国語の文法で、「文章」「段落」「文」「文節」「単語」などの言葉をよく聞きます。
一見簡単そうにも見えますが、どれも非常に重要な内容だと言えます。なぜなら、すべての文法の基礎は「言葉の単位」にあるからです。
そこで今回は、これらの「言葉の単位」についてなるべく簡単に分かりやすく解説しました。
文章・段落・文・文節・単語とは
まず最初に、全体像の説明からです。
「ことばの単位」は、大きい順に「文章」→「段落」→「文」→「文節」→「単語」となります。
つまり、一番大きいのが「文章」、逆に一番小さいのが「単語」ということです。
では、一つずつ見ていきましょう。
文章
「文章」とは「一つのまとまりのある内容全体を書き表したもの」を意味します。
例えば、一つの小説であればその小説全体を「文章」と言います。
また、手紙であれば「手紙全体」、俳句であれば「俳句全体」を書き表したものを「文章」と言うわけです。
段落
「段落」とは「文章を内容ごとに区切ったもの」を意味します。
「段落」には2種類あり、最初の1文字を下げて書いたまとまりを「形式段落」と言います。
そして、いくつかの形式段落を意味や内容のつながりなどでまとめたものを「意味段落」と言います。
※「意味段落」は一般的にほぼ使いません。
文
「文」とは「句点で終わる一続きの言葉」を意味します。
「句点(くてん)」とは、「。」のことです。
例えば、以下のような文章があったとしましょう。
「私は中学生です。部活はサッカー部です。」
この場合、「。」によって2つの文ができているため、上記の文は「2文」であると言えるのです。
別の言い方をすると、「。」の数=「文」の数とも言えるでしょう。
文節
「文節」とは「文を意味が分かる範囲で区切ったもの」を意味します。
例えば、以下のような文があったとします。
「私はからあげが好きだ。」
この場合、「文節」に分けると「私は/からあげが/好きだ」となります。
文節に区切るときは、発音上不自然にならない程度にできるだけ短くします。
単語
「単語」とは「最も小さい言葉の単位」を意味します。
「単語」は「文節」をさらに細かく分け、これ以上分けると意味がなくなる所まで分けます。
先ほどの例文だと「私/は/からあげ/が/好き/だ」となります。
見分け方を簡単に
では、「言葉の単位」は実際にどのように見分ければよいのでしょうか?簡単な例を用意しました。
大谷翔平は、有名な野球選手だ。2012年に日本ハムにドラフト1位で入団した。
入団後は、日本人初の二刀流として話題を集め、2016年にはチームを日本一に導いた。
そして、2017年オフには「ポスティングシステム」を利用してメジャー移籍を発表した。
渡米後は、打者と投手両方での成績を残し、全米のファンをとりこにしている。もちろん、現在も活躍中だ。
まず、「文章」は最初の「大谷翔平は」から最後の「活躍中だ」までのすべてです。
「文章」は、最も大きな言葉の単位なので、最初から最後まで含まれることになります。
次に、「段落」は最初の1文字が下がっている所を探します。
すると、「大谷翔平」「入団後」「そして」「渡米後」の前が1文字空いていることが分かります。この空いた部分を数えると4つなので、4段落となるのです。
そして、「文」は「。」の数を数えます。「。」の数は赤字の部分を見れば分かるように6つです。よって、文の数は「6つ」となるわけです。
残りの「文節」と「単語」は全部だと長いため、最初の段落のみで説明します。
大谷翔平は、有名な野球選手だ。2012年に日本ハムにドラフト1位で入団した。
「文節」の分け方は、とても簡単です。
それは、「ネ・サ・ヨ」のどれかを後ろに入れて、意味が伝わるかどうか確認してみることです。
この場合、
大谷翔平はサ/有名なネ/野球選手だヨ
2012年にネ/日本ハムにネ/ドラフト1位でネ/入団ネ/したヨ
となります。
もしもこれら以外の所に「ネ・サ・ヨ」を入れると意味が伝わりません。
例えば、「大谷翔平ネ/はサ」だと「はサ」の部分が意味が不明です。また、「2012年ネ/にネ」だと「にネ」の部分が同じく意味が不明です。
このように判断すれば、文節に分けるのは意外と簡単なことが分かるでしょう。
最後は、「単語」です。
「単語」は、
大谷翔平・は・有名・な・野球選手・だ
2012年・に・日本ハム・に・ドラフト1位・で・入団・した
となります。
単語に分ける時は、「これ以上分けられない」という所まで区切ります。
言いかえれば、「これ以上分けると言葉として機能しなくなる所まで分ける」ということです。
練習問題で確認
最後に、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。以下に、練習問題を用意しました。
次の下線部分で「文」と呼べるものはどれか?
(ア)天気が良いので、外に出た。
(イ)今日は、ぼくの誕生日です。
(ウ)なぜそう思うのか、友達に聞いてみた。
(エ)はい。私は元気よく返事をした。
正解は(エ)です。文というのは、「。」で終わる一続きの言葉でした。
そのため、(エ)以外の選択肢は「。」で終わっていないので文とは言えません。
次の文を「文節」に分けなさい。
「僕は今日お姉ちゃんと動物園に行く」
僕は/今日/お姉ちゃんと/動物園に/行く
「ネ・サ・ヨ」を正しい位置に入れられるかどうかがポイントとなります。
次の文を「単語」に分けなさい。
「友達の家はとても遠い」
友達・の・家・は・とても・遠い
手順としては、文節に分けた後さらに単語に分けます。分ける場合は「これ以上分けられない」という所まで区切ります。
次の文章の「形式段落」と「文」の数はいくつか?
人間は、動物が好きである。その中でも犬と猫が好きなようだ。
犬は人懐っこくて従順な性格だ。一方で、しつけをサボると大変である。
猫は気ままで自分勝手な性格だ。一方で、散歩をしなくてもいいので楽である。
どちらもメリット・デメリットがあるが、動物を飼うのは相当な労力が必要だ。
「形式段落」の数→4つ
「文」の数→7つ
「形式段落」は一文字下がった部分、「文」は句点の数を数えるということでした。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「文章」=一つのまとまりのある内容全体を書き表したもの。
「段落」=文章を内容ごとに区切ったもの。
「文」=句点で終わる一続きの言葉。
「文節」=文を意味が分かる範囲で区切ったもの。
「単語」=最も小さい言葉の単位。
いずれも文法を学ぶ上では必ず出てくる重要な言葉です。ぜひそれぞれの正しい意味を理解して頂ければと思います。