薬や栄養成分などの効き目のことを、「効果」もしくは「効能」と言います。どちらの言葉も普段からよく目にするものです。
ただ、具体的にどのように使い分ければいいのかという疑問があります。そこで今回は「効果」と「効能」の違いを詳しく解説しました。
効果の意味
まずは、「効果」の意味からです。
【効果(こうか)】
①ある働きかけによって現れる、望ましい結果。ききめ。しるし。
②演劇・映画などで、その場面に情趣を加える技術および方法。雨音・風音・煙・雪など。エフェクト。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「効果」とは「ある働きによって現れる望ましい結果」のことを表します。例えば、以下のように使います。
- 胃薬の効果が現れる。
- 練習の効果が出た。
- CMによる宣伝効果。
「効果」を覚える上で大事なのは、「結果に対して使う」という点です。
上の例文だと、「胃薬」は「胃の痛みが治まった」、「練習」は「本番でうまくいった」、「宣伝」は「売上が伸びた」といった結果です。
このように、ある働きによって現れる良い結果のことを「効果」と言うわけです。
効能の意味
続いて、「効能」の意味です。
【効能(こうのう)】
⇒よい結果をもたらすはたらき。ききめ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「効能」とは「良い結果をもたらす働き」のことを意味します。例えば、以下のように使います。
- 効能がある温泉。
- 緑茶の効能は多い。
- りんごに含まれる効能。
「効能」の場合は「結果」ではなく「働き」や「作用」に対して使うのが特徴です。
上の例文だと、「温泉」は「冷え性の改善や水虫の予防」、「緑茶」は「抗酸化作用やコレステロールの低下」、「りんご」は「疲労回復・便秘対策・むくみ改善」といった働きです。
このように、ある物事が持つ働きや作用を説明した内容を「効能」と呼ぶわけです。「効能」の場合は、基本的に「医療・健康」に対してのみ使われることになります。
効果と効能の違い
ここまでの内容を整理すると、
「効果」=ある働きによって現れる良い結果。
「効能」=ある物事が持つ働きや作用を説明した内容。
ということでした。
両者の違いは、二つの点から比較したいと思います。
一つ目は、「結果と働きのどちらに使うか」です。
「効果」は「結果」に使うのに対し、「効能」は「働き」に使います。
胃薬を例にすると、「効果がある」と言った場合、「胃痛や胃もたれの解消」という「結果」をもたらすという意味です。対して、「効能がある」と言った場合、「胃酸の分泌を抑える」などの薬の「働き」があるという意味になります。
つまり、両者の関係性は「効能によって効果が出る」と結論付けることもできます。ここで大事なのは、効能によって必ずしも効果が出るわけではないということです。
例えば、「温泉の効能」と言っても、この温泉に入ると必ず健康になるという意味ではありません。あくまで「効能」は結果へ導くためのプロセスなので、「効能はあったけども効果はなかった」ということも当然あります。
二つ目は、「意味の範囲」です。
「効果」は医療や健康などはもちろんのこと、映画や宣伝など様々な対象に使うことができます。一方で、「効能」の方は「医療・健康」の分野でしか使いません。
要するに、「効果」の方が大きな意味を持った言葉なのです。逆に言えば、「効能」は小さい意味を持った限定的な言葉ということになります。
補足すると、両者の違いは漢字にも表れています。
「効果」の「果」は、「結果」「成果」「因果」などと同じ漢字です。転じて、「物事の終わり・最終地点」などの意味を含んでいます。
対して、「効能」の「能」は「能力」「機能」「性能」などと同じ漢字です。つまり、「効果」の方は「物事の能力・性能」などの意味を含んでいることになります。
このように漢字の違いも把握しておけば、両者の使い分けがより分かりやすくなるでしょう。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。
【効果の使い方】
- 効果が出るまではある程度時間がかかるだろう。
- 下痢止めの薬を飲んだらすぐに効果が出た。
- 彼へアドバイスをしてみたが、逆効果だった。
- この映画は映像に特殊効果を多く使っている。
- 殺虫剤を振りまいたが、効果がなかったようだ。
【効能の使い方】
- 薬の効能には個人差があり、必ずよくなるわけではない。
- 温泉の効能としては、皮膚病・関節炎などが含まれる。
- ビタミンCのサプリメントについて効能を詳しく調べる。
- ブロッコリーには、がんを抑制する効能があるらしい。
- 玄米には、健康に良い様々な効能が含まれている。
なお、両者は「英語」だと次のように言います。
「効果」⇒「effect」「効能」⇒「efficacy」
「effect」は他に「結果・影響・効力」、「efficacy」には「効き目・有効性」などの意味があります。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「効果」=ある働きによって現れる望ましい結果。
「効能」=良い結果をもたらす働き。
「使い分け」⇒「効果」は「結果」に対して使い、「効能」は「働き」に対して使う。
「効果」は幅広い分野で使いますが、「効能」は「医療・健康」の分野でしか使いません。基本的には、「効能という働きによって効果が出る」と覚えておけばよいでしょう。