「形勢逆転」という四字熟語があります。
普段からよく使われる言葉なので、聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。ただ、その具体的な使い方まで把握している人は少ないかと思います。
そこで今回は、「形勢逆転」の意味や例文・類語・英語訳などを詳しく解説しました。
形勢逆転の意味・読み方
まずは、この言葉の意味と読み方からです。
【形勢逆転(けいせいぎゃくてん)】
⇒勢力などの優劣の状態が逆転すること。劣勢だった勢力やチームなどが優勢になり、逆に優勢だった勢力やチームなどが劣勢になること。形勢が逆転すること。
出典:三省堂 大辞林
「形勢逆転」は「けいせいぎゃくてん」と読みます。
意味は「劣勢だった勢力が優勢になること」もしくは「優勢だった勢力が劣勢になること」です。
例えば、野球の試合で1-3で負けていたとしましょう。ところが、味方のヒットやホームランなどで5-3まで逆転したとします。
このような時に、劣勢が優勢になったという意味で「形勢逆転した」などと言うわけです。
あるいは、逆のパターンも考えられます。味方のチームが3-1で勝っていましたが、逆転ホームランを打たれて3-5になってしまいました。
このような時も、優勢が劣勢になったので「形勢逆転された」などと言うことができます。
つまり、「形勢逆転」とは「その時の勝ち負けの勢いが逆になること」を表す四字熟語ということです。
形勢逆転の語源・由来
次に、この言葉の語源を確認していきましょう。
まず「形勢」は「形の勢い」と書くので「その時々の形や勢いの方向性」を表します。そして、「逆転」は文字通り「逆になること」「ひっくり返ること」などを表します。
これらの言葉を見ても分かるように、「形勢逆転」は「物事の勢いがひっくり返ること」を意味した言葉であることが分かります。
スポーツやゲームの情勢は、どちらかの勢いに偏っていることが多いです。しかし、いつまでも片方に勢いが偏っているわけではありません。いずれは状況や立場が逆転するようなことが起こります。
そんな時に物事の勢いがひっくり返ったという意味で「形勢逆転」を使うわけです。
なお、「形勢逆転」は中国の故事に由来するような言葉ではありません。正確な起源は不明ですが、「形勢」と「逆転」の二語を合わせて作られた造語であると考えられます。
形勢逆転の類義語
続いて、「形勢逆転」の「類義語」を紹介します。
基本的にはどれも「お互いの立場が変わること・逆転すること」などを表した言葉となります。この中だと「形勢一変」がほぼ同じ意味なので、「同義語」と言ってもよいでしょう。
その他、「起死回生」なども類義語に含まれます。「起死回生」とは「絶望的な状況から一気に盛り返すこと」を表した四字熟語です。スポーツだけでなく、人生やビジネスなど幅広い対象に使われる言葉です。
形勢逆転の対義語
逆に、「対義語」としては、次の言葉が挙げられます。
こちらはスポーツなどでは使われませんが、比較的よく使われる四字熟語です。今の状況や状態が変わらないことを表す言葉なので、「形勢逆転」の「反対語」となります。
形勢逆転の英語訳
「形勢逆転」は、英語だと次のように言います。
「reverse the situation(状況が逆転する)」
「change the situation(状況が変わる)」
「reverse」は「逆転する・反転する」などの意味を持つ動詞です。「状況」を意味する「situation」を付けることで「形勢逆転」と訳すことができます。
また、後者のように「change」を使って「状況が変わる」という言い方をすることもできます。ただ、こちらの言い方だと「逆転する」という意味合いが少し薄れるため、前者の方が本来の意味としては近いです。
例文だと、それぞれ次のような言い方となります。
It is difficult to reverse a situation at a critical moment.(土壇場で形勢逆転するのは難しい。)
The situation changed to my advantage.(形勢逆転し、私の有利となった。)
形勢逆転の使い方・例文
最後に、「形勢逆転」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 残り10分となり、サッカー日本代表はついに形勢逆転された。
- 形勢逆転を許してしまったが、ここから再度巻き返しを図ろう。
- 将棋ではたった1つのミスで形勢逆転されることがよくある。
- 形勢逆転が命取りになるカードゲーム。それが大富豪である。
- 形勢逆転を狙って、残り時間ギリギリまで頑張ってください。
- 野球は9回2アウトから形勢逆転されることもある怖いスポーツだ。
- ライバル会社に売り上げで勝っていたが、下半期は形勢逆転された。
「形勢逆転」は様々な場面で使うことができます。最も多いのはやはりゲームやスポーツなどの勝負事に対してです。その他、最後の例文のようにビジネスに対して使えるのも特徴と言えます。
また、すでに説明したように、「劣勢」「優勢」のどちらの立場にあっても使うことが可能です。
そのため、「劣勢⇒優勢」の場合は「形勢逆転する」「形勢逆転を狙う」などの言い方をし、逆に「優勢⇒劣勢」の場合は、「形勢逆転される」「形勢逆転を許す」などの言い方をします。
どちらで使われているかは、後ろにつく動詞や文脈などによって判断するようにしてください。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「形勢逆転」=劣勢だった勢力が優勢になること・優勢だった勢力が劣勢になること。
「語源・由来」=物事の形や勢いがひっくり返ることから。
「類義語」=「主客転倒・形勢一変・一発逆転・下克上・攻守転換」
「対義語」=「現状維持」
「英語訳」=「reverse the situation」「change the situation」
日々スポーツの試合などを見ていると、情勢が一気に逆転することがよくあります。そんな時は「形勢逆転」という四字熟語を使ってみてはどうでしょうか?