形 型 違い 使い分け 意味は

」と「」はどちらも「かた」と読める漢字です。また、意味も似ているため非常にややこしいと言えます。

この2つの使い分けに迷うという人も多いのでないでしょうか?そこで本記事では、「形」と「型」の違いをなるべく簡単にわかりやすく解説しました。

「形」の意味

 

まずは、「形」の意味からです。「形」には、主に次のような意味があります。

【形(かた)】

物の姿や格好。形状。かたち。

証拠に残すしるし。保証のしるし。抵当(ていとう)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

①は「衣服のが崩れる」「髪のを整える」などのように用います。また、②は「時計を借金のに置く」のように用います。

このように、「目に見える物の姿や形状」を表す漢字が「形」となります。英語だと「」=「フォーム」のことだと認識しても構いません。

「形」は、音読みだと「円形・正方形・三角形」のように用い、その他には「外形・地形・定形郵便物」などのように用います。

また、訓読みだと「袋形・山形・波形」のように用いるのも、目に見えるフォームが「袋・山・波」だからだと言えます。「跡形もなく」「形見分け」などが、「形」になるのも同じ扱いだからです。

「形」という字は左側の部分が「四角い枠」を、右側の部分が「刷毛(はけ)でつけた模様」、すなわち「飾りや模様、美しさ」を意味しています。両者を合わせることで、「様々な模様をつくる枠」⇒「外部に表れた姿、形、外枠」などを意味するようになるわけです。

「型」の意味

 

続いて、「型」についてです。「型」には、主に次のような意味があります。

【型(かた)】

ある物のかたちを作り出すためのもの。鋳型、型紙などの類。

きまったやり方。伝統的なしきたり。慣例。

事物を類別するとき、その個々に共通した特徴を表している形式、形態。タイプ。

きまった大きさ。サイズ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

それぞれの例文を紹介すると以下のようになります。

  • ①「石膏で土器のをとる。」
  • ②「通りのスピーチを行う。」
  • ③「彼の血液はAです。」
  • ④「小さいのくつを買う。」

「型」は「形」に比べて多くの意味がありますが、共通しているのは「物のフォームを作り上げる元のタイプ」を表した漢字ということです。

音読みで「原型・母型・類型」などと用いるのがまさにこれに当てはまります。「典型・模型・髪型」などに「型」を用いるのも、一つのタイプだからです。

また、訓読みで「大型車・血液型」と用いるのも、それが元になるタイプに基づくからだと言えます。「紋切り型」や「うるさ型の上司」なども「型」の方です。

このように、「ある物事の元を作り出すためのもの」を「型」と呼ぶと考えてください。一言で、「」=「タイプ」と覚えても構いません。

「形」と「型」の違い

形 型 違い

ここまでの内容を整理しておくと、

」=目に見える物の姿や形状。フォーム。

」=ある物事の元を作り出すためのもの。タイプ。

ということでした。

つまり両者の関係性を一言で言うと、「型によって形を作り出す」ということになります。

「型」は「何かの形を作り出す元になるもの」あるいは、「決まったやり方」などを意味します。そのため、「これから作り出す」という意味で目に見えないものを指すことが多いです。

対して、「形」は実際に存在している「物の姿や形状」を表すものです。したがって、「形」の方は、「髪の形」「洋服の形」など実際に完成された目に見える物を指すことが多いです。

似たような例で比較しますと、同じ「造けい」でも美術の方は「目に見えるものを作る」「フォームを作る」という意味で「造形美術」と言います。一方で、鋳型を作る機械などは、「目に見えないものを作る」「タイプを造る」という意味で「造型機」と言います。

また、「形式にとらわれる」と言う場合の「形式」は、「目に見えない内容よりも目に見える外形にとらわれる」という意味での「形」です。

それに対して、おなじ「けいしき」でも例えば、自動車や航空機などを作るような場合は、目に見える物ではなく、元になる設計が問題になるので「型式」を用いるのです。

その他、同じ「おおがた」でも、「大形」の方は「フォーム」であるため、「大形の模様・大形の花・大形の箱」のように用います。これは文字通り物理的に「大きい形をしている」ということです。

対して、「大型」の方は「元になるタイプが大きい」という意味で、「大型の車」「大型のテレビ」「大型の台風」などのように用います。いずれも、「車やテレビを作る元になる段階(設計)が大きい」「台風を形成する元になる段階(台風発生直後)が大きい」という意味です。

これと同様の使い分けとしては、「小形・小型」「中形・中型」「新形・新型」「旧形・旧型」などが挙げられます。

「形・型」の使い方・例文

 

最後に、「形・型」の使い方を実際の例文で確認しておきましょう。以下の「かた」はどちらを使えばよいでしょうか?

  1. 広い部屋に引っ越したので、大がたのテレビを購入した。
  2. 彼は自分の髪のかたが崩れることを極度に嫌うようだ。
  3. 全国の新がたコロナウイルスの感染者数が発表された。
  4. 借金のかたとして、自宅にある高価な宝石品を渡す。
  5. 入れ歯を作るために、歯医者に行って歯がたを取る。
  6. 冷蔵庫などの家電は大がたの物と小がたの物がある。
  7. 彼女の出身地を聞くと、東北地方の山がたと判明した。

 

正解は、「1・3・5・6」=「型」「2・4・7」⇒「形」となります。

2に関して補足しておくと、「髪がた」と言うような場合は「髪の形」「髪の形状」という意味で「髪形」を用いるのが基本です。ただし、「(髪の)サンプル・見本」という意味で使用するようなときは、「髪型」を使うこともあります。このように、どちらの漢字も使われる言葉もあるので注意してください。

なお、「形」の字訓には「かた」と「かたち」の両方が掲げられていますが、「型」の字訓の方は「かた」のみです。したがって、「かたち」と読むような場合は、「形」に限定されることになります。

その証拠に、「色と形」「様形」「形ばかり」などと用いる場合は、いずれも「かた」とは読まず、「かたち」と読みます。「形」を「かた」と読むのは、「山形」「波形」などのように複合語の場合が多いです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

」=目に見える物の姿や形状。フォーム。

」=ある物事の元を作り出すためのもの。タイプ。

違い」=「形」は目に見える物を指し、「型」は目に見えないものを指す。

物事を作るためには、必ず元になる「タイプ」が必要です。その「タイプ」となる「型」によって、実際に目に見える「形(フォーム)」を作り出すと覚えておきましょう。