何となく変な感じがすることを「いわかん」と言います。ただ、その漢字については二つの表記の仕方があるようです。
「肩に違和感がある」「部屋に異和感がある」
この場合、どちらを使うのが正しいのでしょうか?本記事では、「違和感」と「異和感」の使い分けについて詳しく解説しました。
違和感・異和感の意味
まず、「いわかん」の意味を辞書で引くと、次のように書かれています。
【違和感(いわかん)】
⇒しっくりしない感じ。また、ちぐはぐに思われること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
上記のように、「いわかん」は、「違和感」として載っています。「異和感」の方は、辞書には書かれていません。
意味としては、「しっくりしないこと」を表します。これだけでは意味が伝わりにくいので、「いわ」の意味も載せましょう。
【違和(いわ)】
①からだの調子がくずれること。
②周囲の雰囲気に合わないこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
何となくイメージがついたと思います。つまり、「違和感」には二つの意味があるということです。
一つ目は、「体の調子が崩れる」という意味です。この場合は「おなかに違和感がある」「腰の違和感が消えた」などのように用います。
そして二つ目は、「周囲の雰囲気に合わない」という意味です。
この場合は、「変な違和感があった。」「違和感なく打ち解ける。」などのように用います。
整理すると、「違和感」には①「健康の状態が悪い」②「空気や雰囲気が合わない」という二つの意味があるということです。
違和感と異和感の違い
「いわかん」の大まかな意味は理解できました。
では、実際のところ両者はどちらを使えばよいのでしょうか?辞書に書かれていない「異和感」を使ってもよいのでしょうか?
結論から言いますと、「違和感」が正しいので、「異和感」は誤りということになります。
まず、「違和感」という言葉が辞書に初めて採録されたのは1975年辺りと言われています。すなわち、「違和感」は比較的新しくできた言葉ということです。
それまでは、「違和」という言葉しか辞書には載っていませんでした。この「違和」が派生してできたのが、「違和感」だと言われています。
では、「違和」にはどんな意味があったかと言いますと、先ほども説明した通り「体の調子が崩れる」「周囲の雰囲気に合わない」という意味でした。
このうち、「雰囲気」の意味は後から付け加えられたものです。つまり、元々は「違和」は「体の調子」という意味しかなかったのです。
ところが、新しい意味を伴って日常化するうちに、なぜか「異和感」と誤用されるようになったのです。
そのため、現在では「異和感」と間違って書く人が非常に多くなっています。特に、医療関係の人がこの言葉を間違う傾向にあります。
これはおそらくですが、医療の専門学校などでも間違った漢字を教えているからだと思われます。漢字というのは、多くの人が間違って使い続けると、それがさも正解かのようになってしまうことがあります。
現在では、「異和感」と記載されている辞書は一つもありません。それどころか、「異和は誤り」と記述している辞書もあります。そのため、間違っても「異和感」とは書かないようにしましょう。
使い方・例文
最後に、「違和感」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 昨日から腰の左側に違和感があるようだ。
- みぞおちに違和感があるのは、危険な症状だ。
- 初対面の人なのに、違和感なく打ち解けられた。
- いつもと違う彼らの雰囲気は、私に違和感を与えた。
- 違和感の原因をずっと考え、一つの結論に達した。
- 彼の主張は、口では理解できてもやはり違和感が残る。
- この部屋の配置は、違和感を持つ人が大半だろう。
- ヒザの違和感を払拭するために、ストレッチを行う。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「いわかん」=しっくりしない感じ。また、ちぐはぐに思われること。
「使い分け」⇒「違和感」の方が正しいので、「異和感」は誤り。
「違和感」は、元々「健康の状態が悪い」「空気や雰囲気が合わない」という二つの意味から作られた言葉です。最近になって特に「異和感」と書く人が増えていますので、混同して書き間違えないように注意しましょう。