破棄 廃棄 違い 処分 意味 使い分けは

「破棄」と「廃棄」には、どのような違いがあるのでしょうか?

両方とも何かを捨てる際に使う言葉ですが、どう使い分ければいいのかという疑問があります。また、場合によっては「処分」という言葉が使われることもあります。

今回はこれらの言葉の違いについて詳しく解説しました。

破棄の意味・読み方

 

まずは、「破棄」の意味からです。

【破棄(はき)】

破り捨てること。

契約・取り決めなどを一方的に取り消すこと。

事後審査を行う上級裁判所が、上訴に理由があるとして原判決を取り消すこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「破棄」には3つの意味がありますが、一般的に使われるのは①と②の場合がほとんどです。まず、①の「破り捨てること」という意味ですが、この場合は次のように使います。

  • 書類を破棄する。
  • 用紙を破棄する。

簡単に言うと、「ビリビリにやぶいて捨てる」という意味です。

会社の書類などは大切な個人情報が書かれています。そのため、「シュレッダーなどで裁断して、ゴミ箱に捨てる」ということです。

次に、②の「契約などを一方的に取り消すこと」という意味です。この場合は、次のように使います。

  • 契約を破棄する。
  • 約束を破棄する。
  • 同盟を破棄する。

主に人と人とのやり取りを、一方的にキャンセルするような時に使います。

この意味で使われることは比較的多いと言えます。なぜなら、契約や約束事というのは、ビジネスに限らず日常的に行われているからです。

廃棄の意味・読み方

 

続いて、「廃棄」の意味です。

【廃棄(はいき)】

不用なものとして捨てること。

条約を当事国の一方の意思によって効力を失わせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

廃棄」とは「不用なものとして捨てること」を意味します。使い方としては、以下の通りです。

  • 書類を廃棄する。
  • 新聞紙を廃棄する。
  • 産業廃棄物。

ここで大事なのは、「廃棄」は「ゴミの形を変えずに捨てる」ということです。つまり、ビリビリに破ったりなどはせずに、ひもで縛ったり袋に入れて捨てたりするということです。

そのため、「廃棄」したとしてもその後のゴミは当然形が変わらないことになります。

なお、辞書の説明だと「廃棄」はもう一つ意味が書かれています。それは、「条約を一方的に取り消す」という意味です。

「条約」とは国同士が文書で交わす合意のことを指します。この意味の場合は、政治や外交など限定的な場面で使われるのが特徴です。

【例】⇒外国との不平等な条約を廃棄する。

破棄と廃棄の違い

破棄 廃棄 違い 使い分け

ここまでの内容を整理すると、

破棄」=破り捨てる。契約などを取り消す。廃棄」=不用なものとして捨てる。

ということでした。

両者の違いは、二つの点から比較すると分かりやすいです。

一つ目は、「捨て方の違い」です。

「破棄」は、形がなくなるほどビリビリに破いて捨てます。したがって、捨てるものは当然、破くことのできるものが対象となります。具体的には書類やメモ用紙などの「紙類」です。

一方で、「廃棄」の方は、ゴミの形を変えずにそのまま捨てます。そのため、捨てるものは破ける・破けないに関係なく、不用な物すべてが対象となります。具体的には、書類や壊れた冷蔵庫、テレビ、パソコンなどあらゆるいらないモノです。

二つ目は、「契約に対して使えるかどうか」です。

「破棄」は、「契約や約束を取り消す」という意味でも使うことができます。一方で、「廃棄」にはこのような意味は含まれていません。

似たようなイメージですが、「廃棄」の場合は「条約の取り消し」という意味です。「契約」と「条約」は異なるので、混同しないようにしましょう。

まとめると、

破棄」=形がなくなるほど破いて捨てる。(契約や約束にも使う。)

廃棄」=形を変えずにそのまま捨てる。(条約に使う。)

となります。

処分の意味・読み方

 

似たような言葉として、「処分」もあります。

【処分(しょぶん)】

取り扱いを決めて物事の決まりをつけること。処理。

規則・規約などを破った者に罰を加えること。処罰。

不要なものや余分なものなどを、捨てる、売り払う、消滅させる、など適当な方法で始末すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「処分」の意味は、③の「捨てる」が基本だと考えて問題ありません。

「捨てる」というのは、破って捨てたりそのまま捨てたりという行為がすべて含まれることになります。言い換えれば、「処分」は「破棄」と「廃棄」を含んだ言葉ということです。

したがって、「処分」という大きなカテゴリーに「破棄」と「廃棄」が含まれることになります。例えるなら、スポーツという大きな枠組みの中に野球やサッカーが含まれるようなイメージです。

ただ、「処分」は①や②の意味で使う場合は、意味が異なるので注意が必要です。この場合は、「処分を受ける」「違反者を処分する」のように使います。簡単に言うと、「罰や制裁を与える」という意味です。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【破棄の使い方】

  1. 手紙をすべて破棄して、重要な証拠を消し去った。
  2. 受け取った用紙を破棄し、個人情報を保護した。
  3. シュレッダーを使い、書類を破棄するつもりです。
  4. 私ではなく彼女の方から一方的に婚約を破棄された。
  5. 建物に重大な問題があったため、売買契約を破棄した。

【廃棄の使い方】

  1. 書類をひもで縛って、まとめて廃棄した。
  2. 賞味期限切れのコンビニ弁当を廃棄する。
  3. 食べ物をむやみやたらと廃棄してはいけない。
  4. 古いテレビが壊れたので、廃棄することにした。
  5. アメリカに対して不平等条約の廃棄を求めた。

【処分の使い方】

  1. いらなくなった本や漫画をすべて処分する。
  2. 引っ越しを機に、家の不用品を処分することにした。
  3. 危険な液体なので、厳重に包んで処分しました。
  4. 法律に違反した参加者たちが、処分されたようだ。
  5. ルールを破ったので、処分を受けるのは当然である。

 

なお、用例としては少ないですが、「破棄」は「メールを破棄する」「データを破棄する」などのように形のないものに使うこともあります。

この場合は、物理的に破くという意味ではありませんが、それに近いような表現です。つまり、データを復元できないほど跡形もなく削除するという意味です。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

破棄」=破り捨てること。契約などを一方的に取り消すこと

廃棄」=不用なものとして捨てること。条約を当事国の一方の意思によって効力を失わせること。

処分」=不要なものや余分なものなどを捨てる・売り払う・消滅させること。

「違い」⇒「破棄」は形がなくなるほどに破いて捨てるが、「廃棄」は形を変えずにそのまま捨てる。「処分」は破棄と廃棄を含んだ大きな意味の言葉。

いずれも普段からよく使われる言葉です。ポイントとしては「捨て方の違い」「契約にも使うかどうか」の二点を押さえておきましょう。