「現代」という言葉は、私たちが生きて行く上で日々使われています。日本や世界の歴史を語る上でも欠かせません。
この「現代」ですが、具体的にいつからいつまでのことを指しているのでしょうか?
本記事では、「現代」の時代区分やどんな時代かといったことをなるべく分かりやすく解説しました。
現代とはいつからいつまでか
最初に、「現代」の意味を辞書で引いてみます。
【現代(げんだい)】
①現在の時代。今の世。当世。
②歴史上の時代区分の一。ふつう、日本史では第二次大戦後の時代、世界史では第一次大戦後の時代をさす。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「現代」という時代は、日本と世界のどちらを指すかによってその定義が異なります。
まず、「日本」では「第二次世界大戦が終わってから今まで」の時代を指します。
具体的に言いますと、1945年に日本が終戦し、ポツダム宣言を受諾した日から今の時代までのことです。
すなわち、1945年からの約80年間を日本では「現代」と呼ぶわけです。
一方で、世界ではどうかと言いますと、世界では「第一次世界大戦が終わってから今まで」の時代を指します。
第一次世界大戦は1914年にヨーロッパを舞台に始まり、4年後の1918年に終わりを告げました
したがって、具体的な期間で言いますと、「1918年~現在までの約100年間」を世界では「現代」と呼ぶということです。
比較しても分かるように、日本よりも世界の方が現代は約20年ほど長いです。
そのため、横の時代を語るような時は、一方が現代でありながら、片方は現代ではないということも起こります。
ちなみに、世界の時代区分は一般に次のように分けられています。
「原始時代」⇒「古代」⇒「中世」⇒「近世」⇒「近代」⇒「現代」
つまり、現代は一番新しい時代であり、しかも現在進行形でリアルタイムで進行している時代でもあるということです。
現代とはどんな時代であるか
「現代」という時代は、一体どのような時代だったのでしょうか?それぞれの国や地域ごとにその歴史を振り返ってみましょう。
アジアの現代
アジアでは、1945年の日本の降伏を機に、「現代」という時代が始まっています。
それまでのアジアの国々は、アメリカやヨーロッパ、日本などの各国から植民地としての支配を受けていました。
しかし、これらの国々は、第二次世界大戦末期のヤルタ会談(1945年)により、冷戦体制の下で次第に独立を果たしていきました。
一部、朝鮮半島やベトナムなどのように、内部の対立によって分断されてしまう国家もありましたが、多くの国は独立によって国家を新たに成立させています。
日本だと、1945年のポツダム宣言受諾後、「1972年の沖縄返還」によりアメリカの管理下にあった沖縄が日本に返還されることとなりました。
これにより、琉球史という観点から見ても、日本は完全に「現代」という時代へ移ったと言うことができます。
その後、アメリカとソ連による間接的な争いである「冷戦」が1989年に一応は終わりを告げ、1991年にはソ連も崩壊しました。
ソ連が崩壊したことにより、中央アジアの国々は次々と独立を果たしていきました。
こうして世界の平和は保たれるようになったと思いきや、未だ東アジアは混沌とした状態にあります。
現在でも朝鮮半島は未統一ですし、北朝鮮の核問題やミサイル問題などもあります。
日本や韓国も北朝鮮に対抗する形で、アメリカ軍が駐屯している形です。
また、中国共産党による一党独裁や中国と台湾の対立問題なども解決していません。
1945年以前よりは平和になったと言えるものの、依然、現代においてもアジア各国は緊迫状態にあると言えます。
ヨーロッパの現代
「ヨーロッパ」では、先に説明したように、1918年の第一次世界大戦の終わりから「現代」が始まっています。
世界史の観点からみても、ヨーロッパで行われた第一次世界大戦は現在に直結する大きな転換期だと言われています。
なぜなら、人類史上初めて戦車や毒ガス、潜水艦などの最新鋭の武器が本格的に使われ出したからです。
第一次世界大戦の死者数は約3500万人にも上る大規模な戦争になったと言われています。
この戦争で勝利したイギリスやフランスは、敗戦国側から領土と賠償金を得ることができました。
逆に、負けたドイツやオーストリアは、現在にも残る手痛いダメージを負いました。
ただ、戦争に勝利した側のイギリスやフランスも同じくらいの被害を負ったと言われています。
