表記されています。どちらも「おかめはちもく」と読み、意味自体も全く同じです。

したがって、両者に違いはないと考えて問題ありません。本記事では、便宜上「岡目八目」で統一して表記することとします。

岡目八目」とは「第三者の方が当事者よりも物事をうまく判断できること」を表した四字熟語です。

分かりやすい例を出しますと、例えば「スポーツの試合」が挙げられます。

スポーツの試合は、当事者であるプレイヤーよりも第三者である傍観者の方がうまく判断できるということがよくあります。特にサッカーのように、視聴者が上空のカメラから俯瞰して見れるようなスポーツはなおさらそうです。

「パスをもっと早く出すべきであった」「ディフェンスの位置がまずかった」などの指摘は当のプレイヤーよりもよく状況を理解しています。

つまり、第三者という立ち位置だからこそ、物事の情勢をうまく正確に判断できることが世の中にはあるのです。このことを、「岡目八目」と呼んでいるわけです。

岡目八目の語源・由来

 

「岡目八目」は「囲碁(いご)」が由来となっている四字熟語です。「囲碁」とはボードゲームの一種で、二人で交互に盤上に石を置いていき、自分の石で囲んだ領域の広さを競うものです。

まず「岡目」とは、「脇から見ること」を表します。

「岡」という漢字は「部外者・傍ら」などの意味があります。第三者が横恋慕する事を岡惚れと言いますし、吉原のような公娼街とは違う根津などの私娼街を岡場所と言います。

「岡目」もこれと同様で、「囲碁の対局者同士を、すぐそばの脇で見ること」を表すのです。

そして、「八目」とは「八手先の目」という意味です。

「八目」の「目」は囲碁の「基盤の目」や「碁石」を数える時に使う言葉なので、「八手(八回攻撃する分)」という意味になります。

囲碁の対局者同士は勝負の行方に必死になり、周りが見えなくなることがよくあります。一方で、そばで見ている人は勝敗にこだわらず全体を見る余裕があるので、八手先の手まで読むことができるとも言われています。

このことから、「岡目八目」は「傍観者の方が物事を客観的に判断できる」という意味になったわけです。

なお、「岡目八目」は中国の故事に由来するような四字熟語ではありません。

岡目八目の類義語

岡目八目 類義語 言い換え 対義語 同義語

続いて、「岡目八目」の「類義語」をご紹介します。

他人の正目(たにんのまさめ)】⇒利害関係のない他人の見方は公平で正しいこと。「正目」とは縦にまっすぐ筋の通った木目を表す。
自分のまつ毛は見えない】⇒自分自身のことは気付きにくいという例え。目は何でも見ることができるが、自分のまつげは見ることができないため。
灯台下暗し(とうだいもとくらし)】⇒身近な事情はかえって分かりにくいこと。灯台は周りを明るく照らすが、すぐ下は暗くてよく見えないため。
遠きを知りて近くを知らず(とおきをしりてちかくをしらず)】⇒他人のことはよく分かるが、自分や身近なことは分からないこと。

「岡目八目」を言い換えた語はいくつかありますが、全く同じ意味の語(同義語)というのはありません。この中だと「他人の正目」が、意味としては最も近いと言えます。

他の類語はどれも「身近なことは気付きにくい」という意味で、「第三者の方が分かる」というニュアンスまでは含まれません。

その他、類義語ではないですが、「漁夫の利」ということわざもあります。「漁夫の利」とは「両者が争っているすきに、第三者が楽に利益を横取りすること」を表した言葉です。

「第三者の方が上手く判断できる」という点では共通していますが、利益を独り占めしたりするという意味が含まれている点が「岡目八目」と異なります。

岡目八目の対義語

 

「岡目八目」の「対義語」は以下の通りです。

木を見て森を見ず(きをみてもりをみず)】⇒小さいことに心を奪われて、全体を見通さないこと。
井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)】⇒自分の狭い知識や考えにとらわれて、他の広い世界のあることを知らないで得々としていること。

「岡目八目」は「物事を客観視できる」という意味を持つ四字熟語でした。したがって、反対語の場合は「物事を客観視できないこと」を表すものとなります。

前者は「細かい部分の木に注目し、全体の森を見ない様子」からできたものです。後者は、「井戸の中にいるカエルが外の世界を知らないこと」からできたものです。

岡目八目の英語訳

 

「岡目八目」は、英語だと次のような言い方があります。

Lookers-on see most of the game.(見物人の方が試合全体をよく見ている。)

The outsider sees most of the game.(外部の人は状況のほどんどをよく見ている)

The third party has an objective opinion.(第三者は客観的な意見を持っている。)

Onlookers see more than the players.(見物人は競技者よりも多くを見ている。)

「岡目八目」は「囲碁」が由来の言葉でしたが、英語の場合は「game」という単語を使うのが一般的です。

「game」は英語だと「試合・勝負」などの意味があります。そのため、物事の状況を判断する際の様子を「勝負事」に例えて表現することが多いです。

岡目八目の使い方・例文

 

最後に、「岡目八目」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 自分のことは意外と分からないものだね。岡目八目とはよく言ったものだよ。
  2. 岡目八目と言うように、無関係な人の意見が参考になるということは多々ある。
  3. 学校の人間関係で悩む私に、岡目八目の立場である母が的確なアドバイスをくれた。
  4. 彼女の岡目八目の指摘により、ようやく自分の判断が間違っていることを理解できた。
  5. 時には岡目八目な発想で第三者の意見を聞き、自分自身を見つめ直すことも必要である。
  6. 同じ部署の人よりも他部署の人の意見の方が核心をついているね。まさに岡目八目だよ。
  7. 文章は自分だけで読み返すのではなく、岡目八目で誰かに添削してもらう方がいい。

 

「岡目八目」は、基本的に良い意味で使われる四字熟語です。多くの場合、周りが見えなくなっている人を客観的な判断によって上手く導くような時に使います。

また、他人ではなく自分自身に対して使うこともあります。この場合は、自分自身を見つめ直して第三者のような冷静な判断をするという意味での用例です。

いずれにせよ、「岡目八目」には物事を客観視することが求められます。起こった問題に対して真っ向からぶつかり合うのではなく、一歩も二歩も離れた距離から冷静に対処するのがこの四字熟語の意味となります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

岡目八目」=第三者の方が当事者よりも物事をうまく判断できること

語源・由来」=「岡目」は「脇から見ること」「八目」は「八手先の目」。囲碁で対局者よりも脇で見ている人の方が冷静に先の手を読めることから。

類義語」=「他人の正目・自分のまつ毛は見えない・灯台下暗し・遠きを知りて近くを知らず」

対義語」=「木を見て森を見ず・井の中の蛙大海を知らず」

英語訳」=「Lookers-on see most of the game.」「The outsider sees most of the game.」等。

物事は自分に関係が深いものほど、冷静な判断を下すのは難しいものです。「岡目八目」という言葉を覚えておけば、今後の人生で正しい判断の手助けになるのではないでしょうか?