「活用の種類」は、中学国語の文法でよく登場する言葉です。
ただ、文法における「活用の種類」は多くの受験生がつまづくポイントでもあります。特に「活用形」との違いは分かりにくいと感じる人も多いと思われます。
そこで今回はこの「活用の種類」についてなるべくわかりやすく解説しました。
活用の種類とは
「活用の種類」とは「単語が変化するパターンのこと」を表します。「活用」とは「単語の後ろの部分が変化すること」です。
例えば、「走る」という動詞は「走らない・走ったり・走る・走る時・走れば・走れ」のように後ろの部分が変化します。
後に詳しく解説しますが、このような変化の仕方は「五段活用」と呼ばれる「活用の種類」です。
ここで注意すべきは、「活用の種類」と「活用形」は全く意味の異なる言葉ということです。
「活用形」は「未然・連用・終止・連体・仮定・命令」などのように「単語が変わった形のこと」を表します。
一方で、「活用の種類」は「活用形がどんな変化をするか」ということを表します。
分かりやすくするために以下の図を用意しました。
「単語」というのは、全部で10種類あります。
この中で、「活用がある」のは「動詞・形容詞・形容動詞・助動詞」の4つです。
つまり、この4つに関しては変化の仕方にそれぞれ種類があるということです。
一般的には、「活用の種類」は「動詞」が最もよく出題されます。そのため、今回はこの「動詞」の「活用の種類」について解説していきたいと思います。
「動詞」の「活用の種類」は、全部で5種類あるのが特徴です。
- 「五段活用」⇒ア・イ・ウ・エ・オの5つの段で活用する。(例)「書く」
- 「上一段活用」⇒イの段だけで活用する。(例)「起きる」
- 「下一段活用」⇒エの段だけで活用する。(例)「受ける」
- 「カ行変格活用」⇒「来る」だけが活用する。
- 「サ行変格活用」⇒「する」「~する」だけが活用する。
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | |
五段活用 | 書く | か こ | き | く | く | け | け |
上一段活用 | 起きる | き | き | きる | きる | きれ | きろ |
下一段活用 | 受ける | け | け | ける | ける | けれ | けろ |
カ行変格活用 | 来る | こ | き | くる | くる | くれ | こい |
サ行変格活用 | する | し | し | する | する | すれ | しろ |
後に続く主な言葉 | ない ・ う | ます ・ た | 。 | とき | ば | ! 。 |
それぞれの活用に注目すると、ア段~オ段まで活用するものと、イ段だけもしくはエ段だけ活用するものがあります。
どれも動詞によって単語が変化するパターンが異なります。したがって、それぞれの呼び方に違いがあるということです。
分かりにくく感じる人は、まずは「動詞」の「活用の種類」は5種類あるということを覚えておきましょう。
活用の種類の見分け方
「活用の種類」はややこしいですが、見分け方は簡単です。
まず、「カ行変格活用」と「サ行変格活用」は、どちらも動詞の種類が一つしかありません。
「カ行変格活用」=「来る」のみ。
「サ行変格活用」=「する」のみ。
よって、この2つは単純に暗記してしまうのがよいでしょう。
そして残りの3つですが、これらは後ろに「ない」をつけてみてください。
すると、以下のようになります。
- 書く(五段活用)=書かない(「か」はア段の音)
- 起きる(上一段活用)=起きない(「き」はイ段の音)
- 受ける(下一段活用)=受けない(「け」はエ段の音)
つまり、「ない」をつけた時の前の音が、どのように変化するかで判断するわけです。
区別の仕方としては、
- ア段になる場合⇒「五段活用」
- イ段になる場合⇒「上一段活用」
- エ段になる場合⇒「下一段活用」
となります。
例えば、「話す」であれば後ろに「ない」をつけると、「話さない」となります。「さ」は「さ・し・す・せ・そ」の中で「ア段」なので、「話す」は「五段活用」と分かります。
また、「見る」であれば後ろに「ない」をつけると「見ない」となります。「み」は「ま・み・む・め・も」の中で「イ段」なので「見る」は「上一段活用」と分かります。
さらに、「寝る」であれば後ろに「ない」をつると、「寝ない」となります。「ね」は「な・に・ぬ・ね・の」の中で「エ段」なので「寝る」は「下一段活用」と分かります。
非常にシンプルで分かりやすいのではないでしょうか?
なお、サ行変格活用の動詞は「する」の一語だけですが、「~する」の場合もサ行変格活用となります。
(例)
- 運動する
- 旅行する
- 成功する
- うわさする
- リードする
このような動詞を「複合動詞」と呼びます。
練習問題
では、これまでの内容を理解できたか問題を解いてみましょう。
①「動詞」の「活用の種類」は、全部でいくつあるか?
(ア)4つ(イ)5つ(ウ)6つ(エ)7つ
②五段活用の活用語尾は、後ろに「ない」をつけるとどの段になるか?
(ア)ア段(イ)イ段(ウ)ウ段(エ)エ段
③次の動詞のうち、カ行変格活用とサ行変格活用の組み合わせはどれか?
(ア)頼む・する(イ)狩る・話す
(ウ)書く・指す(エ)来る・保存する
①(イ)②(ア)③(エ)
①次の動詞の「活用の種類」を答えなさい。
(ア)着る(イ)する(ウ)見る(エ)来る(オ)助ける
②次の文の下線部と「活用の種類」が同じものを選びなさい。
「友達にお金を貸す。」
(ア)朝早く起きた。(イ)勉強をする。
(ウ)先生が来た。(エ)道を歩く。
①(ア)上一段活用(イ)サ行変格活用(ウ)上一段活用(エ)カ行変格活用(オ)下一段活用
②(エ)
(ア)は「着ない」で「き」は「イ段」。(ウ)は「見ない」で「み」は「イ段」、(オ)は「助けない」で「け」は「エ段」であることから、それぞれ判別できます。
(イ)の「する」と(エ)の「来る」は、どちらもサ行変格活用とカ行変格活用に一つだけある動詞です。
②の「貸す」は「ない」をつけると、「貸さない」となり、ア段です。よって、(エ)の「歩かない」と同じ五段活用になります。
次の文の下線部の「活用の種類」を答えなさい。
①18時にバスを降りる。
②友達を助ける。
③雑誌を読む。
④ドローンが空高く飛ぶ。
⑤バイク通学を禁ずる。
①上一段活用②下一段活用③五段活用④五段活用⑤サ行変格活用
①は「降りない」で「イ段」なので「上一段活用」。②は「助けない」で「エ段」なので「下一段活用」。③は「読まない」で「ア段」なので「五段活用」。④は「飛ばない」で「ア段」なので「五段活用」です。
⑤に関しては、「サ行変格活用」は「する」だけでなく「ずる」も含まれる点がポイントです。
(例)⇒命ずる・論ずる・通ずるなど
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「活用の種類」=単語が変化するパターンのこと。(動詞の場合は全部で5種類)
- 五段活用⇒ア・イ・ウ・エ・オの5つの段で活用。
- 上一段活用⇒イの段だけで活用。
- 下一段活用⇒エの段だけで活用。
- カ行変格活用⇒「来る」だけが活用。
- サ行変格活用⇒「する」「~する(~ずる)」だけが活用。
「見分け方」⇒「カ行変格活用」と「サ行変格活用」を先に覚え、他は「ない」をつけた時の前の音が、どのように変化するかで判断する。
「活用の種類」は文法の問題では頻出です。ぜひこの記事をきっかけに正しい理解をして頂ければと思います。