「こおる」を漢字で書く場合、「凍る」と「氷る」があります。
「肉が凍る」「水が氷る」
両方とも日常的に使われていますが、どのように使い分ければいいのでしょうか?今回は「凍る」と「氷る」の違いを詳しく解説しました。
凍る・氷るの意味
まず、「こおる」の意味を調べると次のように書かれています。
【凍る/氷る】
①液体、特に水が低温のため凝結して固体の状態になる。
②外気などがひどく冷たく感じられる。
③寒さや恐ろしさのために、からだがこわばり自由に動かなくなる。
④コンピューターが機能も作動もせず、キーボードやマウスからの入力を受け付けなくなること。ハングアップ。フリーズ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「凍る」と「氷る」は、一つの項目として載っています。つまり、辞書としての意味は同じということです。
それぞれの使い方は、以下の通りです。
- 水がこおる。
- こおるような外気。
- 身もこおるような映画。
- 画面がこおるように固まる。
この中でも特に使われるのが、①の意味です。他には、「肉がこおる」「野菜がこおる」など食材に対して使われる場合もあります。
このように様々な意味で使うことのできる「こおる」ですが、一般的には使い分けをすべき言葉だと言えます。辞書に書かれていることが全てではないということです。
凍ると氷るの違い
「凍る」と「氷る」は、厳密には異なる言葉同士です。まず、分かりやすいように両者の語源を確認しておくと、「凍る」の方は「冷凍」「凍結」などの熟語があります。
つまり、「凍」という字は「何かが寒さのために冷たく固くなること」を意味することになります。この場合は、水や土、食品など幅広い物が含まれると考えていいです。
一方で、「氷る」の方は「氷点下」「氷雨(ひさめ)」などの熟語があります。また、見た目からも分かる通り、「氷」は「水」という字からできています。
よって、「氷」の方は「水が寒さのために冷たく固くなること」を意味することになります。
以上の事から考えますと、両者を使い分けるならば、
「凍る」=水以外の物にも使える。「氷る」=水にしか使えない。
ということになります。
言葉の語源で考えるとしたら、上記のように使い分けるのが正しいです。しかし、実際には「氷る」の方は常用漢字には含まれていません。「常用漢字」とは「国が定めた一般社会における目安となる漢字」のことです。
つまり、「氷る」の方は普段はほとんど使わない表記なのです。国がこのような方針なので、新聞や報道機関などは「凍る」の方で統一している現状があります。
では、なぜ「凍る」の方で統一しているのかと言いますと、これは恐らくですが「凍る」の方が広い意味で使えるからだと思われます。
「氷る」は、水に関係する対象にしか使えません。一方で、「凍る」は「氷る」も含んだ言葉ですので、様々な対象に対して使うことができます。そのため、「凍る」で統一した方が混乱を招かないということで、一つに統一しているのでしょう。
凍りと氷の違い
ここまで、「こおる」について解説してきましたが、「こおる」ではなく「こおり」の方は事情が少し異なります。
「凍り」というのは、「凍る」が名詞の形になったものです。対して、「氷」は元々名詞として普通にある言葉ですので、「こおり」の場合はどちらの漢字も使うことができます。
基本的には、常用漢字に動詞として載っているものは名詞として使ってよいことになっています。よって、以下のようにどちらも実際に使うことが可能です。
- 氷を食べる。
- 湖の凍りが速い。
ここで気を付けることは、「氷」を「氷り」と書いたり、「凍り」を「凍」と書いたりしないことです。ややこしいですが、混同しないように気を付けて下さい。
使い方・例文
最後に、「こおる」の使い方を例文で紹介しておきます。今回は、「凍る」の方で統一しました。
- 寒さのために、池の水が凍る現象が起きた。
- ご飯が余ったので、冷凍庫で凍らせることにした。
- 部屋の中に入ると、凍るような雰囲気だった。
- 外へ出ると、凍るような外気が押し寄せてきた。
- 全身の血が凍るような、怖い体験をしました。
- パソコンの画面が故障して、凍るように動かなくなった。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「凍る」=水以外の物にも使うことができる。(常用漢字)
「氷る」=水にしか使うことができない。(常用漢字に含まれない)
「使い分け」⇒原則として「凍る」を使うようにする。
「氷る」は常用漢字にはないため、一般に使う際は「凍る」を使います。ただ、「こおり」に関しては「氷」と「凍り」の両方が使えると覚えておきましょう。