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『相手依存の自己規定』 200字要約 あらすじ テスト問題 教科書

 

高校現代文の授業で、『相手依存の自己規定』という評論文を学習します。ただ、実際に本文を読むとその内容や筆者の主張などが分かりにくいと感じる人も多いです。

そこで今回は、『相手依存の自己規定』のあらすじや要約、定期テスト対策などを簡単に解説しました。

『相手依存の自己規定』のあらすじ

 

あらすじ

私がアメリカの大学に滞在していた時、学生たちに、日本の中学生・高校生には自分の心を打ち明ける相手がいなくて悩んでいる人が多いという新聞記事を紹介した。驚いたことに、多くの学生は本当に大切なことは友人はもちろん親にも話したことがないらしい。個人が本当に個人である部分は、他人に言えない部分であって、それを明かすことは自分の存在を危険にさらすようのものなので、打ち明ける他人がいないことで悩むなど愚の骨頂である、という答えだった。私は少々唖然とした。

この話は、日本人にとって自分とは何か、相手とは何かの問題を解明するための糸口を与えてくれる。日本人が絶えず自分の本当の気持ちを他人に分かってもらいたいと考えるのは、重大な問題を一人心にしまって、その重みにじっと耐えていくという固く閉ざされた自我の仕組みが弱いためだと思われる。それは、日本人は自分がなんであるかという自己同一性の確認を他者を基準にして行う傾向が強いからである。

現代の日本語で使われる人称代名詞を調査した結果、日本人は、自分が何者であるかということを、相手が何者であるかを基準にして把握し、それによる自己表現を行っていることが分かった。このような相手に依存する自己規定は、自己が自己自身を見る視点を他者の立場に移すことを意味し、それは相手の立場からの自己規定、他者を介しての自己同一性の確立という心理的パターンにつながっていく。日本人の特性として、他人志向型の大勢順応主義であったり、その人の位置づけをする手がかりを与えてくれない欧米人に対して心理的動揺をしてしまったりするのも、こうした相対的な自己確認の影響である。相手を自己の立場の原点としてのみ考える拡散型自我構造を持つ日本人には、求心的に収斂する固い自我を持つ者同士で行われる対話というのは、最も異質なものなのである。

『相手依存の自己規定』の要約解説

 

要約私たち日本人は、絶えず自分の本当の気持ちを誰か他人に分かってもらうことを求めている。それは、日本人が自分とは何かという自己同一性の確認を他者を基準にして行う傾向が強いからである。このような相手に依存する自己規定は、自己が自己自身を見る視点を他者の立場に移すことを意味する。そのため、相手を自己の立場の原点としてのみ考える拡散型自我構造を持つ日本人にとって、対話というのは最も異質なものなのである。(198文字)
本文の解説

「自己規定」とは「自分は何者であるのかを定めること」です。そして、「依存」とは「他に頼って存在すること」です。

よって、「相手依存の自己規定」とは「自分は何者であるのか」という答えを相手に頼って存在していること、という意味になります。

これを踏まえて解説しますと、まず本文は行空きによって三つの段落構成となっています。

第一段落では、日本人の学生が自分の心を打ち明ける相手がいないという悩みをもつことをアメリカの学生に紹介したところ、意外な反応があったというエピソードを語っています。このエピソードをきっかけとして、第二段落では日本人は相手を基準にして自己確認を行う傾向があると結論付けています。

構成としては、第一段落が挿話(エピソード)、第二段落が結論、第三段落が結論の証明や説明にあてられています。第三段落の証明部分は、日本人の人称代名詞の使い方を具体的に示すことにより、その論が成立しているのがポイントです。

つまり、人称代名詞を使用する範囲が意外に狭く、代わりに自分および相手の広い意味での地位や資格を表す言葉を使っているということです。日本人の自己規定の仕方が相手(他者)に依存していることの証明を行っています。

そして、最後に、相手を自己の立場として考えて自己を拡大しようとする日本人にとって、対話というのは異質なものだと筆者は述べています。なぜなら、対話というのは本来、固い自我を持つ者同士が、お互いの対立する意見の調整を図り、利害を調節するものであるからです。言い換えれば、相手に合わせたり相手の立場に依存したりする日本人の対話は、真の対話ではないということになります。

『相手依存の自己規定』のテスト問題対策

 

問題0

次の下線部の仮名を漢字に直しなさい。

①外国にタイザイする。

キミツ事項を守る。

③職場のドウリョウと話す。

④問題点をハアクする。

⑤心理的なドウヨウがあった。

解答①滞在 ②機密 ③同僚 ④把握 ⑤動揺
問題1次の熟語の対義語を答えなさい。

①相対 ②必然 ③希薄 ④明示

解答①絶対 ②偶然 ③濃密(濃厚) ④暗示
問題2「自分はこの孤独にはもう耐えられないというのである」とあるが、「この孤独」とはどのような孤独か?
解答自分の心をすっかり打ち明けてとことんまで話のできる相手が誰もいない、という孤独。
問題3「それを明かすことは自分の存在を危険にさらすようなものだ」とあるが、「それ」とは何を指すか?
解答個人が本当に個人である部分
問題4「ところが実際に、ある特定の人物を限って~意外な結果が出たのである。」とあるが、なぜ「意外な結果」なのか?
解答日本語には人称代名詞が広範囲に多様に使用されていると思ったのに、使用範囲が限られており、代わりに広い意味での資格や地位を表す言葉が使用されていたため。
問題5

次の部分はそれぞれどのようなことを述べているか?

①言語による自己把握の相対性

②日本人の欧米人に対する心理的動揺

③相手の立場でものを考え、自己を拡大して他者を取り込むという傾向

④求心的に収斂する固い自我

解答

①自己を言語的に把握する仕方が、相手の性質に依存しているということ。

②日本人が欧米人と話す時、その位置づけを行う手がかりを与えてくれないために、結果として自己の位置づけもできないという心理的に不安定な状態に置かれること。

③相手の考え方や感じ方を推測し、それに合わせて自分の位置づけの範囲を広げ、他者を自分の中に取り込んで、自己と相手の立場を同一化してしまうという傾向。

④自分の言動のすべてが、自分の中の核となる考えやありかたに集約されていくような自我。

問題6「日本人には真の対話がないとよく言われる」とあるが、筆者はそのことについてどう考えているか?
解答対話とは元来、固い自我を持った意見の対立する者同士が、意見の調整を図り、利害を調節する機能を果たすものなので、相手を自己の立場の原点としてのみ考える日本人には、そもそも「対立する他者」がいない。よって、対話は日本人にとっては最も異質なものである、と考えている。

まとめ

 

以上、今回は『相手依存の自己規定』の要約やテスト問題などについて解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については、以下の記事でまとめています。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。