稼働率 可動率 違い 計算方法

「稼働率」と「可動率」は、工場の生産ラインなどで使われている言葉です。特に、製造業の人にとってはよく使う重要な用語だと思われます。

ただ、この二つをどのように使い分ければよいのかという問題があります。そこで今回は、「稼働率」と「可動率」の違い・計算方法などを詳しく解説しました。

稼働率とは?

 

まずは、「稼働率」の意味からです。「稼働率」とは「フル稼働できる状態で、実際に働いていた割合のこと」を意味します。

具体例を出しましょう。A社の食品工場では、1日で40000個のおにぎりを生産する能力があるとします。

仮に、その日一日の生産個数が「36000個」だったとします。この場合の「稼働率」は、「36000個」/「40000個」=「90%」となります。

逆に、一日の生産個数が48000個だったとしましょう。この場合の「稼働率」は、「48000個」/「40000個」=「120%」となるわけです。

つまり、「稼働率」とは「実際に生産した個数」を「本来生産する予定の個数」で割った数値ということになります。

一般的には、「稼働率」は100%付近が望ましいと言われています。

もしも50%のように低かった場合、受注した量数に対して設備が多すぎることを意味します。逆に、200%のように高かった場合は、受注量に対して設備が少なすぎることを意味します。

したがって、「100%付近が一番上手く設備投資ができている」ということになるわけです。

なお、「稼働率」は、「個数」だけでなく「時間」で算出する場合もあります。先ほどの例だと、一日の労働時間が8時間だった場合に、実際に人や機械が働いていた時間が6時間だったとします。

この場合の「稼働率」は、「6時間」/「8時間」=「75%」となります。式で表すと、「実際に働いた時間」/「全労働時間」です。

一言で「8時間の労働時間」と言っても、すべての時間を稼働できるわけではありません。例えば、「休憩時間・雑務作業・急なトラブル」といった時間がついてきます。このような時間は人や機械が働いていないため、「稼働時間」には含まれないわけです。

可動率とは?

 

続いて、「可動率」についてです。「可動率」は「べきどうりつ」と読みます。「かどうりつ」とは読まないので注意してください。

可動率」とは「機械を動かしたい時に、正常に動かせた割合のこと」を意味します。

こちらも先ほどと同じ例を挙げましょう。A社の工場で使う機械は、正常であれば8時間動き続けます。

ところが、機械の故障によって1時間だけ動きがストップしてしまいました。この場合の「可動率」は、「8-1時間」/「8時間」=「87.5%」となります。

つまり、「可動率」とは「正常に動いていた時間」を「本来動くべき時間」で割った数値ということです。

「機械」というのはどうしてもトラブルがつきまといます。このような動かせない時間は、正常に動いていたとは言えないため、分子から除外するということです。

「可動率」は、当然100%を目指すべき数字です。現実的には難しい数字ですが、設備のメンテナンスなどにより、故障の数を最小限にする努力を各社行っています。

稼働率と可動率の違い

稼働率 可動率 違い 使い分け

ここまでの内容を整理すると、

稼働率」=フル稼働できる状態で、実際に働いていた割合。

可動率」=機械を動かしたい時に、正常に動かせた割合。

稼働率」=「実際に生産した個数」/「本来生産する予定の個数」

     =「実際に働いた時間」/「全労働時間」

可動率」=「正常に動いていた時間」/「本来動くべき時間」

ということでした。

両者の違いを簡単に言うと、「利益に直結するかどうか」だと言えます。

「稼働」は「いでく」と書きます。「働く」という行為は「付加価値(何かを生み出すこと)」を意味します。

したがって、「稼働率」の方は利益に直結する指標なのです。

商品の生産数や実労働時間などは、どれも会社の利益に大きく関与しています。これらの数字を改善して、うまく設備投資していくことは、会社にとって非常に重要なことです。

言いかえれば、「稼働率」は「設備投資の上手さを表した指標」ということにもなります。

一方で、「可動」は「くことが能」と書きます。「可動」の方は「単なる動き」なので、利益に直結するかどうかは関係ありません。

あくまで「機械を動かせたか?動かせなかった?」という点に注目します。したがって、「可動率」は「機械運用の上手さを表した指標」とも言えるのです。

まとめると、

稼働率」=設備投資の上手さを表した指標。(利益に直結する)

可動率」=機械運用の上手さを表した指標。(利益に直結しない)

となります。

なお、「稼働」と「稼動」の違いを混同している人も多いです。そのため、以下の記事も確認しておくことをおすすめします。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

稼働率」=フル稼働できる状態で、実際に働いていた割合。

可動率」=機械を動かしたい時に、正常に動かせた割合。

違い】⇒「稼働率」は「設備投資の指標」。「可動率」は「機械運用の指標」。

ポイントは、漢字の成り立ちを覚えておくことだと言えるでしょう。「可動」の方は、あくまで機械の動きに注目した言葉です。したがって、いくら「可動」だけをしていても稼ぎにはなりません、「稼ぎ」になる働きが「稼働」ということになります。