公務員や政治家などに使う言葉があります。
一般的には、
「綱紀粛正を図る」「綱紀粛正に努める」
のように言いますね。
新聞やニュースなどでもよく見る四字熟語。
民間の組織に対しても使っていいのか気になる所です。
今回は、この「綱紀粛正」について
分かりやすく簡単に解説しました。
さっそく、確認していきましょう。
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綱紀粛正の意味・読み方
まずは、基本的な意味と読みです。
【綱紀粛正(こうきしゅくせい)】
⇒国の法律や規則を引き締めて、不正を厳しく取り締まること。転じて、一般に規則を厳しく適用して不正行為をなくすこと。
出典:学研 四字辞典熟語
「綱紀粛正」は、「こうきしゅくせい」と読みます。
意味を簡単に説明すると、
「規則を厳しくして、不正行為をなくすこと」
だと思ってください。
例えば、以下のように使います。
わが党から脱税の不祥事が出た。今後は綱紀粛正を図るつもりです。
この場合はつまり、
「議員の脱税を厳密に処分して、内部を引き締める」
ということですね。
政治の世界では、脱税に限らず、
「わいろ」や「裏金」などお金の問題を
特に厳しく取り締まる必要があります。
そんな時に、
「不正行為をなくす」という意味で
「綱紀粛正」を使うわけです。
綱紀粛正の語源
次に、「綱紀粛正」の語源を確認しておきましょう。
まず「綱紀」の「綱」は
「大綱」「綱要」などの言葉があるように
「大きい綱(つな)」という意味があります。
対して、「紀」は「細い綱(つな)」という意味です。
「紀」という字は「糸」と「己」の2つの字からできており、
「糸を巻いておさめる」という意味があります。
なので、この場合の「紀」は「細い綱」を表しているのです。
ここから両者を合わせると、
「綱紀」=「国家の基となる大きな法」+「細かな規則」
という意味になります。
また、「粛正」の「粛」は
「自粛」などの言葉があるように「厳しくする」という意味があります。
そして「正」は文字通り
「正す・不正をなくす」という意味です。
よって、
「粛正」の方は「不正などを厳しく正す」
という意味になります。
整理すると、「綱紀粛正」とは
「国家の法や規則を厳しくし、(政治家・役人の)不正を正す」
という意味になるわけですね。
転じて、
現在では組織や団体などに対して幅広く使われているのです。
世の中にはルールが必ずあります。
しかし、歴史を振り返ってみれば分かるように、
政治の世界ではルールを破る不正がたびたび行われてきました。
そのルール違反をしっかりと正すという意味もあり、
「綱紀粛正」という言葉が生まれたわけです。
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綱紀粛正の類語
続いて、「綱紀粛正」の
「類語」を紹介します。
【秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)】
⇒刑罰・権威などが厳しいこと。
「秋霜」は「秋の冷たい霜」
「烈日」は「夏の暑い日差し」を指すことから。
【是々非々(ぜぜひひ)】
⇒立場にとらわれず、公正に善悪を判断すること。
【襟を正す(えりをただす)】
⇒気持ちを引き締めて、物事に当たること。
【姿勢を直す(しせいをなおす)】
⇒心構えを改めて、物事に接すること。
【威儀を正す(いぎをただす)】
⇒身なりを整えて、重々しい態度をとること。
以上、5つの類語を紹介しました。
意味としては、
「正す・改める・厳しくする」
などが共通していると言えるでしょう。
ここで注意すべきは、
似た言葉の「粛清」と間違えないことですね。
「粛清(しゅくせい)」とは、
「不正・不純なものを取り除くこと」という意味です。
主に独裁政党が反対派を追放する時に使われる言葉です。
読み方も全く同じなので、混同しないようにしましょう。
ちなみに、「対義語」は
「綱紀廃弛(こうきはいし)」と言います。
「綱紀廃弛」とは、
「国の法律や規律が守られないこと」を表した四字熟語です。
綱紀粛正の英語訳
続いて、英語訳を見ていきましょう。
「綱紀粛正」は英語だと次の2つの言い方があります。
①「official discipline enforcement」
②「official discipline」
それぞれの単語は、
「official」=「公の・官の」
「discipline」=「鍛錬・訓練・しつけ」
「enforcement」=「強制・執行」
という意味です。
直訳すると、①は「公の訓練執行」、
②は「公のしつけ」と訳せますね。
イメージとしては、
「国家などの公の組織が規律を正す」
と考えると分かりやすいかと思います。
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綱紀粛正の使い方・例文
では、最後に「綱紀粛正」の使い方を
例文で確認しておきましょう。
- 綱紀粛正のため、大臣の交代が発表された。
- 校則や禁止事項を見直して、綱紀粛正に努めることにした。
- かつての軍隊では、綱紀粛正が徹底されていた。
- 役人の綱紀粛正を図ったが、思ったほど効果はなかったようだ。
- 会社の評判が悪いため、社内の綱紀粛正を徹底する。
- 綱紀粛正の確保により、内閣支持率がアップした。
- 市町村の職員及び利害関係者に綱紀粛正の通知が来た。
すでに説明した通り、
「綱紀」は元々は「国家の法律」からできた言葉でした。
したがって、基本的な使い方としては、
政治家や役人などが属する公の組織に対して使うと考えてください。
もちろん、民間の会社などにも
使えないわけではありません。
上の例文だと、5のように使うケースもあります。
民間の場合も規則を守ることは必要ですからね。
ただし、一般的には民間の組織については、
「規則遵守」「規律維持」などの方を使うことが多いです。
このこともできれば覚えておきましょう。
まとめ
以上、内容を簡単にまとめると、
「綱紀粛正」=規則を厳しくして、不正行為をなくすこと。
「語源」=国家の法や規則を厳しくし、不正を正すことから。
「類語」=「秋霜烈日・是々非々・襟を正す・姿勢を直す・威儀を正す」など。
「英語」=「official discipline enforcement」「official discipline」
ということでした。
語源なども解説したので、
理解が深まったのではないでしょうか?
今後、ニュースなどで
「綱紀粛正」が出てきてももう大丈夫ですね。
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国語力アップ.com管理人
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