家人 読み方 使い方 類義語 夫 差別

日本語には、読みにくかったり分かりにくかったりする言葉があります。その中の一つが「家人」です。

見慣れない言葉なので、多くの人がイメージしにくいのではないでしょうか。「かじん?」「けにん?」「いえじん?」などどう読めばいいのかも気になる所です。

今回は、そんな「家人」の意味や読み方、使い方・類語などを詳しく解説しました。

家人の読み方・意味

 

始めに、「家人」を辞書で引いてみます。

【家人(かじん)】

家の人。家族。

家臣。家来 (けらい) 。けにん。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

【家人(いえびと)】

①家族。特に妻。

②家に仕えている人。また、貴人の家に出入りする人。家人 (けにん) 。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

まず、読み方ですが、「家人」は「かじん」「いえびと」「けにん」などと読みます。

いずれの読み方も可能ですが、通常は「かじん」と読むことの方が多いです。

けじん」や「いえじん」とは読まないので注意してください。

そして意味ですが、「家人」とは簡単に言うと「家の中の人」という意味です。

例えば、家の中にいる父親や母親、息子、兄、弟、祖父、祖母などは皆、「家人」に当てはまります。

また、場合によっては家の中で仕えている召使いの人なども「家人」と呼ぶことがあります。

ただ、一般に「家人」と言った場合、その中でも「」を指すことが多いです。

いずれにせよ、一つ屋根の下で生活している者であれば、それは「家人」と呼ぶことになります。

なお、「家人」には「家臣・家来」などの意味もあります。

「家臣」や「家来」とは、主君や主家に仕える者のことを指し、簡単に言うと「王様に仕えている人」のことです。

「家人」は、王様や皇帝などが世襲により国家を治めていた時代に、最高位の人に仕えている人を指す言葉として使われていました。

しかし、現在ではこの意味として使われることはほぼありません。

家人は「けにん」とも読む

 

家人」は、原則として「かじん」と読む言葉です。

ただし、先ほどの辞書の説明にも書かれているように、「家人」は「けにん」と読むこともできます。

「けにん」と読むのは、元々この言葉が「家臣」や「家来」を由来としているからです。

家人(けにん)」とは、律令時代に奴婢(ぬひ)と共に仕えた賤民(せんみん)の一つで、主家に従い労役に服した最下層の民のことを指します。

これは日本史における古代に限った話であり、時代が移り変わるとまた意味が変わるようになりました。

特に平安時代では、「貴族や武士に仕える家臣・侍」を「家人(けにん)」と呼ぶようになったと言われています。

また、家族という形態が当たり前になった明治期から昭和期辺りまでは、「妻や召使いの人」を「家の人」という意味で「家人」と呼んでいた時期がありました。

このような経緯もあり、現在では「家人」は妻を指すことが多いのです。

現在では男女平等、差別撤廃などが叫ばれる世の中ですので、「家人」という言葉自体には妻以外の人物も含まれています。

家人の類義語

家人 類義語 言い換え 対義語

続いて、「家人」の類義語を紹介します。

  • 「家族」
  • 「一門」
  • 「一家」
  • 「世帯」
  • 「ファミリー」
  • 「家来」
  • 「側近」
  • 「使用人」
  • 「奉公人」
  • 「家事手伝い人」

「家人」は「家の中の人」を表すので、基本的には「家族」が一番意味が近い言葉と言えます。しかし、厳密に言うと両者は異なる言葉です。

まず「家族」は集合を表す言葉なので、妻・夫・息子2人の4人家族であれば4人全員を意味します。

対して、「家人」の方は集合ではなく個人を表す言葉なので、妻なら妻、夫なら夫、息子なら息子一人を指します。

したがって、家人と家族の違いは「集合」と「個」のどちらを指すかという点だと言えます。

その他には、「一家」「世帯」なども家族の構成を表した言葉なので類義語に含まれます。

さらにそこから派生して、一緒に住んでいる「使用人」や「奉公人」「家事手伝い人」なども広い意味では類義語と言えるでしょう。

家人の対義語

 

逆に、「家人」の「対義語」としては、「他人」が挙げられます。

「他人」とは文字通り「本人と関係ない他の人」という意味です。

例えば、近所に住んでいる知らない人、学校や会社で一緒にいるけど全く知らない人、といった人たちです。

別の言い方をするなら、「血が繋がっていない人」と定義しても構いません。

自分の家族と全く関りがない人を表す言葉が、反対語になると考えて下さい。

家人の使い方・例文

 

最後に、「家人」の使い方を実際の例文を使って確認しておきましょう。

  1. 彼は一家の主であるため、仕事をして家人を守る義務がある。
  2. 同じ家人と言っても、それぞれ性格や価値観が異なるものだ。
  3. 家人が多い家庭なので、食事の準備や後片付けに時間がかかります。
  4. 留守中に家人が電話を受けて、対応してくれていたようです。
  5. 私は学生時代、帰宅時に常に家人がいない環境で育ちました。
  6. 家人は今日パートに出ているため、夕方には戻ってくる予定です。

 

「家人」は話し言葉、書き言葉など様々な使い方ができます。

「同じ家で一緒に生活している人」という意味なので、家族の一員であれば誰に対しても使うことができます。

しかしながら、実際には現代だとあまり頻繁に使われる言葉ではありません。

なぜかと言うと、すでに説明したように、元々は階級社会における賤民を指した言葉であり、妻や召使いに対して使うことが多かったためです。

これらの言葉を女性に対して使うと、少し見下したイメージだと捉えられてしまう可能性もあります。そのため、あえて無理をして使う必要性はないでしょう。

「家人」は尊敬語などではなく一般用語なので、もしも家族の一員を伝えたい時は単に「妻」「夫」などと呼ぶのが無難と言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

家人(かじん・いえびと・けにん)」=家の中にいる人。(けにんと読む場合は、律令時代の賤民を指す)

使い方」=夫よりも妻を指すことが多いが、現代ではあまり使われない。

類義語」=「家族・一家・世帯・ファミリー・使用人・奉公人」など。

対義語」=「他人」

「家人」という言葉は、複数の読み方ができます。読み方によって意味が異なってきますので、正しく使い分けができるようにしておきましょう。