「増加」と「増大」にはどのような違いがあるのでしょうか?
どちらも普段からよく使われている言葉ですが、それぞれの意味を説明するとなると難しく感じると思われます。
そこで今回は、「増加」と「増大」の使い分けについて詳しく解説しました。
増加の意味
まずは、「増加」の意味からです。
【増加(ぞうか)】
⇒物の数量がふえること。また、ふやすこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「増加」とは「物の数量が増えること・増やすこと」を意味します。
主な使い方としては、次の通りです。
- 人口が増加する。
- お店が増加する。
- 収入が増加する。
- 交通量が増加する。
- ユーザーが増加する。
「増加」は、具体的な数値として出せるものが対象となります。
上記で言えば、
- 「人口」⇒100万人
- 「お店」⇒100店舗
- 「収入」⇒20万円
- 「交通量」⇒10万台
- 「ユーザー」⇒1万人
のようにすべて数値を出すことができる対象です。
このように、具体的な数値として数えられるものに使うのが「増加」ということになります。逆に言えば、数えられないものに対しては「増加」は基本使いません。
増大の意味
続いて、「増大」の意味です。
【増大(ぞうだい)】
⇒ふえて大きくなること。また、ふやして大きくすること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「増大」とは「増えて大きくなること・増やして大きくすること」を意味します。
主な使い方は、以下の通りです。
- 不安が増大する。
- 喜びが増大する。
- 負担が増大する。
- 疑惑が増大する。
- 危険性が増大する。
「増大」は、抽象的なものに対して使われます。もっと簡単に言えば、「具体的な姿・形がないもの」に対して使われます。
例えば、「不安」や「喜び」というのは具体的な形や姿がありません。このように、目で見ることのできない抽象的なものに対して「増大」を使うということです。
増加と増大の違い
ここまでの内容を整理すると、
「増加」=物の数量が増えること。「増大」=増えて大きくなること。
ということでした。
両者の違いを簡単に言うと、「対象を具体的に数えられるかどうか」だと言えます。
「増加」は、具体的に数えられるものに使います。したがって、人口やお店の数など数値化できるものが対象となるのです。
一方で、「増大」は具体的に数えられないものに使います。したがって、こちらは不安や喜びなど抽象的で数値化できないものが対象となるのです。
なぜこのような違いになるかと言いますと漢字の語源が異なるためです。「増加」は「増えて加わる」と書きます。一方で、「増大」は「増えて大きくなる」と書きます。
ここから両者を比較してみると、
「増加」=すでにある物に何かが加わる。「増大」=全体が大きくなる。
となります。
つまり、「増加」の方は物質的な何かが加わるような意味が含まれていることになります。そのため、「増加」は数値化できるものに対して使うということです。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を実際の例文で紹介しておきます。
【増加の使い方】
- 世界の人口は年々増加している傾向にある。
- 少子高齢化により医療費の支出が増加している。
- ここ最近の観光収入は、増加しつつある。
- 都市部の交通量の増加は、大きな問題である。
- アメリカのGDPは戦後から増加し続けている。
【増大の使い方】
- 新しい武器に代わったので威力が増大した。
- 受験が近づくにつれて彼の不安は増大していった。
- 約束を破ったため、彼に対する怒りが増大した。
- 命綱をつけないと危険性が増大するだろう。
- 海外からの圧力は、日に日に増大していった。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「増加」=物物の数量が増えること・増やすこと。
「増大」=増えて大きくなること・増やして大きくすること。
「使い分け」⇒「増加」は具体的で数値化できるものに使い、「増大」は抽象的で数値化できないものに使う。
「増加」は数えられる物に使い、「増大」は数えられない物に使います。ぜひ正しい使い方を覚えて頂ければと思います。