今回は「公募」と「募集」
の違いを解説していきます。
「何かを集める」という意味で2つの言い方がありますね。
「作品を公募する」
「アルバイトを募集する」
この2つの違いは、一体どこにあるのでしょうか?
さっそく、確認していきましょう。
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公募の意味
まずは、「公募」の意味からです。
【公募(こうぼ)】
①広く一般から募集すること。
②広く不特定多数の投資家を対象に、新株または公社債を募集すること。⇔私募。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「公募」とは、
「広く一般から人やモノを集めること」を言います。
例えば、以下のような使い方です。
- 公募推選で大学に合格する。
- 公募川柳に作品が採用される。
「公募」は、特定の条件を公表し、
その条件に該当する対象を集めます。
上の例だと、
「公募推選」⇒学校の成績・課外活動・人柄などの受験資格。
「公募川柳」⇒お題やテーマに沿った川柳。
といったことです。
逆に言えば、
「条件に合致しない対象は、公募されない」と考えてください。
また、「株式」や「社債」などの
金融商品に使えるのも大きな特徴です。
最も有名なのが、
「公募増資(こうぼぞうし)」ですね。
「公募増資」とは、
「50名以上の投資家に、新株を売り出すこと」を意味します。
主に、会社が資金調達する目的で行われるものです。
募集の意味
続いて、「募集」の意味です。
【募集(ぼしゅう)】
⇒広く呼びかけて必要な人や物を集めること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「募集」とは、
「必要な人やモノを広く集めること」を言います。
例えば、以下のような使い方です。
- アルバイトを募集する。
- ボランティアを募集する。
「募集」は、特に条件をつけずに広く一般から集めます。
上の例だと、
「アルバイト」⇒年齢不詳・学歴不問。
「ボランティア」⇒やる気さえあればOK。
といったことです。
また、「募集」の方は「公募」よりも改まった場面では使われません。
もちろん、「募集」も改まった場面で使えますが、
どちらかと言うと一般的な場面で使われることが多いです。
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公募と募集の違い
ここまでの内容を整理すると、
「公募」=広く一般から人やモノを集めること。
「募集」=必要な人やモノを広く集めること。
ということでした。
比較しても分かる通り、
両者の意味自体に違いはほとんどありません。
ただし、
「実際の使われ方」が若干異なります。
大まかに2つに分けて解説すると、
1つ目は「条件がつくかどうか」です。
「公募」は条件が指定されます。
したがって、「公募」の方は
条件に該当する範囲内で広く集める場合に使うのです。
一方で、「募集」は条件がつきません。
「募集」の方は
無条件で広く集めるような場合に使うのです。
2つ目は、
「使う場面の違い」です。
「公募」の方は、前に「公」がつくように、
公式な場・正式な場で使うことが多いです。
具体的には、
- 川柳・短歌などの「文学作品」
- デザインや絵画などの「芸術作品」
- 株式や社債などの「金融商品」
などを集める場面です。
逆に、「募集」の方は「公募」よりも
私的な場面で使うことが多いです。
極端な話、
「彼女を募集中です」などの使い方もします。
「公募」の方はこのような使い方はしないわけですね。
まとめると、
「公募」=条件を指定する。公式・正式な場が多い。
「募集」=条件を指定しない。「公募」よりも私的。
となります。
ちなみに、
「公募増資」とは言いますが、
「募集増資」とは言いません。
「公募増資」という言葉は、
一種の専門用語と考えるのがよいでしょう。
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応募の意味
似たような言葉で、「応募」があります。
「応募」の意味も確認しておきましょう。
【応募(おうぼ)】
⇒募集に応じること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「応募」とは、
「募集に応じること」を言います。
「応じる」=「相手の働きかけに対して、行動を起こす」という意味です。
つまり、募集をする人(相手側)に対して申し込むことを
「応募」と言うわけですね。
使い方としては、以下の通りです。
ネットの転職サイトで、応募する。
この場合は、
「会社側の募集に対して、ネットで申し込みをする」ということです。
それぞれの違いを整理すると、
「公募・募集」=人やモノを集める側の行為。
「応募」=「公募・募集」する側に申し込む行為。
となります。
使い方・例文
では最後に、それぞれの使い方を
例文で確認しておきましょう。
【公募の使い方】
- 公募推選ではなく、一般入試で合格を目指す。
- この美術作品の愛称は、公募で決まった。
- 各党は、選挙に向けて候補者を公募している。
- 公募増資によって、株価の下落が加速した。
【募集の使い方】
- 部員が足りないため、募集をかけています。
- リスナーから大喜利の回答を募集する。
- このアパートは、現在入居者を募集中だ。
- 会社の募集要項を入念に確認する。
【応募の使い方】
- プレゼントをもらうには、応募が必要だ。
- 応募要項に従い、懸賞を申し込む。
補足すると、
「募集要項」=「こういう方を求めています」
「応募要項」=「このように申し込んで下さい」
という意味です。
※「要項」の意味は、以下の記事を参照してください。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「公募」=(条件を指定して)人やモノを広く集めること。
「募集」=(条件を指定せずに)人やモノを広く集めること。
「応募」=募集に応じること。
「公募」は「公式・正式な場」で使い、
「募集」は「公募」よりも私的な場面で使う。ということでした。
実際には、必ずしも上記のような使い分けがされているわけではありません。
場合によっては、「募集」でも条件を指定するような場合はあります。
したがって、
「厳密な使い分けが存在するわけではない」
ということも頭に入れておきましょう。
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国語力アップ.com管理人
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