結果的に、第一次世界大戦によりヨーロッパ全土の国々が疲弊してしまいました。
唯一、ダメージが少なかったのは本国が戦場にはならなかったアメリカのみという結果でした。
その後の第二次世界大戦でも、連合国側(アメリカ・イギリス・フランス等)が勝利を収め、ドイツやイタリアなどの同盟国側が敗北することとなります。
その結果、ドイツは西ドイツと東ドイツの2つに分裂させられることとなってしまいます。
分裂したドイツでしたが、1989年のベルリンの壁崩壊により、東西ドイツが統一されることになります。いわゆる、「冷戦の終結」です。
冷戦終結後のヨーロッパは、欧州連合に象徴されるように、東欧民主化革命やソビエト連邦崩壊によって成立した国家も巻き込み、「ヨーロッパは一つになる」という試みを図っていきます。
これは二度の世界大戦の反省を胸に、もう決して同じような戦争を繰り返さないという目的からです。
そして、実際にEU(欧州連合)などの組織を発足し、ヨーロッパ各国で協力して運営することとなりました。
しかし、近年ではイギリスのEU脱退などの問題もあり、ヨーロッパはその流れが少しずつ崩れつつあるという状況です。
アメリカの現代
アメリカの「現代」も、ヨーロッパと同様に、1918年の第一次世界大戦後から始まるのが一般的です。
先に説明したように、アメリカはこの戦争で本国が戦場にはなりませんでした。
ヨーロッパ本土へ軍を派遣するだけでよかったので、アメリカ国土が焼け野原になるようなこともなかったのです。
しかも戦争に参加したのも後半の方だったので、他国が疲弊して終わる中、アメリカだけが最も得をしたような形でした。
その後、アメリカはこの戦争で武器を大量にヨーロッパ各国へ輸出できたこともあり今まで以上にお金持ちの国となりました。
しかし、1929年に世界恐慌という危機が起こり、世界経済は大きく停滞することとなります。
そして、1939年から本格的に第二次世界大戦が始まることとなります。
この戦争の結果は周知の通り、アメリカが日本を含めた同盟国に勝利しました。
現代の世界の中心国がアメリカであるのも、この第二次世界大戦でアメリカが圧倒的な勝利を収めたからだと言えます。
戦後の世界の構図は、資本主義を基本とするアメリカ・ヨーロッパ陣営と、社会主義を基本とするソ連・中国側に分かれることとなります。
両者はお互いが武器を使って争うことはなかったものの、膠着状態が続いて常ににらみあような関係性でした。
この状態がすでに何度も登場している、「冷戦」という状態です。
その後、1989年にソ連の社会主義が崩壊し、冷戦が終わった後は、再びアメリカが世界で最も強い権力を持つようになります。
しかし、ここ数十年ほどは中国の目覚ましい経済成長もあり、アメリカと中国は最新鋭のテクノロジーを使い経済戦争をしているという状態です。
「現代」の使い方・例文
最後に、「現代」の使い方を具体的な例文で確認しておきましょう。
- 近代から現代にかけて、米ソの対立は今まで以上に大きくなっていった。
- 中世から近代、そして現代へと移り変わっていったのが今の世界である。
- 現代においても宗教という概念は、国によって圧倒的な力を持っている。
- 世の中には現代の科学を持ってしても解明されない事実は多くある。
- 現代では考えられないかもしれないが、昔は白黒テレビが常識であった。
- 現代社会は、インターネットの普及により飛躍的に生活が向上した。
「現代」という言葉は、科学や宗教、政治など社会の仕組みを表す様々な文脈の中で使うことができます。
今そのものの社会を語る時に用いることもありますし、過去の時代と比較して用いる場合もあります。
もちろん、歴史の説明をする際に使うこともできます。
歴史を説明する際には「中世」や「近代」との比較の中で用いられることが多いです。
その場合は、「現代」だけでなく「中世」や「近代」の時代背景も覚えておくことをおすすめします。
本記事のまとめ
以上、本記事のまとめです。
「現代」=日本だと「第二次世界大戦が終わって(1945年)から今まで」。世界だと「第一次世界大戦が終わって(1918年)から今まで」。
「現代の特徴」=第一次、第二次世界大戦を経て冷戦に入る。冷戦終結後も各国の緊迫状態は継続している状態。
「現代の使い方」=現代の社会の仕組みを表す文脈の中で使われる。近代や中世と比較して用いられることもある。
「現代」という時代は、世界共通で明確に定まっているわけではありません。各国によってその期間が異なるため、それぞれの国の歴史や特徴を頭の中で整理しておきましょう。